前回記事で予告した通り、新型5シリーズを高速道路で運転してまいりました!ステアリング・アシストも試せた満足な試乗でした。そして、高速で際立つ快適性に感心しました。
関越はがら空き!
Toto BMWの高速試乗会は、同社の板金工場(ボディショップ)がある所沢を起点に行われます。状況に応じて、川越方面に下る方から始めたり、練馬方面に向かったりして、同じルートを往復するという道順です。
私が行く時から関越の空き具合は気になっていました。適度に渋滞が含まれていて欲しいという私の天邪鬼な願望もありますが、そうはいっても基本的には少なくとも片道は空いていた方が高速での感触を楽しめますからね。
そして・・・いざ関越に差し掛かってみるとがら空き!川越から先の東松山からは渋滞しているようでしたが、そこまでは両方面ともがら空き!少し渋滞していた方が・・・とは思いましたが、やっぱり嬉しくなりました。
再び新型5シリーズとご対面。
やはり、予想通り私が以前試乗した個体でした。他にも試乗車が勢ぞろいでお出迎えしてくれています。
[kanren postid=”3480″]この写真を撮った時は既にM2は試乗に出発した後でしたが、試乗車は計4台です。後ほど登場します。
・・・はい、結局740eとM2も試乗させていただけたんです。だって、次の日曜日は結構詰まっていたらしいんですけど、土曜日はスケジュールが空いていたんですもん。「どうぞ」って言ってくれたんですもん。
とはいえ、さすがに図々しかったですね。反省しています。
ですが、各車の特徴を大まかに捉えられて非常に意義深い試乗でした。他の2台の試乗の様子は、続く記事でお伝えします。
まずは新型5シリーズですね。
では早速乗り込んで出発!
ステアリングアシストについて
もう勝手知ったる・・・というと言い過ぎですが、新型5シリーズの運転席に乗り込みます。
その前に恒例のタイヤチェック!・・・ですが、サイズは以前見ているので今回は銘柄のみチェックしましたが、やはりグッドイヤー・Eagle F1でした。ちなみに、Toto BMWさんの展示車も同銘柄でしたね。
そういえば前回の試乗記事でご紹介していなかったのですが、室内が豪華に見えるのはこのかっこいい室内灯のせいもあるんですね。
7シリーズと同じものですが、M Sport内装のアンソラジットの天井に非常に映えます。
ご同乗いただいたToto BMWさんのセールスの方に、「今日はステアリングアシストを使ってみたいんです!」とお伝えして、事前に使い方を教えていただきました。と言っても、ステアリングについているボタンを押すだけなんですけどね。
この、左側の左上のボタンです。これを押すと、メーターパネル内とヘッドアップディスプレイに表示が出ます。
このように、真ん中にステアリングが表示されて、緑のラインが出たら両側の白線を認識したという事ですね。もちろん、これは関越に乗るまでの間の信号待ちで撮影したものです。
そして、このステアリングアシストの注意点は二つ。
- ステアリングから手を離さないこと
- 大きく曲がるようなカーブでは車線をトレースしない
ということです。
そして、スペック上でメルセデスのEクラスに劣っている点が、「自動車線変更」です。Eクラスでは、ステアリングアシストを起動したままウィンカーレバーを操作するだけで、自動的に隣の車線の安全を確認したのちにスムーズに移る、と言われていますが・・・セールスさんのお話ですと、車線変更後に白線を見失ってふらつくケースが多いのだそうです。そして、実はBMWでももっと進んだ自律運転システムは出来上がっているそうですが、作動が完全ではないのであえて搭載していないとのこと。この辺り、保守的なイメージのメルセデスと、革新的なイメージのBMWの立場が逆転しているように見えます。
逆にみると、ドライバーを優先するBMWの考え方としては、「不完全なものを載せるくらいならドライバーにお任せしましょう」、「人間は必ずミスするもの」という考え方のメルセデスは、「不完全でも機械がやった方が安全。できるだけ搭載して運転者の操作をカバーしよう」と考えたとすると、実は逆転してないんですよね。そして、両者のスタンスからして、こちらの方がしっくりきます。
さて、余談が過ぎましたね。
ステアリングアシストをONにしたままIC特有のなだらかなカーブを切り込んで行っても何も違和感がありません。初めて違和感を案じたのは合流車線。所沢ICの合流車線は2車線がいつの間にか1車線になりながら本戦に合流するのですが、その1車線になる時に初めてちょっとステアリングに抵抗を感じました。要するに、私は本線に車両がないので早めに合流しようとして右に行こうとしたのですが、その時に直進を保つような力が一瞬だけ働きます。ですが、いざ本線に合流するためにウィンカーを出すと、抵抗はなくなりました。
本線を走行している時は、最初は気づきません。セールスさんが、
「pontaさんのように、きちんと進行方向にノーズをきちんと向ける方だと、ステアリングアシストがもっとも効果的に働きますが、働く機会が少ないんですよね。」
と言われました。えっと、これってもしかして褒めていただいたんですかね?私の運転。要するに車線内でふらつく方だと働く機会が多い、ということですね。
そしてゆるーいカーブに差し掛かります。最初のカーブは反射的に自らステアリングを操作してしまいました(笑)。次のカーブでは意識してグッと堪えると・・・おお!ステアリングが自分で動きます!これはすごいです。
ここに至ってようやく気づきました。要するにステアリングアシストは、レーン・ディパーチャー・ウォーニング(車線逸脱警告)の発展形であると。つまり、車線を外れそうになって線を踏むと、ステアリングが「ブブブッ」と震える、あれですね。白線を踏むまでは行きませんが、その手前でステアリングをゆるーく引き戻すという動作を加えたものだということです。
ステアリングの自動操作自体は非常にスムーズかつ緩やかに行われます。スイッチはデフォルトでOFFになっていますので、ONにするくらいの方であれば注意しておけば気づくでしょうが、途中で運転を代わったとしたら気づかないかもしれない、くらいに自然です。
これはまいりました。
高速道路でのドライバビリティ
私のような素人がドライバビリティを論じるのも僭越なのですが、あくまで感じた範囲のことをご報告しますと、「非常に快適な高速ツアラー」ですね。
もっと具体的に言いますと、まず試乗車はM Sportだけあって、安定性は抜群です。100km/hに達してもまるで60km/hくらいで走行しているように感じます。そして、相変わらずエンジンのスムーズさ・静粛性は特筆ものでして、今日もまた口走ってしまいました。
「これ、ガソリンエンジン買う人いるんですかね?」
一般道での話になりますが、アイドリングストップのタイミングも、私の320dよりも遅く、ちゃんと停止してからエンジンが停止しますし、身震いの類は全くありません。するん、とアイドリングストップし、するん、と復帰します。高速道路では、本線に合流する際の強い加速の最中でも、いかにもスムーズなエンジンが回転をあげている様子が伝わるだけ。巡行に入ると、比較的抑えられているはずのロードノイズに隠れてしまうほど静かです。私の320dでも相当静かですが、そこからさらに硬質な響きを取り払った感じ、といと伝わりやすいでしょうか?
セールスさんに聞いてみたのですが、特に大きな変化はアナウンスされていないそうです。ですがこれ、何か代わっているはずと思わせるほどのスムーズさです。エンジン型式はB47D20Aで変わっていませんが、車重が軽くなったと言っても320dよりは100kgくらいは重いんですよ?なのにJC08モード燃費は320dよりも0.1km/L上回っているんです(320d/21.4km/L、523d/21.5km/L)。もしこれがcd値の改善だけで得られたとしたら・・・それはそれですごいですけど、何か細かい改良がされているのでなければ納得が行きません。
乗り心地は、実は一般道の時ほど印象が良くありませんでした。路面の荒れなどに遭遇した時に、最初の当たりは柔らかいのですが、やはりサスペンションのストロークが制限されているような、突っ張ったような感触がします。端的にいうと、うねったり荒れたりしている路面が多い道路ですと、結構揺すられてしまいます。速度域が上がればもっとフラットになるかと思ったのですが・・・どうも日本の高速道路の法定速度では低すぎるような気がします。もっと高い速度を想定しているのでしょうね。
やはり私にはM Sportでない方がいいと思います。Luxuryとかも乗ってみたいですね。
進化したACC(アクティブ・クルーズ・コントロール)は?
新型5シリーズはACCも進化していると言われています。具体的には、直前の車だけでなく、2台前のクルマをも見て制御するということです。つまり、ブレーキングのタイミングなどがより適切に制御されて、今のACCで時々見られる、不要なタイミングでの強いブレーキなどがなくなることが期待できます。
ですが・・・今日は効果を確認するには至りませんでした。というのは、冒頭でも申し上げた通り、今日の関越はガラガラ。中々2台前のクルマが存在する状況で前者に追従する機会がなかったんです。状況を作ってでも試そうかとも思いましたが、現在のACCでも十分に快適ですので、そこまでする気にはならなかった、というのが本当のところです。
まとめと懸念点
大筋としては新型5シリーズはかなり快適な高速クルーザーです。これならどこまででも走っていけます。ただし、やはり私には非M Sport、5シリーズですとStandardかLuxuryですが、の方が合いそうです。M Sportのストロークを制限したサスペンションが気になりました。これも距離を重ねればもっとスムーズにストロークするようになって乗り心地が良くなる可能性が大ですが。ですが、電子制御サスでないにも関わらず、しかもM Sportサスで、あそこまであたり自体を柔らかくしているのは相当なノウハウとコストをかけた上で実現されたものだと思います。
そしてステアリングアシストの出来は出色です。初めて試しましたが、白線が消えているような箇所以外では完璧にクルマを直進させてくれます。これは、長距離走行での疲労をかなり低減することでしょう。また、アクアラインなどの強い横風に見舞われるような状況下でもクルマを直進させることを容易にしてくれるに違いありません。
そして懸念しているのも、このステアリングアシスト絡みです。ハードとしての完成度は高く、実用上全く問題はないのですが、問題はソフトの方です。つまり我々ドライバー。このステアリングアシストをONにし、ACCでクルージングしていると、「多少の脇見をしても大丈夫なんじゃないか」と思ってしまうことですね。運転しながら、明らかに運転に対する注意の払い具合というか、緊張度が低くリラックスできるのを感じました。が、緊急回避には、リラックスしつつも適度な緊張が必要です。つまり、いざという時に適切に動けるかな、ということが懸念点です。同様の懸念はACCでもありますが、これに輪をかけて楽なんですから。
まあ、考えてみればACCの時は逆に最初は怖かったです。本当に前車に続いて停止するのかどうか、減速してくれるのかと手に汗握ったものです(笑)。そのうちにその状態に慣れて、動作のクセも掴んで慣れて行ったように、ステアリングアシストもそうなのでしょう。取り越し苦労だろうと自分でも思います。
やはりBMW乗りたるもの、あくまでクルマは自分がコントロールするものという気概を持って、ステアリングアシストを過信しないように乗りたいものですね。当ブログの読者さまには釈迦に説法ですが(笑)。
新型5シリーズ高速試乗記、いかがでしたでしょうか?高速試乗記はまだ続きます。次回は740eの試乗の感想をご報告したいと思っております。
では、今回はこの辺で失礼します。ありがとうございました。