40代子持ちのクルマ好きが、愛車のBMW 320dツーリングを評価するとともに、ちょっとだけ日々を楽しくするクルマのある生活の話題をお届けします。

320dと523dのフィーリングの違いの原因〜車重だけじゃないかも。アクセル開度の設定が違う?

私の知人で、523dツーリング乗りがいます。彼は1年ほど前に購入しまして、今1年点検でディーラーに預けているそうです。まあ、この知人は実は私がToto BMWさんに紹介して購入したので預けているディーラーさんはもちろんToto BMWさんなのですが、代車で320dセダンを借りて、その違いに驚いていました。

320dと全く同じエンジンなのに。

F10系の523dとF30系320d(2016MYの前半くらいまで)は、全く同じエンジンを搭載しています。

すなわち、N47D20Cという直列4気筒DOHCディーゼルエンジンで、135kw(184ps)/4,000、380Nm(38.7kgm)/1,750-2,750というスペックのエンジンです。もちろん可変ジオメトリータービンや第3世代コモンレール式直噴システムに加え、DPFなど、最先端のクリーンディーゼル技術がてんこ盛りのエンジンですね。

彼もそんなことは先刻承知です。そして特に気にせずに乗ってみたら・・・

驚いたそうです。何がというと、その軽快感に、だそうです。

彼の家は奥様も運転されるそう(ウチは家内は免許すら取得していません。)で、奥様も乗ってみてすごいすごい!と感激していたそうです。

私からしたら523dツーリングの、しかもラグジュアリーなんてものすごく豪華なクルマに乗っているのに、と思いますが(笑)、それはそれ、なんでそんなに違うのか、ちょっと考えてみました。

まずは車重。

何はともあれ、車重は全く違いますよね。

523dツーリングは1,860kgに対して、320dツーリングは1,620kg。その差なんと240kgもあります。

さすがにこの重量差があるといかにディーゼルといえども燃費にも影響が出まして、JC08モード燃費は523dツーリングは16.6km/L、320dツーリングは19.4km/Lと、かなり違います。まあ、燃費は重量だけではなくてタイヤサイズにも影響を受けていると思います。ご参考までにタイヤサイズは523dが245/45R18に対し、320dは225/50R17です。

それにしても240kgの差ってすごいです。320dツーリングに常に標準的な体型の男女が二人ずつ乗っている状態、と言えばいいでしょうか。それは燃費にも影響を受けるはずです。

そしてそれよりも何よりも、ひらりひらりというわけにはいかない・・・とお思いかもしれませんが、実は私が試乗した限り、少なくとも普通に走っている限りはそこまで変わりません。それは当然ですよね。この車重を見越して足回りのセッティングをしているわけですから。

違いがあるとすれば、加速「感」です。なぜあえて「」をつけたかというと・・・次の章でお話しする理由によります。

アクセル開度の設定が違う

BMWとしてはこんなことは公式にはアナウンスはしていませんが、現在のBMWはクラスによってアクセル開度の線形を細かく変えているように思います。

具体的にはシリーズ名の数字が小さい方が、非線形度が高く、少し踏んだだけでもぐわっと加速するような設定になっています。

以前当ブログのどこかに記事でも申し上げましたが、例えば218dグランツアラーに試乗した時、スタート時に私の320dと同じ感覚で踏んだらかなりの勢いで加速したのには驚きました。

冷静に考えると、218dのエンジンは320dのエンジンより非力なので、いくら車重が違うと言ってもそこまで違うと思いませんよね?むしろ218dの方が多少おっとりとした出足のはずです。ちなみに218dグランツアラーのエンジンは、B47C20Aと呼ばれる直列4気筒DOHCディーゼルエンジンで、排気量は1,995ccで523d/320dと同じながら、110kw(150ps)/4,000、330Nm(33.7kgm)/1,750-2,750と、若干アンダーパワーになっています。車重は1,570kg。320dツーリング比ー50kgなだけです。

これでこれだけ勢いよい出足を持っているということは、アクセルの開度が最初は踏んだ以上に加速する設定なっている、すなわち非線形の設定になっているからに他なりません。うーん、表現が難しいですね。非線形スロットルと言いたいところですが、ご存知の通りBMWにはスロットルはありませんから。

118dも218dグランツアラーと同じエンジンを積んでいますが、同じように320dよりも非線形の設定でした。

BMW118d試乗! ~ 最強の実用コンパクトBMW

さて、もうお分かりですよね。523dと320dの軽快感の違いの原因は、このアクセル開度の設定によるものも大きいわけです。

もし523dでも320dと同じような出足の良さを求めるのならば、車重がある分もっとアクセルを踏んだ当初の開度を大きくしなければいけないと思うのですが、むしろ私が試乗した時は古き良き(?!)ドイツ車っぽく、アクセル開度の設定が非常にリニアに感じました。

こうしたリニアなアクセル開度の設定は一昔前のメルセデスでよく言われていたことですね。ドライバーの意思に忠実な動きとなるようにあえてそういていたのですが、日本ではそれがかえって出足が悪いと捉えられ、結果としてアクセルをガバッとふむドライバーが多くなるので高速では吹っ飛んでいく、という風に言われていましたっけ。

ディーゼル=のろい、という図式を変えるために、あえてBMWは非線形な設定を施したのか、あるいは5シリーズは7シリーズとプラットフォームを共有するので違うのかは正直申しげてわかりません。

どちらがいいのかは議論のあるところだと思いますが。

こうしたアクセル開度の設定の演出はむしろ日本車の方がうまいと思います。クラウンなんかでも、かなりスポーティな加速っぷりを見せますよね。

ですが私はあくまでもリニアな設定にして欲しかったというのが本心です。当初の開度を大きくすると、その分アクセル開度を大きくしていってもパワーが伸び悩んでいく感じがしてしまいますから。

そう、320dで、エンジンパワーが上の方で頭打ちになる、という評判をネットでよく見ますが、私は正にこの設定が原因だと個人的には思っています。出るパワーは限られているんですから、最初にたくさんパワーを出したらそのまま踏んで行っても同じようにはパワーは出し続けられませんからね。

では、今回はこの辺で失礼します。ありがとうございました。