当ブログでもマクラーレンとBMWの提携に関しては以前ご紹介しましたが、どうやら内燃機関をまだまだ発展させるつもりの提携だったようです。
McLaren-BMWじゃないです。
以前ご紹介した記事はこちらです。私の記事ではかつてのマクラーレンのロードカー、マクラーレンF1の復活を期待していました。
[kanren postid=”3465″]ところがこの後のニュースでは各メディアとも「マクラーレンはF1でホンダと手を切ってBMWエンジンを積むのか?!」というとても短絡的な報道ばっかりでした。
ええ、「短絡的」と言い切ってしまいます。だって、そんなわけないじゃないですか。以前のマクラーレンF1の時だってBMWエンジンを積むことは決まっていたのに開発期間中はホンダエンジンで、そしてその後はフォード・コスワースエンジンで戦っていたんですよ、マクラーレンは。ちょうど、アイルトン・セナがドニントン・パークのヨーロッパGPで、4番グリッドからいいスタートを決めてオープニングラップの間に次々と前車をオーバーテイクしてトップに立ち、そのまま優勝してしまったという伝説のレースの頃ですね。
その後も、F1においてマクラーレンは一度もBMWと組んだことはありません。こういう事実を目の当たりにするだけで、市販車における提携が即F1につながらないことはよくわかります。ロータスとトヨタだってそうですよね。市販のロータスにトヨタエンジンを積んでいても、「ロータス・トヨタ」にならないのと同じです。
内燃機関の可能性を追求するための提携
ようやく私は納得のいく報道に接することができました。こちらです。
クルマのCO2排出減らす新燃焼技術開発へ──マクラーレン、BMW含む各企業と提携
クルマの技術革新はEVだけじゃない!
マクラーレン・オートモーティブは昨年、大幅な販売台数の増加を発表した。具体的な数値を挙げると、2015年は1,654台だったが、2016年は3,286台と、1年でほぼ2倍に達する伸びだ。この成長を確固たるものとするために、同社ではパワートレインの刷新を決定。これに向けてBMWグループをはじめとする数社と戦略的パートナーシップを締結するという。
1月31日に発表されたマクラーレンのプレスリリースによると、同社は「現在よりも優れた出力を発揮することが可能な新しい燃焼技術の開発」を計画しており、同時にCO2(二酸化炭素)排出量の低減を目指すとのこと。同社の広報担当者は米国版Autoblogの取材に対し、排ガス削減も燃焼技術改善の目標の1つであると回答した。2020年頃にはプロジェクトの成果が見られる予定だという。マクラーレンが率いる同プロジェクトは、先端推進システム技術センターを通じて、英国政府からの支援と一部資金の提供を受けている。
APCは、2013年に低炭素社会を推進するために設立されたシンクタンクで、2023年までの10年間、政府と自動車業界が連携して取り組むべく発足した。マクラーレン以外にも5社がパートナーに決定しており、マクラーレンのエンジンを製造するリカルド社もそのうちの1社だ。
これに先述のBMWグループと、鋳造の専門会社でアストンマーティン「DB11」のエンジンパーツを手掛けるGrainger & Worrall社、さらに素材に関するエキスパートのLentus Composites社や、先進の研究開発機関であるバース大学がプロジェクトに参加することになっている。
イングランド中部には、高度に発展した自動車関連技術を持つ大手企業が集中しているが、このプロジェクトは同地域の信頼性をより高めるに違いない。果たして、新エンジンの出力はどのくらいになるのか、そしてどんなマシンに搭載されるのか、完成が待ち遠しい。
By Antti Kautonen
翻訳:日本映像翻訳アカデミー(引用元:engadget日本版)
いかがでしょう?これはかなり意欲的な計画のようですね。英国政府をバックに、英国中の英知を結集して内燃機関の核心に挑む、ということです。
内燃機関にはまだまだ可能性がある!
実は私も当ブログで散々も仕上げってきました通り、近い将来には内燃機関で走るのが肩身が狭く感じるほどの世の中が来るのではないかと思っていましたが、ここ最近になって内燃機関が復権を目指している(?)ニュースが目立つんです。例えば、トヨタの高効率ガソリンエンジンですとか。最大熱効率40%って、ちょっと信じがたい数値ですよね。
そこにこの英国政府すらバックについたマクラーレン・BMWなどの企業の英知を結集しての高効率エンジンの開発計画です。
正直申し上げて、私は320dツーリングで異次元の低燃費に接して、内燃機関もここまできたかと思うとともに、さすがに今の状態で究極に効率が良くなった状態に達したであろうと思っていました。ところが新型5シリーズでは3シリーズよりも大きなボディを、私の320dツーリングよりも良い燃費で走らせるようになっていますし、まだまだ改善の余地があったんですね。まあ、空力の改善によるところも大きいのでしょうけど。
ですが、新型5シリーズのディーゼルのカタログ燃費、トヨタのエンジン技術、そして今回ご紹介したニュースに接したりしていると、「もしやまだまだ内燃機関の時代は続くのではないか?」という思いがよぎり、ちょっとホッとするような、複雑な気分です。フル電動自動車が出ればそれはそれで楽しいでしょうけど、やっぱり爆発している感のある内燃機関の音っていいものですからね。
まあ、もちろんこうした高効率の内燃機関にバッテリー駆動を組み合わせたHV・PHVが出て来ると最強なんでしょうけど。
歴史は繰り返す?
イギリスというと、とかく伝統的なものにとらわれ、時に硬直的な印象を受けることもありますが、新しいことに挑戦する精神も旺盛に持っています。そうでなければ産業革命なんて起こし得ませんからね。
「伝統的なものにとらわれる」という立場で見ると、いつも革新的なドイツが将来的に電気自動車を見据えてPHVなどを次々に開発している中、内燃機関に固執している、という見方もできます。
ですが、「新しいことに挑戦する精神」という立場で見ると、もう限界に達したと思われている内燃機関の効率もより高めることに果敢にチャレンジしているという見方になるかと思います。
歴史に思いを致すと、かつて産業革命の中心技術たる蒸気機関を発明したのはイギリス人のジョージ・スティーブンソンでした。
ここでまた、マクラーレンを中心としたアライアンスが成功してイギリス発で内燃機関の革命が起きると、歴史に残る偉業にになりそうですね。
開発が成功するのが何年先になるかわかりませんが、まだまだクルマ好きが楽しめる世界を伸ばしてくれるようになることを期待したいですね。
では、今回はこの辺で失礼します。ありがとうございました。