X1の大本命、X1 xDrive18d。Toto BMWさんで試乗車の用意ができたということで、早速試乗して参りました!それは、このクルマが驚愕の完成度を誇る、コンパクトSUVの決定版と言えることを確認した体験となりました。
1本の電話から。
私の携帯電話に、Toto BMWのご担当のUさんからご連絡をいただきました。
「X1のディーゼル、試乗車が準備できました。」
ああなんという甘美な囁きでしょう。発売日当日に試乗できるなんて!もういてもたってもいられず、早速試乗に行きたいところですが、例によってスタートの遅い我が家。結局家を出発したのは昼ご飯を食べてからとなりました。
Toto BMWさんに到着!
実は、私の興味はもう一つありました。そう、この記事でご紹介した318iツーリングですね。
それにしても今日の東京は道が混んでいました。はやる気持ちを抑え、ようやくとどりついて店舗内に入ります。
ありました!318iツーリング!
グレードはLuxury。室内をのぞいてみると・・・
やはり本革シート標準装備。ものすごく豪華です。シートバックのサイドにある、薄いブラウンのパイピングがいいですね。
一応座席に座ってみましたが・・・ん?なんだか記憶の中の3シリーズの本革シートとちょっと変わりましたね。もちろん、いい方向に、です。
なんというか、表面がふんわりしているのにコシがあってしっかりしている上に、革の質感がかつてはザラザラしたものだったのですが、非常にさらっとしつつも滑らかなものになりました。
これは布シート派の私でも納得です。
そして注目のエンジンルーム。
さすがにスカスカです(笑)。6気筒も乗る箇所に半分の3気筒なんですから当たり前ですが。
ところでこの展示車の色、すごくいい色だと思いました。写真ではわかりにくかもしれませんが、プラチナ・シルバーという色で、カタログカラーでもあります。少しゴールドがかっていて、「シルバー」というより「シャンパンゴールド」といった方が良さそうな色です。
内装も私の車ではグレーの箇所が薄いブラウンになっていまして、大変上品な色の組み合わせでした。
ご担当のUさんとお話ししていたのですが、やはり「エンジン自体は218iとかと同じですので、燃費には定評があります。滑らかですし、踏んで回して走れるので、楽しいですよ。パワーも全く不足ありません。」とおっしゃっていました。
気になる燃費は街中でも12km/Lは下らないとのこと。320iよりも大体1-2km/Lくらい燃費が良いそうです。
試乗もしてみたかったのですが、Toto BMWさんの試乗車は、私がいつもお邪魔している東久留米本社ではなく、東大和営業所にあるとのこと。行って試乗してもよかったのですが、次の楽しみにとっておくことにしました。
※2016/11/27追記:
318iの試乗のご報告はこちらの記事です。ご一読ください。
X1 xDrive18dとご対面。
ご対面しました。もったいぶらずに全体を写しますと・・・
まあ、普通にX1です(笑)。シルバーのXlineでした。
実は私、X1に乗るの自体も初めてなので、しげしげと観察してみました。やっぱりエンジン横置きですのでボンネットが短いですね。ですがこれがスペースユーティリティの高さに大きく寄与しています。私のドライビングポジションに合わせても、後席は広々。ずり落ち気味にだらしなく座っても、膝回りはまだ余裕があります。後席スライド機構の威力ですね。3シリーズより広いです。
その中でふと気になったのがフロントグリルです。
すみません、ちょっとわかりにくいでしょうか?ここも「逆スラントノーズ」のグリルになっているんです。逆スラントノーズに関しては、こちらの記事でも触れていますので、ご一読いただければと思います。
そして、この写真からではわかりにくいのですが、グリルの上1/3位は実は塞がれているんですよね。この理由をUさんに伺ってみたところ、よりダウンフォースを稼ぐために、という空力上の理由でした。
「X1でダウンフォース?」と思われるかもしれませんが、クルマはフロントに揚力が発生します。そして、これは当然ながら高速安定性を失わせる方向に働きます。
このために、自動車メーカーはあの手この手を使ってクルマを地面に押し付けようとするんですね。最近の流行はF1などのフラットボトムに代表されるように下面を流れる空気を整流するという考えかたですが、こちらはオーソドックスに、クルマの上を流れる空気を整流して、クルマを地面に押し付けようという発想ですね。
私は全く気づいていなかったのですが、実は7シリーズでは、この空力上の理由で、グリルはほとんど閉じたままの状態だそうで、エンジンルームに追加で冷却が必要になった時だけ自動で開くらしいんです。要するに、BMWのキドニーグリルはすでに冷却のためというよりも、BMWのアイデンティティのためにあるんですね。
おっと、話を戻して、早速X1 xDrive18dに乗り込みましょう。
ディーゼルを真に全く感じさせないドライブフィール
X1の車高くらいが、日本人にはちょうどいいと思います。身長175cmの私が、すっと腰を横にスライドさせるとちょうどそこに座面があり、非常に楽に乗り込める高さです。
シートやインパネの眺めは、2シリーズアクティブ/グランツアラーに共通するそれで、特に目新しさはありません。
キーがドリンクホルダーにおいてあるのを確認して、エンジンのスタートボタンを押します。
が。
ぷるん。
これだけです。アイドリングしているはずなのに、一切の振動と音がありません。これは大げさではなく、私の320dツーリングよりも遮音と制振は明らかに高レベルにあります。まあ、後期型の3シリーズも私のよりも静かなんですが。
2シリーズアクティブ/グランツアラーの非線形アクセルの設定を思い出し、ソローっとアクセルを踏んで発進しました。モードはCOMFORT。
やはりかなり非線形な設定で、ちょっとアクセルを踏んだだけでかなり元気よく加速していきます。ただ、これまたディーゼルを感じさせないのですが、加速感はあくまで穏やかです。私の320dツーリングのように、有り余るトルクで車体を力強く押し出す、という感じではありません。
そして、路面がザラザラしている青梅街道を走り出して気づいたのが、タイヤの感触が滑らかなこと。ロードノイズの遮断も良くできていて、これまた3シリーズに匹敵するレベルです。
ただ、乗り心地は結構ゴツゴツします。これは当然ながら、今日の試乗車が下ろしたての新車であったことに関係があるのでしょうね。しばらくするとアタリがついて、滑らかな乗り心地になるでしょう。私の320dツーリングもそうでしたから。
それにしても、フロントウィンドウが広くて視界がいいです。さほど高い位置に座っている感覚はありませんが、やはり見晴らしはいいですね。こんな感じです。
ミラーに私が写ってしまっていますが気にしないでください(汗)。試乗した道も混雑していましたが、この視点が高いのはストレスを感じなくていいです。
距離はあまり乗れなかったのですが、20分ほど感触を確かめるように走ってみました。
COMFORTでアクセルを深く踏むと、きちんとそれに反応して勢いのいいダッシュを見せます。一方でECO PROモードにすると穏やかに走れるという2面性を持つのは、すべてのBMWに共通する特徴です。
ただ、ちょっと困ったのが、iDriveのコントローラーやスイッチが遠いこと。これは2シリーズアクティブ/グランツアラーでも感じたのですが、3シリーズに慣れた私からすると、ちょっと左肩を落とす感じでないと手が届きません。
これは馬鹿デカい体格の良いドイツ人に合わせたリーチなんでしょうかね。VWでも同じように操作系が遠いですから。
試乗を終えて。
試乗を終えてToto BMWさんに戻ってきた時、私が一番最初にしたのは、上の写真の「xDrive18d」のエンブレムを確認することでした。そう、実は一番最初に掲載していますが、あの写真は試乗後に撮ったものです。
なぜか?
あれだけディーゼル!ディーゼル!といって試乗したのに、あまりにディーゼル感がなかったので、本当にディーゼルだったのか確認したくなってしまったんです(笑)。
このクルマに乗って「やっぱりディーゼルだからうるさい」「やっぱりディーゼルだから振動が大きい」という方はいないでしょう。いえ、いないに違いありません。そのくらい、ガソリンエンジンとの違いはないですね。
そうなると逆に心配してしまうのは、xDrive20iの立場です。
試乗後にUさんとお話しさせていただいたのですが、やはりディーラーサイドでもxDrive20iよりも価格も高くなると考えていたみたいですが、蓋を開けてみたらxDrive20iよりも価格が低い上に、この完成度。まあ、よく考えれば、ドイツ車的ヒエラルヒーとしてはパワーとトルクによって値付けがされているのですから、xDrive20iよりもパワーが劣るxDrive18dが安いのは当然かもしれません。ですが・・・。
xDrive20iが売れなくなっちゃうのでは?との私の問いに、「そうなんですよね。」とUさんも若干心配顔でした。
そうそう、時々ファミリーキャンプに行く私としては、荷室も気になります。特に床下収納がどのくらいの広さなのか。
広大です。荷室の床面全面に床下収納があります。もちろん、この蓋といいますか、床面となる板はかなり厚みがあってガッシリした作りですので、普通の状態で何も考えずに重量物を積んでも大丈夫そうです。
PHVではここにバッテリーが敷き詰められるのでしょうね。
そして、テールゲートには電動でクローズするスイッチもついていました。私の320dツーリングと全く同じものです。これは私も予想外だったのでUさんに確認したところ、オプションのコンフォート・パッケージに含まれる内容とのことでした。
ちなみに、短い試乗でしたが、市街地を這いずり回り、時々アクセルを深々と踏んで加速を試したりと地球に優しくない運転パターンではありましたが、オンボードコンピュータベースで11.8km/L。普通に走れば市街地で12km/Lくらいは行くかもしれません。
コンパクトとはいえ、重い車体のSUVであることを考慮すると驚異的な低燃費ですね。
トータルでいくらくらいするんでしょう?
なんとUさん、買いもしない私にざっくりとした見積もりまで用意してくださっていました。
オプションはコンフォートパッケージのみのxLineで、トータル約504万円。コンフォート・パッケージがついていなければ後席スライドも電動のテールゲートスイッチもありませんので、X1の魅力を十分に引き出すには必須のオプションと考えた方が良いでしょう。
X1はかなりの人気車種ですので、値引きは見込めません。ですので、このくらいは予算としてみておかなければというところです。
そして気になる在庫状況ですが、初期配備で多めに入って来ているものの、それは年内にはすべて捌けてしまうでしょう、とのこと。Toto BMWさんがディーラーとして確保していた在庫もすでに売れてしまったそうです。
今日が発売日当日なのに、です。予約分だけで完売御礼、というわけですね。すごい人気です。
この初期在庫がなくなったら後は発注になってしまうとのことです。考えようによっては、どうせ待つのだったら自分の思うようにオプションを組み合わせて自分だけの1台を作り上げるチャンスでもありますが・・・やっぱり早く欲しい!という方はお早めにディーラーへ行かれた方がいいと思います。
ディーラーからの帰りに。
ちゃっかりキャンペーンのノベルティのスクラッチをやってオリジナル・マーカーをゲットしてジュースを頂いていた息子を呼んで、我が愛車に乗り込みました。
X1の洗練されたエンジンに慣れた後では、我が愛車の音と振動にさぞやがっかりするだろうと思っていましたがさにあらず、そんなことは全くないんですよね。
明らかにX1のディーゼルの方が静かに感じたし、振動もないのになんでだろう?と考えてみましたが、320dツーリングもそれなりの遮音と制振をしているということなんでしょうね。エンジン自体を遮音している印象のX1に比べて、室内の密閉性の高さで遮音している320dツーリング、という感じです。
そして3シリーズに比べてやはりコストダウンをしてあの価格を達成しているだけあって、シートの座り心地や走り出した時のフラット感は3シリーズがやはり数段上です。これはセダン/ステーションワゴンとSUVというボディタイプを考慮する必要もありますが、やはり3シリーズはそれなりにコストと手間をかけているクルマであることを改めて実感しました。
ですがそれでX1のディーゼルの魅力が薄れるものではありません。コストを下げつつもまぎれもないBMWの乗り味を実現しているX1のディーゼルは、これからのBMWを牽引する大人気モデルになることは既に確約されているも同然です。
では、今回はこの辺で失礼します。ありがとうございました。