今ではどうなのかわかりませんが、昔は左足ブレーキって流行っていたように思います。私も一時期だけ左足ブレーキを使っていましたが、今ではアクセル・ブレーキ共に右足しか使っていません。ですが、最近は左足ブレーキも状況によっては使った方がいい気もするんです。今回は、左足ブレーキの話題や運転時の足の位置について、私が考えたことをお話ししたいと思います。
高齢者に限らず、ペダルの踏み間違いによる事故が多い。
実は私はこれに関して苦々しい思いを感じています。というのも、こうした事故は昔から、具体的にはAT車が普及した時からあったはずです。ですが、私の記憶が正しければ、かつては「ATの不具合」「AT車の暴走」といった形で、クルマのせいにされていました。
こうした事故が大きく報道されるたびに、子供心ながらに「どうせペダルの踏み間違いなのに車のせいにするなんて!」と憤っていました(笑)。可愛くない子供ですね。それが最近になってようやく運転者の操作ミスとして認知されるようになったと思っています。
ペダルの踏み間違いによる暴走事故というと、最近話題になっている高齢者による事故を思い浮かべるかもしれませんが、実際には全年代に幅広く起こっていると思います。具体的な統計が見つけられないのでわかりませんが、報道では高齢者が事故を起こすといちいち「高齢者による」とつけるくせに、普通に30代40代の人が同様の事故を起こしてもそのように報道しませんよね。でもよーくニュースを見ると、実際には高齢者ばかりではありません。
当ブログをお読みの方はクルマ好きの方が多いと思いますが、たいていの方は「ペダルの踏み間違いなんてしないよ!」とお思いでしょう。実際、私もそう思っていました。ですが、ペダルの踏み間違いでの暴走って、間違ったとわかっても「あれ?なんで止まらないの?」と焦ってさらに踏んで、踏み間違いに気づいた時には体が硬直して踏み換えられないからこそ事故が起こるんですよね。
きっと、全ては一瞬のことです。そう考えると、誰の身に起こってもおかしくはないと思います。
左足ブレーキは有用なのでは?
BMWドライバーズ・トレーニングでは基本的にアクセル・ブレーキペダルは右足で操作するように教えています。かつてチーフインストラクターの菰田潔さんの本を読んだ時、理由としては「MT・ATが混在している中で、ATだけ左足でブレーキを踏むというのはおかしい。大体、ブレーキペダルは真ん中ではなく右寄りにつけられている」ということが書いてありました。まあ、ちょっと引っかかるところはありますが納得できる話だと思います。
一方で、AT車のブレーキペダルって、明らかにMT車より大きくて、左足でも無理なく踏めるようになっています。ここで、もうこれからMT車を運転しない人がいたとしたら、どうでしょう?これから運転するクルマが必ずペダルが二つなのであれば、右側にあるアクセルペダルは右足で、左側にあるブレーキペダルは左足で踏む、というのは一定の合理性があると思います。
MT車をこれから運転しない人・・・大抵の人はここに入ると思います。そして、高齢者はその確率がもっと上がると思います。ですので、左足ブレーキを、ペダルの踏み間違いを防ぐ運転法として推奨してもいいのではないでしょうか?もっと言えば、アクセルペダルとブレーキペダルの間に、ステアリングコラムに沿って板を設置して仕切ってしまってもいいくらいだと思っています。もちろん、オプションにして欲しいですけど。
左足ブレーキ、私も時々使っています。
普段走行中は使いませんが、狭い場所で車庫入れするときなどに使いますね。例えば、家内の実家に行くと、車庫に入れる際に段差を乗り越えてはいるのですが、後輪が少し段差に乗りかかった状態で切り返さないといけないことがあります。これ、ブレーキペダルからアクセルペダルまで素早く足を載せ替えてもその時に前の方にグッと動いてしまって、ギリギリで切り替えしているために壁にぶつかりそうになりますので、そういう時に左足でブレーキを踏みつつ右足でアクセルを少し吹かすわけです。
あとは・・・私は使ったことはありませんが、ローンチ・コントロールの時ですね。この時は左足でブレーキをいっぱいに踏んで、アクセルを全開にし、回転がサチュレートしたところで左足をパッと離すと最速のダッシュができるようになります。
そもそもペダルを踏み間違えるということは、足を置く位置が悪いのでは?
まあ、上記は一つの提案ですが、そもそもペダルを踏み間違えるということ自体、私は今の自分の運転では考えられません。ですが、踏み間違えるとしたらこのように運転しているのではないかなぁという想像はつきます。
運転している時って、足ってどのようにしていらっしゃいますか?大きく分けて、かかとをつけて足の向きでペダルをふみかえる方、踏み換えのつど足全体をあげてペダルを上から踏む方の2通りに分けられると思います。
そして、先に結論を言ってしまうと・・・前者が正解です。正解というか、自動車メーカーもそれを想定してペダルの位置・角度を決めています。そして、かかとを支点にしないと、微妙なペダルワークができません。踏み換えのつど足全体を持ち上げて上から踏んづけていると微妙な調整はできないのでかっくんブレーキになりますし、ましてや足を下ろした時にちょっと間違えると、停止するつもりが暴走したりします。
証拠をお見せしましょう。ドライビングシューズでは有名な憧れのイタリアンブランド、TOD’Sのドライビングシューズをご覧ください。
いやー、エレガントですね。ですが、ここでご注目いただきたいのは、かかとまで幅広く回り込んでいるソールです。これ一つを取ってみても、この部分、つまりかかとを支点にすることが前提にされていることがわかりますよね。
ただし、一つだけ例外が。パニックブレーキです。こればっかりは、右足のかかとをつけないで、思いっきりペダルを蹴飛ばしてください。そうでなとABSが作動するほどの強さでブレーキペダルを踏むことはできません。
ただ、そうするとやはり踏み間違いの心配が出てきますよね。そういう意味で、BMWやメルセデスのようなオルガン式ペダルというのは操作しやすいだけでなく、踏み間違いを防げる(明らかにブレーキペダルとアクセルペダルが違う)ので、素朴な安全装備といっていいのではないでしょうか。
最近はもう一つ悩みが。
最近のBMWにはほとんどのクルマにACC(アクティブ・クルーズ・コントロール)が装備されています。
つまり、右足でペダルをずーっと踏み続けなくとも勝手に設定スピードで進んでいくばかりか、前者に追従して減速から停車までやってくれるので、右足の出番がすっかりなくなります(笑)。
ドライビングポジションって、普段は右足のかかとを支点に床についていることが前提になりますよね。そうすると、手持ち無沙汰になった右足はどうしよう、ということになるわけです。
だらんと弛緩させて休憩しようにも急な事態に対処できるようにいつでもブレーキを蹴飛ばせる準備をしていなければいけませんし、かといってアクセルペダルに乗せていると、せっかくのACCの車間距離設定が無効になってしまい、意味がなくなってしまいます。
これは結構悩ましいですよね。実はこの話題、早く記事にしなければと思っていたところ読者様からの質問をきっかけに今回書いたのですが、すでに読者様から「自分はこうしている」といった情報もお寄せいただいています。
ちなみに私は、状況によりますが、アクセルペダルの手前に置いています。多少足を折りたたむ形になりますが、すぐにブレーキを蹴飛ばせる位置となるとこの位置かな、と。そして、特に周りにクルマがいない時には足首をクリクリ回してストレッチしたりしています(笑)。ただ、一つだけ気をつけていることがあるとすれば、そんなことはしませんが、右足がブレーキペダルの下に入らないようにしている、ということです。この位置ですと足を引き上げてブレーキペダルを蹴飛ばしてパニックブレーキを踏もうにも、ブレーキペダルに引っかかってしまって足をあげられなくなるためです。
「状況による」といったのは、周囲にクルマがいる状況で前車に追随している時、例えば休日にお出かけして東名高速で夕方から夜にかけて帰ってくると、御殿場ICあたりからほとんどそのような状況になりますが、そうした時はタイムラグなくブレーキペダルを踏めるように、ブレーキペダルの前でかかとを支点にしてつま先を浮かせています。
「アクセルを踏みやすい」よりも「タイムラグなくブレーキが踏める」ことを優先しましょう!
当たり前のことですが、安全のためにはやはりブレーキを最速で踏める準備をしておくことが大切です。
こう言うと、常に緊張して身構えていなければいけなさそうですが、そうではありません。以前も話したことがあるかもしれませんが、私は武道を嗜んでいましたが、極意は「自然体」です。広く視界を確保して、全身をリラックスさせていることで相手の瞬間的な動きに、頭で考えるより先に反応できるようになります。いわゆる「無念無想」の境地ですよね。
もうバレバレですね。そうです。私がやっていたのは剣道です。
「無念無想」、特に武道の達人でなくともできます。ご経験ありませんか?ぼーっとしている時に何かボールなどが急に飛んできて、瞬間的に動いて避けられたこととか。それですよ。体が固まってはいけません。あくまで体をリラックスして、周囲のクルマの動きを広く視野に入れて、危険があったら瞬間的にブレーキングする。この時に障害にならなければ、足の置き場所はどこでもいいと思います。特に、上でも申し上げたように、BMWではアクセルペダルがオルガン式になっていますので踏み間違える可能性は低いですからね。
では、今回はこの辺で失礼します。ありがとうございました。