40代子持ちのクルマ好きが、愛車のBMW 320dツーリングを評価するとともに、ちょっとだけ日々を楽しくするクルマのある生活の話題をお届けします。

自動運転に向けて、自動車メーカーの試練

先日のニュースで、ダイムラー・ベンツとBMWがAppleとの交渉を中止したとの報道がありましたね。Googleの自動運転車も開発中ですし、これからの自動運転はApple・Googleの2大メーカーと自動車メーカーが共同で開発していき、業界地図は塗り替えられると思っていたのですが・・・

自動車開発の過去・現在・未来

かつて、自動車メーカーは強者でした。

トヨタの「系列」に象徴されるように、部品メーカーを自社のヒエラルヒーの中に取り込んで組織化することでメーカーの開発依頼に対する競争を行わせることで、より優れた技術を、より安価に調達できるような仕組みを構築し、さらに安定的な部品供給を受けることを実現していったのです。

ですが、現在はそうなっておりません。

現在、直噴技術の確立から始まった技術革新はすべての環境対応車に及び、いまや低燃費車で直噴エンジンを積んでいないものはありません。中でもピエゾインジェクターとセットになったコモンレール式直噴ディーゼルエンジンというものは、それまでは1ベンダーに過ぎなかったBOSCHが開発した技術です。それをメーカーに売り込み、爆発的に広がったという、従来とは違う構図でした。

その他にも、タイヤメーカーとして有名なコンチネンタル。こちらも実はいろいろなベンダーを買収して傘下に収め、今やタイヤメーカーというよりも1大ベンダーです。完全自動運転の実現に向けて、センサーなどの開発をしています。

そしてこれからの完全自動運転に関する技術ではAppleやGoogleといった、IT産業との連携が欠かせません。現にGoogleは自動運転車のテストを行っているのは周知の事実ですよね。

自動車メーカーは単なる組み立て業者になっていく?!

上記から既にお気づきかもしれませんが、現時点ですでに自動車メーカーのトップダウンで系列ベンダーが部品開発を行っていた時代から、ベンダーが自ら開発した商品を自動車メーカーに売り込んで採用するというように、相対的に自動車メーカーの影響力が弱まっています。

これだけで決めつけるのは早計ですが、先に述べた「安価で安定的な部品供給」の前提が崩されてきているわけです。競争力があり、次世代車に不可欠な技術を開発したベンダーは、自動車メーカーに対して強気の営業をかけることができるようになりますからね。

それでもまだ現在は自動車業界の内部で収まっているので、状況としてはまだマシです。

これから求められる自動運転の技術に関しては、クルマ自体にOSが必要となってきます。そこまで自動車メーカーが内製するかというとそんな非効率的なことをするわけがなく、当然自動車産業外の企業との提携が必要となってくるのです。

IT技術の進展は誰もが予想できなかったくらいのスピードで進んでおり、プロ棋士に勝利するような人工知能が出てくるような世界になっています。いずれ完全自動運転が成熟してくると、相当高度な人工知能がクルマに搭載され、重要な地位を占めるであろうことは想像に難くありません。

このとき、自動車メーカーはどうなるのでしょう?人工知能という、超重要機能を納品するベンダーに自動車開発のイニシアチブを持たれるようになり、従来のクルマの楽しさはなくなっていってしまうのでしょうか?

これがあながち妄想とも言い切れないニュース

それが冒頭で申し上げたニュースです。既に水面下では主導権争いが始まっていることを示していますよね。

これ以上はご想像にお任せしますが、私が願うのは、ユーザーに不利益となるようなことだけは起こらないでほしい、我々クルマ好きが今後の将来を明るく展望できるような未来であって欲しいということです。

※2016/4/25追記
スバルはIBMのWatsonを搭載することが決まったそうですね。Eyesightを武器に業績急拡大中のスバル、さすがです!

ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
今回はこの辺で失礼いたします。