東京はまたも雪の予報となっています。流石に先週の雪の記憶が残っているので今回は無茶をする人は少ないと思いますが、クルマ好きとしてブログをやっている以上、どうしても言わずにはいられないことがあります。
何回繰り返せば気がすむのか。
正直申し上げて、もうため息しか出ません。何がって、先週の降雪時の東京の自動車交通の惨状に、です。
東京にお住いの方はご存知かと思いますが、東京って坂が多いです。意外かもしれませんが、いわゆる真っ平らな関東平野は、実は東京よりももう少し北東よりの場所が平らな箇所であって、東京は実は道路のアップダウンが激しいです。
地形的なものの他に、立体交差というものがあります。まあ、全国版のワイドショーで、東京に方以外にはわからない道路名称を連呼しているのを見ると、全く関係ない地方在住の方が見ていて不快にならないのかとヒヤヒヤしますが、そこでよく出てくる環七・環八という環状道路では、主だった街道とは必ず立体交差になっています。
ご参考までに申し上げておきますと、東京の道路って、特に23区の西部の方は環状道路と放射状の幹線道路が基本です。甲州街道・青梅街道や玉川通りなどなど、交通量の多い幹線の国道は放射線、それを連絡する環状道路は都道で環状◯号線と覚えていれば、まあ大抵のところに行けます。1−6号線は道路名称がついているのですが、なぜか7・8だけは数字がそのまま道路名称になっており、「環七通り」「環八通り」と呼ばれています。
脱線が過ぎました。
このように坂の多い東京を時には地下を潜り、時には地上に出たりする首都高速も非常にアップダウンが激しいです。しかも、高架部分は要するに「橋」ですので、これはちょっと寒い地方に住んでらっしゃる方には常識だと思いますが、凍結しやすいです。
ここで声を大にして申し上げたいのは、
「どうしてそんな東京で雪が積もっているのにサマータイヤで走れると思ったの?」
ということです。
スタッドレスを履いている私でも躊躇します。
スタッドレスが雪道をグリップするためには?
当ブログで既報の通り、私も今年の冬もスタッドレスを履いています。山はいまだに十分で、先週の降雪がそこかしこにまだ残っていて、住宅街では溶けては凍りを繰り返しているうちにつるっつるの凍結路となっている箇所も週末はありましたが、それでもスタックすることなく走れました。改めて、ミシュランXI3の威力に感心しているところです。
ですが、そんな私でも本格的に降雪した東京を走る気にはなれません。逆に雪国の方がまだ走れる自信があります。
今、どう思われました?おかしなことをいう、と思った方は、きっとあまり雪道での運転経験がない方でしょう。逆に、当たり前でしょそんなの、と思われた方はきっと雪国の方に違いありません。
どういうことかというと、「降雪に関するインフラの違い」です。
スタッドレスを履いているからといって、万能ではありません。当たり前のことですが、タイヤがグリップしなければ前には進めないんですよね。この「タイヤがグリップする」というのは、タイヤが路面を掴むだけでなく、十分な垂直荷重もかかっていることが肝心となります。
十分な垂直荷重がかかる状態というのは、きちんとクルマの荷重がタイヤにかかっていることをさします。要するに、雪深くなってクルマが埋もれた状態になるとタイヤに十分な垂直荷重がかからなくなり、推進力がなくなるというわけです。
「いや、東京では幾ら何でもそこまで積もらないでしょ。」と思ったあなた!甘いです。先週の東京の積雪は何cmでしたっけ?はい、そうです。20cmです。では、SUVではない、通常の乗用車の最低地上高って何cmかご存知ですか?あなたの足のBMWの最低地上高は?
これは各クルマ違いがありますが、大体15cm程度と思っておけばいいでしょう。F30系では14cmで、BMWはほとんどこのくらいだと思います。
さて、これでわかりましたよね?つまり、先週くらいの積雪ですと、最低地上高を超えているわけです。つまり、理論的には「雪がお腹をこする」ことになります。
まあ、そうはいっても積雪の上を走るわけですから、実際には積雪の上面からタイヤは数 cm沈むだけでしょう。ですが、20cmというのは都心部の話です。吹き溜まりになっていたり、東京でも多摩地区などの丘陵地帯ではもっと積雪があるでしょう。ということは、いくらスタッドレスを履いていても前に進めない状態になることは起きうるわけです。
特に、東京では雪が降ったらすぐ除雪、というわけには行きません。雪国でスタッドレスでスイスイ走れるのは、路面は凍結したり圧雪路面になっていたとしても、除雪車が道路をならして、タイヤが雪に埋もれることがないようになっているからです。
これをわかっていないと、まずは「亀の子」状態でお腹が使えた状態で動けなくなります。まあ、都心部ではないでしょうけど、丘陵地帯などに行く予定の方はちょっとだけ気にした方がいいかもしれません。
除雪なんてされないと思った方がいい。
雪国暮らしの経験がある方はご存知だと思いますが、先に触れたように、幹線道路であれば降雪じは除雪車がひっきりなしに除雪してくれています。ですが、先にも触れた通り、東京にはそんな洒落たものはありません。
するとどうなるか。
雪国の住宅街の状態が、幹線道路でも起きうるんですよね。クルマが決まったところしか通らないのでそこは雪が無くなりますが、ちょっと横に逸れると雪が溜まっているので道幅が狭くなります。雪国ではそれを見越して道幅が広く作ってありますが、東京は車線幅がギリギリのところが多いので、ちょっとスリップでもすると接触事故が起きることになります。
こういう地味な違いも見逃すと危険ですよ。
スタッドレスでもここまで危険があるのに、それでもまだサマータイヤで走りますか?
サマータイヤは雪道では役に立たないことはここで改めていうまでもないでしょう。それでもサマータイヤで出る方の気持ち、実はわかります。
「仕事ででなければいけない」「東京でそこまで雪が積もることはないはずだ」「そうはいってもサマータイヤだってちょっとはグリップするんだから」・・・
では伺いましょう。あなたは、スケートリンクで、普段履いているスニーカーで全力疾走できますか?
もうこの後はくどくど言いません。サマータイヤで雪道を入るのだけは絶対にやめてください。特にBMWでは、DSCの働きで逆に全く前に進めなくなりますよ?
ニュースで報道されていること。
南海キャンディーズの山里さんが、首都高速の山手トンネルで長時間止められた体験を語ってらっしゃっているのをご存知の方も多いでしょう。山手トンネルでの渋滞を体験したことがある方はお分かりかと思いますが、あの閉鎖的な空間に何時間も閉じ込められるなんて、考えただけでゾッとします。私なんて渋滞で進まないだけで相当なストレスを感じます。さぞ、山里さんも強いストレスを感じられたことでしょう。私なんかが経験したのと比にならないくらいのストレスを、です。
この原因は、トレーラーが上り坂を登りきれなくて、先頭で詰まってしまったことにあります。そしてこれはちゃんと言及している記事などが少ないのですが、実はこの原因となったトレーラー、ちゃんとチェーンを装着していたそうです。
いかがですか?意外に思われました?そうなんです。本格的な積雪の前では、チェーンを装着したトレーラーでさえ上り坂で立ち往生するんですよ。
この事実を踏まえて、もう一つ、レインボーブリッジ封鎖の方のニュースを見てみますと、これは首都高速ではなく並行する一般道の方ですが、これはチェーンを装着せずに走行していたと。そこで進めなくなったと。
レインボーブリッジって、下を船が潜れるくらいの高さで作ってあるんですから、相当高い箇所を走っています。つまり、渡るときには上り坂を登ることになります。しかも、人口の坂ですので「橋」です。
もうお分かりですよね。橋の上は凍りやすい=雪が溶けにくいので積雪も多い、上り坂、サマータイヤ・・・絶対に無理です。なんで行けると思ったんでしょう?クルマの通りが多いから轍を辿っていけば雪がないと思った?橋の上ですよ?そんなわけないじゃないですか?首都高速山手トンネルのケースと比べると、質が違うことがよくわかると思います。
バッサリと極端に切り捨ててしまうと、山手トンネルは、首都高速の構造とそもそもの積雪に対するインフラの貧弱さ、そしてレインボーブリッジのケースは、そもそも行こうとしたドライバーの責任、ということが言えると思っています。
当日Twitterでも思わずつぶやいてしまいましたし、当記事でもなんどもいっていますが、「どうして行けると思ったの?」と聞いてみたいです。小一時間問い詰めたいです。
もういい加減やめましょうよ。
当ブログの読者様で上記のようなことをする方はいらっしゃらないと思いますが、声を大にして言いたいです。もうやめましょうよ、と。
東京都民といえども必ずスタッドレスを履けとは言いません。チェーンを巻けとも言いません。ただ乗らなければいんです。本当にその日そのときにクルマに乗っていかなければいけない用事ですか?日時をずらせませんか?クルマ以外の代替手段はありませんか?
「日時はずらせない」という方、いらっしゃると思います。まあ、こういう時はクルマ以外の交通手段も麻痺しているのがデフォですので、そういう方はスタッドレスやチェーンを装備してください。別の日でも大丈夫というなら、スタッドレスもチェーンも必要ありません。ですが、クルマには絶対に乗らないでいましょう。
そんなに難しいことではないと思います。でも・・・ここまで大騒ぎになるということは、まだまだ全体としては難しいことなんでしょうかね。
今度は大丈夫かな。
もう今から明日が怖いです(笑)。予報では夜の間振り続けて、それなりに積雪もあるようですので。「流石に今回はないだろう。」とお思いかもしれませんが、天気予報で「前回ほどの積雪にはならない予定」なんていってしまっているので、それを「積もらない」と脳内で変換してしまう人が出てしまうことを心配しています。積もるんですよ、ちゃんと。
個人的な予想ですが、この冬はもう1回くらい2月中に雪が降りそうな予感がしています。根拠は全くありません、ただの勘です(笑)。そんな時のために、普段言われていること以外に、少しだけ上のことを思い出して、雪の時に無理されない方がちょっとでも増えてくれればいいと思って、あえて今回の記事を書きました。
では、今回はこの辺で失礼します。ありがとうございました。