ご存知の通り、現代のF30系のステアリングのパワーアシストは電動です。BMWのものではないですが、かつては電動パワステといえば「感触が悪い」「変なフリクションを感じる」と悪評ふんぷんでした。ですが、F30系、しかもMYが下るほど感触は良くなってきている気がします。
まずはE90のパワステの話から。
私が乗っていたE90の前期型のパワステは電動アシストではなかったのですが・・・それはもう、各クルマ雑誌で評判が悪かったです。「不自然な重さ」が一番の理由でした。
ドイツ車って、馬鹿力膂力の強いドイツ人に合わせているのか、ステアリングが日本車の標準からすると重いんですよね。これだけなら「いや、きっとアウトバーンでの超高速走行に備えて重くしているに違いない」とお思いになるかもしれませんが、他の操作系も同様に日本車の標準からすると重いのを確認するにつれ、やはり馬鹿力膂力の強いドイツ人基準に違いないことを確信しました。
ただ、この重さはある程度のスピードになると却って安心できます。ですので、E90を高速道路で運転すると、上屋がピターッと安定しながら直進していく様を体感できてかなり爽快でした。
翻ってF30では。
2012MYの320iではどうだったかというと・・・E90に比べるとステアリングは劇的と言っていいほど軽くなりました。よくある、車庫入れでステアリングを手のひらで抑えてクルクル回すアレができるようになったんです。とはいえ、かなり強引に押さえ込まないと無理ですけど・・・。それと引き換えに、同じような比率で高速走行でもハンドルが軽くて直進には気を使いました。
それどころか、追い越し車線の流れに乗って走行すると、フロントが若干リフトするのか、ステアリングに伝わる接地感が若干希薄になってステアリングセンターの座りが悪くなるのが感じられて戸惑いました。絶対的な直進性はそう悪くはないのですが、なんというか、フラついているような気がしてきてしまうんですよね。
これが2015MYの320dツーリングに乗り換えた時はまた変わりました。まず2012MYよりも若干軽くなりましたが、当ブログでも以前ご紹介した通り、非常に神経質で直進性が悪く、ホイールアライメントを若干直進性重視に変えてもらって解決しました。
ただ、この時も基本的なクセは前の320iと変わらないままでした。つまり、これで正常な状態だと思っていたんですね。ステアリングセンターが座ってきた感じはしましたが、やはりフロントのリフトが感じられました。
そして今年になって、夏休みの長距離ドライブの前にもう一度アライメント調整をしていただいて、超長距離を運転していて、なんだか今度はすごく変わっていることに気づきました。
今年のアライメント調整の記事でもご紹介したとおり、ステアリングセンターの座りが非常によくなったんですね。かなりビシッと直進します。
そうなんです。この記事の中でも申し上げている通り、「矢のように」直進するようになったんですね。
最近確信したんですが・・・
まあ、高速でハンドルを「切る」機会はあまりないので気のせいかと思っていたんですが・・・高速でハンドルがちゃんと重くなっているんですよ。
出雲大社に行った時にも思ったのですが、さすがにこれはプラセボだろうと思って流していました。ですが、先週末に走った時に「・・・やっぱりしっとり重くなってるよね?」と気付いたんです。
出雲大社に行った時には、中国道や米子道はいくらカーブが多いと言っても高速道路ですので、あまりハンドルを動かしません。ですが先週末は首都圏近郊の自動車専用道路なので、幹線の高速道路に比べたら明らかに低規格ですから、カーブのきつさは比になりません。そこでちょうど気付いたんですよね。
直進している時にステアリングをセンターから左右のどちらかに切ろうとしてもしっとりしているんです。せいぜい70km/h〜80km/hの世界なので、この時も最初は気のせいかな?と思いましたが、その後仔細に観察してみると・・・やっぱりしっとりと重いんですよ。
もちろん好ましい変化ではあるのですが、なんでなのか、原因が気になります。。。
もしかして、アライメントのスイートスポットが異常に狭い?!
思い当たることは2つ。
- 1年点検で、プログラムのアップデートがあったらやっておいてくださいねー、とお願いしたこと。
- アライメント調整をしたこと。
このうち1は、ディーラーさんでアップデートはなかったので特に何もしていません、と言われたのでボツ。となると2なんですが・・・昨年のアライメント調整ではそこまでは変わりませんでした。
ですがよく考えてみると、あくまでも基準値の範囲内ですが、直進性重視のアライメントにしてあります。つまり、設計上想定されている理想値ではなかったんですよね。これはこれで効果はあったのですが、今年の調整では何も言わず、基準値に調整してもらっています。
要するに、今回のアライメント調整がスイートスポットに入ったと。考えられるのはこれしかないんですよね。
でも、こんなに違うものなんでしょうか?昨年の調整直後がどうだったかはどうしても思い出せないのですが、アライメントは時間の経過と共に徐々に狂ってきます。だからこそ1年ごとくらいに見てもらっているのですが、徐々に時間をかけて変わっていくと気づかないんですよね、変わっていることに。調整する時は一気に変わりますから、このように感じ方が激変したのかもしれませんね。
正直、パワステの制御はメルセデスに負けていると思っていました。
SL550を運転した記憶の中では、高速走行になると明らかにステアリングがどっしりと落ち着いて非常にリラックスして運転できたんです。これに痛く感心したのですが、さすがに直進性で定評のあるメルセデスと比べるとBMWはコーナーをひらり、ひらりと抜けている方を重視しているんだなあと考えていました。
ですが、サーボトロニック搭載車には敵いませんが、適切にアライメントを調整すればちゃんと直進もカーブもよくなるじゃないかということを発見して嬉しい限りです。ちなみになんと、フロントのリフトもなくなっているんですよ。追い越し車線の流れに乗ってもステアリングにしっかりと接地感が伝わってきて思わずE90の感触を思い出したくらいです。とするとフロントが実際にリフトしていたわけではなかったのでしょうね。
でも・・・これを維持するのって結構大変かもしれません。アライメント調整を必ず1年ごとにやればいいですが、近くにいいショップがなかったり費用が高かったりしたらアウトですもんね。なんだかいかにもメカ系が神経質なBMWらしいとは思いますが・・・。
「BMWは直進性が悪い」は既に過去の話だと思います。
私の結論はコレです。
とはいえ、なんだか益々アライメント調整が重要になってしまいましたが、きちんとポテンシャルを発揮させようと思ったら仕方がないのかな、とも思います。
やはり購入直後でもアライメント調整はしておいたほうがいいですね。もしかしたら今お乗りのBMW、ちゃんと設計通りの直進性を発揮していないかもしれないと思ったら一度タイヤショップで点検だけでもしていただくことをオススメします。
ただ、ここまで熱く論じておいてなんですが、あくまでも私の主観ですので、もしかしたらこの記事の通りに感じないかもしれないことはお断りしておきます。
運転スタイルや普段走る道って、人それぞれで違うものですからね。
では、今回はこの辺で失礼します。ありがとうございました。