40代子持ちのクルマ好きが、愛車のBMW 320dツーリングを評価するとともに、ちょっとだけ日々を楽しくするクルマのある生活の話題をお届けします。

330e試乗!新しい世界を見せてくれる環境対応車

BMW

先日の記事で急速充電非対応であることを厳しく批判しましたが、実際にはどんなクルマなのでしょうか?やはり320dに乗っている身としては気にならないといえば嘘になります。今日、ちょうどディーラーの方に行ったので1年点検の予約に寄ったところ、ディーラーのご厚意で試乗させていただけました!そして、その試乗体験は新しい世界を垣間見させてくれた、感動モノの体験でした。

 M2!

実はディーラーを訪問したのは久しぶりです。駐車場にクルマを入れながら、私の目は鮮やかなブルーの戦闘的なルックスのクルマをしっかりととらえていました。そう、M2ですよ。

聞けば三日前に入庫したばかりだそうで、まだナンバーすら付いていません。GWには試乗できるようになると言うことでしたので、これは是が非でも行かなければなりませんね。試乗できたら感想をご報告します。

まずは1年点検の予約、代車でラッキー

私の320dは昨年の5月に登録しておりますので、まもなく法定1年点検の時期を迎えます。何度か電話でご案内を頂いていたのですがたまたまタイミングが悪くて未だ予約できていませんでした。

点検の日程もすんなり決まり、一泊ではなく一週間預けることにしました。まあ、GWは外しているのでそんなに急ぎませんから。

で、代車を出していただけることになりました。
デ:「何がよろしいですか?」
私:「え?そんなに選べるんですか?」
デ:「そんなにはないですけど、5シリーズとか、後はカタログ落ちしてしまったんですけど…3シリーズのハイブリッドですとか。」
私:「え?まさかActive Hybrid 3?!それでお願いしますそれで!」
デ:「あ、ああ、はい」

すみません、勢い込みすぎたので若干引かれ気味です(笑)。

でも、まさかActive Hybrid 3に乗れる機会があるとは思いませんでしたので、すごく嬉しかったです。久々の直6!

ご存知の通り、Active Hybrid 3は直列6気筒エンジンをモーターでアシストしているスーパー3シリーズです。巷での評判は良くありませんが、私には何故だかわかりません。だって、どう考えたって楽しいに決まっているじゃないですか?燃費がいいだけがハイブリッドじゃない!というBMWの気合いが感じられる一台ですよね。

中古市場ではあまり人気がないのか値段が下がっているので、狙ってらっしゃる方もいるでしょう。こちらも必ず感想をご報告しますので、楽しみにお待ちください。

330e試乗!

ここら辺で私のご担当の方が出てきてくださいました。で、「330e、ありますよ」と嬉しい囁き。1も2もなく試乗をお願いしました。

さて、早速乗り込みましたが、まあ後期型とはいえF30ですので私の320dツーリングとさほど眺めは変わりません。試乗車はラグジュアリーでしたのでウッドパネルに薄いベージュのレザーシートで、私のスポーツの黒基調に比べるとかなり華やかな雰囲気です。息子も

「うわー、中が白くてカッコいいねぇ!」

と気に入ったようです。

そうだねぇ、次のクルマはこういう色にしたいね。でも、それは君が汚さなくなってからの話だぞ。

さて、早速スタートです。予想はしていましたが、スタートボタンを押してもエンジンはかかりません。そのままDにシフトしてそっとブレーキをリリースすると、無音のまましずしずと動き出しました。

ディーラー前の幹線道路に出て、加速します。ロードノイズは高まりますが、まだエンジンがかかりません。

幹線道路にはクルマの切れ目で出たので、まずはモーターアシストによる力強い加速を試そうと思ったのですが・・・。信号待ちの集団に追いついてメーターをよく見てみると、ほぼフル充電状態だったようです。

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ちょっと見にくいですが、メーターパネル真ん中にバッテリー残量が表示されています。あの、ウィンカーレバーの先っちょのボタンを押して表示が変わるところですね。95%と表示されています。

タコメーターの丸いリングの下には誇らしげに「eDrive」の文字もあります。

このときは渋滞中でしたのでACC、Active Cruise Controlを使用して楽をしています。スピードメーターとタコメーターの真ん中にオレンジの実線とクルマの後ろ姿が表示されていますよね?停止中ですのでスピードメーターに表示されている設定速度、50km/hの横のランプはオレンジ色です。走行中はこれが緑に代わります。ACCに関しての詳細はこちらの記事をご覧ください。

BMWのACC(アクティブ・クルーズ・コントロール)の便利な使い方

バッテリー残量表示を拡大したのが次の写真です。もう3kmほど走ってからですので減ってきてますね。しかもエンジンをかけようと奮闘してアクセルを深く踏んでいたりしたのでバッテリーをかなり消費したようです。

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この時になって、エンジンがかからないのは、もしかして「Max eDrive」モードになっているのかと思い、シフトレバー下の「eDrive」ボタンを押して確認しましたが、「Auto eDrive」になっています。

恐るべし、Autoでここまでエンジンがかからないとは。もう、これは短距離では完全にEVです。

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このように、EV走行で後何キロ走れるかもちゃんと表示できます。

それにしてもEV走行でもすごい加速です。軽くアクセルを踏み込むと簡単に流れをリードできるどころか、後ろのクルマを置き去りにします。普通、こんな運転をすると燃費が悪くてしょうがないですが、これは1滴もガソリンを使ってないんですもんね。もう、なんかスゴイとしか言いようがありません。

やっとエンジンがかかった!

どうにかしてエンジンをかけようと、信号待ちで先頭になってから一度、一瞬だけアクセルを深く踏み込んでみました。

すると!やっとかかりました!ですが、あまりにスムーズにかかり過ぎて、タコメーターを見てないと全く気づきません。

これはすごいですね。

しかし、かかったのを喜んだのも束の間、ルームミラーをチラッと見てタコメーターに目を戻すと!

またエンジン切れてる…。

この間、数秒です。気付かないほどスムーズなのもすごいですが、バッテリー残量が十分な間はかなりアグレッシブにエンジンをOFFにする設定になっているんですね。

もちろん、エンジンの音・振動対策が今までよりもさらに一段上をいっており、全くエンジン音や振動がないこともこのスムーズさの実現に一役買っています。

いやー、恐れ入りました。

その外、メーターにはバッテリーの充電状態を表示するモードがありました。

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止まっているときに撮影したので何も表示されていませんが、この後もエンジンをかけてアクセルOFFにしたり、バッテリー走行をしたときにはマイナス・プラスの値を忙しく表示していたので、充電状態がリアルタイムにモニターできるようです。

結局、20分ほどの試乗では無理やりエンジンをかけない限り、全てバッテリー走行で走りきってしまいました。

全体的には、i8とEV走行やエンジンがかかるタイミングが似ていると感じました。そこで思ったのですが、これってすごいことですよね。もうあのスーパーカーの技術が3シリーズに搭載されているなんて。

試乗後に気になるところ、聞いてみました。

ディーラーに戻り、ご担当の方に聞いてみました。そう、まずは一番気になるあの点です。

急速充電できないことについて

急速充電非対応なのは、やはり「普通のハイブリッドとしても走れるから」ということでした。

で、気になる満充電までの時間ですが…3-4時間だそうです。

これをどうとるかは人によると思うのですが、私は「たったの」3-4時間しかかからないのかと驚愕しました。

だって、バッテリーだけで30km以上走れるのに3-4時間ですよ?たっぷり一晩、8時間くらいかかるのかと思ってました。

これなら、例えばデパートとかに買い物に行っても、買い物したり食事したりしている時間に充電できれば、ガソリンを使う機会すらありませんね。十分EVとして実用になります。

それどころか、充電設備がなくても十分HV車として使用可能だということも説明していると聞きました。確かにそうかもしれませんが、こればっかりはもうすこし長い期間乗ってみないとわかりませんね。

PHVについてのBMWジャパンの意気込み

やはり、現場の方の感覚としても、PHVを売っていきたいんでしょうという感覚をお持ちのようでした。戦略的な価格設定にもそれは表れていますね。

でもやはり、EURO7対策もあるでしょう?と突っ込むと、あっさりと「そうでしょうね。」と返されました。もう、自動車業界では周知の事実なんですね。

やっぱりトランクはちょっと狭いです。

これはしょうがないですが、バッテリー積載の関係上、ノンハイブリッドに比べてトランクの底が上がっており、床下収納もありません。

これはBMWの他のハイブリッドもそうなのでしょうがないのですが、プリウスのようにハイブリッド専用設計でない限り解決しない問題でしょう。

ということは、収納力を売りにするツーリングには導入されませんね。Active Hybrid 3もセダンにしか設定されませんでしたから。

そうはいっても、十分な容量ですよ。家族4人で一週間くらいの国内旅行であれば余裕でこなせます。

メルセデスのC350eについて

ご担当の方は試乗されたらしく、感想をうかがうことができました。330eほどスムーズではなく、エンジンがかかったとき、切れたときに明確な段付き感があったそうです。

これは個人的な見解ですが、考えようによっては、エコランに徹したい場合、エンジンがかかっているのかかかっていないのか、明確なフィードバックがあった方がいいという見方もできます。

ですがどちらが好まれるかというと、明らかにスムーズなBMWの方でしょうね。恐らくBMWは日本市場をかなり重視しているので、この辺をかなり意識して作り込んでいます。メルセデスは値段が高過ぎるのも気になりますし。だって、330eより150万円も高いんですよ?

乗り心地が明らかにいい!

もう、滑らかの一言です。フラット感がより増していて一クラス上のクルマのように感じます。静粛すぎるEV走行と相まって気持ちいいことこの上ありません。

最初はモデルイヤーによる改善かと思いました。あるいはランフラットタイヤがまた進化したのかな?と。

降りてすぐタイヤを確認しましたが、コンチネンタル・スポーツコンタクト5。うーん、いいタイヤですが、「コンチのスポコンってすごく乗り心地がイイ!」という評判は正直言ってあまり聞いたことはありません。プレミアムコンフォートという位置づけの中で若干スポーツ寄りの性格を与えられているタイヤです。

これについて伺ってみると、「やっぱり重いですから」と。

なるほど。バネ上重量ですか。

以前、当ブログでもバネ下重量に関しては過去記事で触れましたね。

ランフラットタイヤのススメ

クルマの乗り心地にはこの他に、バネ上重量も関係しています。これはバネ下とは逆に重ければ重いほど乗り心地がいいんです。これはなんとなく想像つきますよね?重ければ色々な突き上げや小動きを押さえ込めるからです。

高級車がおしなべて大きなクルマなのはこういうわけもあるんです。特にロールスロイスなどは、その圧倒的な(?!)バネ上重量で、独特の乗り心地の良さを実現していると言います。まあ、私は乗ったことはないので、わかりませんが。

ハンドルが軽かった。

こういうと昔ながらのドイツ車・BMWファンは嘆きそうですが、決して悪いことではありません。

もちろんBMWのやることですから、軽くなったと言っても路面からの情報は十分伝わってきて、決して雲をつかむような感覚のものではありません。

車重があるがゆえにアシスト量が増やされていることもあるでしょうが、市街地走行に最適化されているような気もします。他の2016年モデルはどうなんでしょうね。

結論:330eは「ストレスを感じないクルマ」

この様に、330eはモーター走行による低燃費や静粛性、重い車重を生かした良好な乗り心地、軽くなったけれど十分な路面情報を伝えるステアリングが組み合わさって、特に市街地走行におけるストレスをかなりのレベルで低減していました。そのストレスというのは、私が320dに乗っているときはわざわざ意識の俎上に上がらなかったストレスでして、今回330eに試乗したことで、また新しい世界が見えてきました。特に燃料を使用していないということは、精神的な負担を取り除いてくれて、快適性能の向上にも資するものであると強く感じます。

EV走行できる距離はまだ短いとはいえ、走行中も8割までは充電可能だそうですので、例えばある程度スピードが乗っている定速走行といった、エンジンが得意とする走行パターンでは、シフトレバーをM/Sの方にに倒して、モードをできるだけ充電する「Charge」に切り替えてバッテリーを充電し、その後の市街地走行でモードを「Auto/ Max eDrive」に切り替えてEV走行に徹する、というように使えば、長距離走行でもメリットを享受出来そうです。

ですがやはり、BMWとしてはターゲットを明確に分けているようで、長距離走行が多い人はディーゼル、市街地走行中心の人にはPHVという勧め方をしているとのことでした。確かに、定速走行では330eに搭載されるエンジンよりも320dのエンジンのほうが圧倒的な低燃費となりますので、私もこれには全く異論ありません。

PS 320dでの発見

ところで、自分でも意外だったのですが、帰りに我が愛車に乗ってもディーゼルの音も振動も全く気にならなかったことです。いや、ありますよ?音も微振動も。ただ、無音・無振動の330eに乗ったすぐ後ですので相当気になると思ったんですが。

これはとりもなおさず、320dの音・振動対策も相当優れているということだと、改めて感じ入りました。

かなり長くなってしまいましたが、ここまでお付き合い頂きありがとうございました。
今回はこの辺で失礼します。