考えてみたら、寒冷地でのディーゼルって、他にもガソリンエンジンと違う挙動をする点があります。これはディーゼルの構造的なことから仕方がないのですが、エンジンがすぐにはかからないことがあります。
グロープラグ
グロープラグってご存知ですか?
ディーゼルエンジンには装備されていますが、ガソリンエンジンにはありません。
「あれ、ディーゼルって断熱圧縮での自然着火だからプラグってないんじゃないの?」
と思われた方、鋭いです。
ですが、このグロープラグは、点火するためのものではありません。どちらかというと、電熱線と言った方が近いと思います。
また昔語りになってしまって恐縮ですが、私が学生の頃、ケーキ屋さんの工場でアルバイトをしておりました。そこで支店や卸先に配送する仕事をしていたのですが、運転するのは当然保冷車のトラックです。
保冷車も大小2台ありまして、小さい方はガソリンエンジンでしたが、大きい方はディーゼルでした。クリスマスの時期などはこのトラックにデコレーションケーキなどを満載していくわけです。積むのも気を使いますが、運転も異常に気を使います。何せ手作りのデコレーションケーキですので、ちょっと強いブレーキを踏んでしまうと、職人さんたちが徹夜で作った何百個というデコレーションケーキがおじゃんです。
気を使うどころか、すごいプレッシャーですよ。
で、ディーゼルのトラックですが、このクリマスの時期には朝一でエンジンを始動しようとしてキーを捻っても絶対に一発では始動しません。寒いと断熱圧縮しても自然着火に十分な温度まで上がらなんですよね。
ですので、儀式が必要です。まずはキーを捻ってONの位置にします。するとメーターパネルにグロープラグを模った警告灯が点灯するので、それが消えるまで10-15秒ほど待ちます。この間、グロープラグが電気の熱でエンジンを温めるわけです。警告灯が消えたのを確認してからキーを捻ると始動します。
現代のBMWのディーゼルエンジンでは?
現代のBMWにおいては、エンジンスタートはボタンを押すだけですね。一応、ブレーキを踏まずにエンジンボタンをプッシュすればONと同じようなステータスにできますが、どうすればいいのでしょうか?
結論から申し上げると、普通にボタンを押すだけで大丈夫です。そもそも、東京都内の冬くらいの気温ですと、全く気にすることなく通常通りに間髪入れずにエンジンがかかります。
You Tubeで探してみるといくつか動画があります。中でも一番わかりやすいのがこの動画ですね。
-35℃って、相当極寒ですね。クルマにビッシリついている雪ですとか、いかにも寒そうです。-35℃って、あれですよね、バナナで釘が打てる(@モービル石油)とか、濡れたタオルを振り回したら凍るとか、そのくらいの温度ですよね。
そして、そんな気温にも関わらず、わずかなタイムラグのみであっという間にエンジンが始動しています。私のアルバイトのトラックと比べるのもなんですが(笑)、隔世の感があります。
まあ、日本では北海道の内陸の山の方でもなければ滅多に-35℃なんていう気温にはならないと思いますので、日本ではほぼほぼ瞬間的にエンジンがかかるでしょう。
そして、始動するときのメーターパネルをよく見ると、グロープラグが作動している警告灯がついた後に、自動的にエンジンがかかっていますね。
この警告灯、もちろん日本仕様にもあります。私のクルマでエンジン始動直後にタイミングを合わせて撮った写真がこれです。
ものすごく撮影に苦労した割にはあまり見栄えのしない写真ですね(泣)。この警告灯のうち、シートベルト警告灯の左隣、なんだかエンジンを横から見たような形の警告灯がそれです。上のYou Tubeの動画でもこれが点灯していますね。通常のエンジン始動時は、あっという間どころか、真っ先に消えます。
だから撮影に苦労したんです・・・。
寒冷地でエンジンスタートボタンを押してすぐにエンジンがかからなくても慌てないで!
この例は極端ですが、もしかしたら寒波が来ている時などにスキー場にいたら、エンジン始動がちょっと遅れることがあるかもしれません。
ですがその時は慌てないで、ブレーキを踏んだまま、ほんの1拍の後にエンジンがかかりますのでご安心ください。
これも知らなかったら「故障?!」とびっくりしてしまう場面ですよね。ちょっとしたことなんですが、知っていると知らないとでは大違いです。
もう一つ、冬に入る前に知っていた方がいいことがあるのですが、次回の記事でご紹介することとします。
では、今回はこの辺で失礼します。ありがとうございました。