40代子持ちのクルマ好きが、愛車のBMW 320dツーリングを評価するとともに、ちょっとだけ日々を楽しくするクルマのある生活の話題をお届けします。

BMW全車にマイルドハイブリッド設定!といっても2025年までに、ですが。

BMW

BMWはEV/ FCVへのシフトを急速に進めるのではなく、まずは全車にマイルドハイブリッドを設定するそうです。内燃機関のさらなる可能性をさらに高め、「サステナビリティ」を実現するというわけですね。

全車にマイルドハイブリッド?!

そうなんです。これは、当ブログでも過去にご紹介した年次カンファレンスで、クルーガー会長自身が発表したそうです。

2017.3.30

BMW、「全車」にマイルドハイブリッド設定へ 2025年までに

ドイツの高級車メーカー、BMWグループがすべてのラインナップに、マイルドハイブリッド技術を採用する計画を掲げていることが分かった。

これは3月21日、BMWグループがドイツで開催した年次プレスカンファレンスで明らかにしたもの。同社の取締役会のハラルド・クルーガー会長は、「2025年までに、BMWグループの全内燃機関車が、12Vおよび48Vのマイルドハイブリッドシステムを搭載する」と発表している。

新型アウディA5発表。3つのボディタイプ、FFも新設定し計8グレードを導入

12/48Vのマイルドハイブリッドシステムは、欧州の自動車メーカーが力を入れている技術。フルハイブリッドに対して、低コストで燃費向上の効果を引き出せるメリットに、欧州勢は着目している。

環境対応車の本命といわれるEVやFCVは、インフラ整備などの面から、本格的な普及は、まだ先となる見通し。BMWグループは当面は主流であり続ける内燃機関車については、マイルドハイブリッドを重視していく方針。

写真を拡大

(レスポンス 森脇稔)

ということは、逆にいうと、あと10年くらいでEC/FCVのインフラを整備しないといけないということですね。

ところで、マイルドハイブリッドって何?

マイルドハイブリッドって、普通にいうハイブリッドと何が違うの?と当然思われるでしょう。

その言葉の感じからいうと、「マイルド」なハイブリッドですから、ハイブリッドほどはアシストしてくれなさそうですね。

これは、最近テレビCMでよくみるスズキの「エネチャージ」などと似たようなものです。つまり、減速時のエネルギーで充電し、そのパワーを、最も燃料を食う加速時にアシストとして使う、というものです。

もちろん減速エネルギの全てを電力に変換できるわけではありません(そんなことができたら今頃内燃機関の熱効率だってもっと高い=燃費が良くなっているはずです。)ので、燃費への効果は限定的ですが、それでも「ないよりはマシ」以上ではありそうです。

ここで、「?」と思われたあなた、大変鋭いです。「今BMWで既に装備されている、『ブレーキエネルギー回生システム』と何が違うんだ?」と思いますよね?

「ブレーキエネルギー回生システム」も減速時のエネルギーを電力に変換し、バッテリーを充電します。ここで、「ブレーキエネルギー回生システム」なしの車両ではどのようにしてバッテリーを充電していたのかというと・・・よくご存知の通り、エンジンが充電してくれていたんですよね。ということは、バッテリーを充電するためだけにいくばくかの燃料を使用していたわけです。例えば200psのエンジンといっても、200ps全てが走行するエネルギーに使われているわけではなかったわけですね。

これが「ブレーキエネルギー回生システム」ではエンジンがバッテリーを充電する負担が減るために燃費が良くなる、ということです。

もうお気づきでしょう。要するに、マイルドハイブリッドはこの「ブレーキエネルギー回生システム」が進化したものといっていいと思います。つまり、エンジンが積極的にバッテリーを充電するわけではないけれども(もちろん、バッテリーがピンチの時は助けてくれるでしょうが)、その代わりに減速時の運動エネルギーをなるべく充電します。そして充電された電力で、今度は加速時にエンジンを助けて、燃料の消費を少なくしてくれるわけです。

エンジンとバッテリーの素敵な関係がエンジンルームで築かれるわけですね。なんかロマンチックです(笑)。

ディーゼルにこそマイルドハイブリッドを!

私が当ブログで散々実例を挙げて力説している通り、ディーゼルエンジンは燃費がいいです。特に、平地の高速道路を一定速度で巡行するなど、一定の負荷で走行する時には異次元と言ってもいいほどの低燃費を叩き出します。

これは直噴ターボという機構があってこそ、パワーとの両立が可能になっているのですが、「ターボ」エンジンであるがゆえに苦手なのが、高負荷時の燃費。特に加減速が多くなると如実に燃費が落ちます。まあ、これはガソリンエンジンもですが。

ここで強い味方となるのがバッテリーによる加速のアシストです。これで、燃費とパワーの両立の観点では最強かもしれない直噴ディーゼルターボをアシストしてやれば、うまくすれば低速走行時の異次元の低燃費を、加減速の多い市街地でもさほど損なうことなく続けられるはずです。

その証拠に、メルセデスのS300h、言わずと知れた、現在唯一のディーゼル・ハイブリッドですが、あのボディの大きさにして驚異的な燃費を誇ります。佐多岬〜六本木の無給油走破チャレンジはまだ記憶に新しいですよね。ここまでではないにしても、上記のクルーガー会長の発表の持つ意味は、こういう世界がBMWでも見られるようになるかもしれない、ということに他なりません。

そう、「全車種」ではなく「全車」にマイルドハイブリッドを設定するわけでですから。

もうちょっと早くなりませんかー?

それにしても2025年までというのはちょっと遅すぎます。もうちょっと早く、MYの変更やLCIのタイミングを捉えてどんどん投入してほしいものです。

マイルドハイブリッドであれば、さほど巨大なバッテリーを積んでいるわけではないのでバッテリー交換の際の負担も小さくて済みますし、排ガスは減りますし、ユーザーにとっても、排ガス規制に苦しむ自動車メーカーにとっても嬉しいことばかりじゃないですか?その分お値段も高くなってしまうようでしたらそれは悲しいことですので、ここは是非頑張っていただいて(笑)、全てのユーザーに行き渡るようにしてほしいですね。

それにしても時代も変わったものです。あのBMWが10年後には全車種でマイルドとはいえハイブリッド化。すると20年後には純粋に内燃機関のみで走る車というのはもう新車では手に入れられなくなるどころか、街中でも珍しいものになっているかもしれませんね。

その時まで頑張って元気で働いていたいものです。

では、今回はこの辺で失礼します。ありがとうございました。