さて、前回記事のコメント欄では私がレヴァンテを購入してブログタイトルが変わることになっていますが(笑)、さて、どうでしょう?なぜかBMW正規ディーラーなのに試乗したマセラーティ・レヴァンテの試乗記をお届けします。
まずは前回記事、X5試乗編はこちらです。
[kanren postid=”3681″]マセラーティ・レヴァンテ登場!
もったいぶらずにいきましょう。
この巨大なグリルとトライデントマーク。空力的にはかなり問題ありそうですが、やっぱりグリルシャッターがついているそうです。このグリルとともに、フロントフェンダーに開いている3つのエアベントがマセラーティのデザインアイコンですね。
こうしてみると、サイズはそんなに大きく見えませんが、実際に見るとすごいボリューム感です。なんせ、全長は5m超え、全幅もほぼ2mありますからね。大きく見えないのはデザインの妙でしょう。あ、ちなみに隣に止まっているのは・・・
ジープ・グランドチェロキーSRTです。こちらは次の日の試乗車でしたので、今回は乗っていませんが・・・。
レヴァンテに戻りましょう。先ほど、レヴァンテはすごいボリューム感だと申し上げましたが、特にリアのお尻回り、いえ、イタリアの優雅なレディに向かって「お尻」とは失礼ですね、ヒップのボリューム感がひときわ目を引きます。
何回も撮り直して、この角度だ!と思ったのにあまり伝わりませんかね。このボリューム感がレヴァンテの外見に優雅さの他に気品までプラスしています。
もうですね、一言で言うと「ちょーかっこいい!」しか出てきません(笑)。
ちなみに試乗車は普通の「レヴァンテ」、3LV6ツインターボで武装し、最高出力350psを誇るモデルです。レヴァンテにはこの他に同じく3LV6から430psを絞り出すチューンの違うモデルがあり、こちらは「レヴァンテS」と呼ばれます。ちょうど、F30前期型でいう320iと328iみたいなものでしょうか?
そして話題のディーゼルですが、2月に設定されました。そしてこのディーゼルモデルのみが右ハンドルで、ガソリンモデルは左ハンドルのみの設定となります。したがって、試乗車も左ハンドルです。
さて、ではまずは恒例のタイヤチェックから。
オプションの21インチホイールを履いていました。サイズは前後異径の、前265/40R21、後295/35R21だったと思います。舞い上がってたんでしょうね、よく覚えていません(笑)。銘柄はピレリP ZERO。これ、本当にSUVでしょうか?
さて、ドキドキしながら乗り込んでみましょう。
あ、右側に回ってしまいました(笑)。ですが、先ほどまで乗っていたX5のビジネスライクでクリーンに整理された室内と違って、なんというか、中世ヨーロッパのルネッサンス様式というか、なんだかそんな感じですね。小難しく言わなければ、とにかく「豪華絢爛」の一言です。
そして、ドアはサッシュレス。
BMWのクーペモデルのように、ドアハンドルを握ったら「シュッ」と少しだけ下がる機構も採用されていました。
一番びっくりしたのが、ルーフライニングです。
まーた指が入っちゃいました(笑)。すみません。これは運転席からの眺めですが、Aピラーのグレーの部分、すこーし毛羽立っているの、わかりますか?これはなんだろうと思っていたのですが、撫でて見ると頬ずりしたくなるような滑らかさです。なんせ試乗したのがBMWディーラーでしたので、同乗したセールスの方もあまり詳しくなかったのですが(笑)、これは後でコンフィギュレーターで見て見たら、これがあのエルメネジルド・ゼニアのシルクではないかと。なんとも贅沢ですねー。ため息が出ます。
そしてリアシートがこちら。
足元は結構広いです。試乗車にはオプションのパノラマ・サンルーフがついていたのですが、ヘッドクリアランスは十分でした。まあ、写真を見てもお分かりの通り、ちょっとお尻を落とし込んで座る形になっているので、当たり前と言えば当たり前ですね。スタイリングを優先させても後席ヘッドクリアランスを稼ぐためと理解できますが、快適性はどうなのでしょう?
と思っていたのですが、自宅に帰って調べて見たら、リアシートの背もたれが5段階にリクライニングするそうです。当然ながら、私よりも向こうの方が一枚上手でした。
そして、これも恒例となりつつある荷室チェック。
これが結構奥行きがあって広いんですよ。この状態でも580Lを確保しています。って、VWパサート/ゴルフ・ヴァリアントよりも小さいのですか?!
[kanren postid=”3643″] [kanren postid=”3664″]これはVWを褒めるべきでしょうね。レヴァンテはFRベースのオンディマンド型AWDですので、容量の確保は相当気を使わなければ容易ではありません。
で、床下収納はというと・・・
これは・・・ないに等しいですね。トレーのみですので、たいしたものは載せられません。
ここまで見て、リアゲートを閉じようとして無意識にリアゲートの後端を探しました。上を見て「あれ?」と言っていると、セールスさんが、「探しちゃいますよねー。ここなんです。」と言って指差した先は・・・。
エーーーそこ?!というところにあります。なんだか、心理的に手を挟んじゃいそうで怖いですよね。そんなこと言ったらリアゲート後端にあるBMWもそうなのはわかっていますけど・・・。現に私、この後リアゲートを閉めるボタンを押して、慌てて体ごと飛びのいちゃいました(笑)。
では出発!
久しぶりの左ハンドルの運転席に、緊張しながら乗り込みます。なんか、右に慣れ切っているので乗り込みにくいですね。助手席のセールスさんも、「右に座っているのにハンドルがないというのが変な気分です」とおっしゃっていました。
ですが、「よじ登る」と言う表現がピッタリだったX5に比べると、レヴァンテはフレンドリーで、座面はそんなに高くはありません。ついでに、降りる時には自動でイージーエントリー機能が働きました。これも後ろに下がり過ぎず、ちょうどいい塩梅で、全く文句ありません。というか、この自動イージーエントリーは予想外だったので、ステアリングが上に動き出した時に「うおっ?!」と無様に驚いてしまいました。新型5シリーズもステアリングだけ上に行く自動イージーエントリーが付いてて、その時は驚かなかったのに。
では、ポジションを合わせてエンジンスタート!爆音が辺りに轟き渡る・・・はずでしたが、いたって静粛です。あれ?マセラーティってもっと乾いた「ボーッ!」っていう音がしませんでしたっけ?と思いつつもそれは置いといて出発・・・しようとしましたが。
なんだかポジションがしっくりきません。天井とAピラーが迫ってくる感じ。圧迫感を感じます。と、ここで気づきました。シートの座面が一番上まで上がっていました(笑)。気を取り直してポジションを再調整した後に出発です。ほぼ、3シリーズと同じポジションに合わせることができました。調整幅が大きいですね。ステアリングの、チルト・テレスコも、電動ですし。
左折して青梅街道に出てアクセルを一踏み。今度こそ「ファオオオン!」っていうだろう、と思いきや・・・これまた静かです。静粛に加速していきます。加速感は、今時珍しいほどの「ターボエンジン」そのものです。低回転域ではたいしたことはないのですが、2,500rpmを超えたあたりから急にぐわっと吹け上がりつつ加速力が一段伸びます。これ、高速で乗ったらもっと高回転まで試せてその先にあるさらなるドラマを観れたのでしょうが、ここは一般道、そこまでとても回せません。
ここで左ハンドルに早くも慣れてきたので、車内を観察します。
まずはメーターパネル。
これはiPhoneを近づけて撮影しているのでタコメーターのメモリが隠れてしまっていますが、ドライバー目線ですと全てちゃんと見えます。そして、結構観やすいです。ここではスピードメーター内で左ウィンカーが点滅していますが、右ウィンカーはタコメーター内で点滅します。
インパネ周りです。
えーっと、これはどこと部品を共用しているんでしたっけ?ですがそんなことを知らなければ、これも艶やかなレヴァンテの内装に馴染んでいます。このスクリーンはタッチパネルになっているので、スマホに慣れた身には操作しやすいです。
そしてですね、ウィンカーレバーが遠いんです。
イタリア人は指が長いのでしょうか?私の手は人様と比べると大きい方ですが、それでも結構指を伸ばさないと届きません。しかも途中でシフトパドルが存在を主張しているので、指が当たります。まあ、慣れの問題でしょう。
そしてシフトレバー周りにもボタンがいくつか並んでいます。ですが、写真を撮り忘れました!すみません・・・どんな誹りも甘んじて受けます。
で、そこに「SPORT」と書いてあるボタンが。おっ、さすがマセラーティ、スポーティ仕様になるボタンがあるじゃない、やっぱり、なんて思いながら何気なく押した途端。
「ボーーーーー!」
いきなり排気音が勇ましくなりました。信号待ちでアイドリング中なのに。ですがこれ、これですよ!マセラーティの音は!
そして気を良くしてそのまま発進します。勇ましい排気音を響かせながら猛加速・・・と言いたいところですが、エンジンの性格まで変わるわけでは無いようで、低回転域では「音のわりにダッシュしない」印象です。もちろん、先ほど申し上げた通りに2,500rpm以上回すともっといい音がしてもっとちゃんと加速しますが。
そして、これは事前にセールスさんに言われていたことと一致しました。
「結構・・・音の割に進まないという印象をもたれるかもしれません。特にX5のディーゼルの後ですと・・・」
その通りでした。X5のディーゼルの方が加速感も、実際の加速も早いです。レヴァンテも「SUVにしては」という枕詞が不要なほど十分に早いのですが、なんとなく上品に加速していく感じです。
ですが・・・このエンジンは非常に気持ちがいいです。シュンシュン回りますし、スポーツモードではあの排気音。ボディを忘れて振り回したくなります。
この車がSUVであることを忘れさせるのは、ドライビングポジションにも関係があります。「足をポーンと投げ出すようなドライビングポジション」で有名なのはBMWの方ですが、X5ですらアップライト気味に座るのに、このレヴァンテときたら私の3シリーズとほぼ同じようなポジションが取れます。これもあって左ハンドルに一瞬で慣れることができたんです。
そしてもう一つ、SUVであることを忘れさせるのが乗り心地です。極太扁平のP ZEROを履いているにも関わらず、ごつごつした感じはしませんし、SUVらしい横揺れもありません。これも後で調べたのですが、ガソリン車は全てマセラーティお得意の「スカイフック」サス、要するにエアサスが装備されているんですね。そして、エアサスならではの余技、車高の変更も5段階で行えます。
ところで先ほど押したSPORTのボタンに目をやって、1回ノーマルに戻そうとしたら・・・SPORTボタンに今まで一つしか点灯していなかった小さな白いランプがもう一つつきました。なんだ?!と思っていると、隣のセールスさんから助け船が。
「それは今、エンジンだけでなくサスペンションもスポーツモードになりました。」
おお、そうなんですね。じゃあそのまま走って見ましょう。
このサスペンションのスポーツモード、ノーマルに比べてはっきりと硬いです。変わったのか変わっていないのかわからないような電制サスが多い中、ここまではっきり変わるのは珍しいですね。ですがこれとてガツガツくるわけでもなく、あくまでジェントルに車体を安定させるべく踏ん張っている感が強いので、このまま街中を走っても不快ではありません。
これでエアサスで車高を落としたら結構走れるでしょうね。ステアリングはBMWに負けず劣らず感触が良く、サーボトロニック搭載車にも負けていません。そして、ステアリングの正確性も十分ですし、インフォメーションも豊富です。ですが、ちょっと直進に気を使う点があるようでして、X5のようにどっしりと安定して直進する感じはありません。もしかしたら長距離の高速道路では疲れにつながるかもしれませんね。ですが、運転していて楽しい!と素直に感じることは確かです。
ちなみに、これがSPORTボタンを1回押した時の表示。
この表示、すぐ消えちゃうんですよ。うまく撮れててよかったです。
そしてサスペンションが切り替わった際はこちら。
こちらも成功ですね。よかったです。
ここで、後席に座る家内に意見を聞いて見ました。すると
「・・・豪華すぎて落ち着かない・・・」
そうなんです。根っからの庶民である我々には、場違いな上流階級のパーティに呼ばれたかのような居心地の悪さがあります。あ、語弊がありますね。乗り心地はすごく快適ですよ。先ほどX5のSUV的な揺れに閉口していた家内が、今回は文句を言わないことでもそれがわかります。そして息子はというと、
「僕はBMが好き!」
えーこっちだっていいクルマだよ?
改めてX5と比較して、私なりの結論
まずは乗り心地でいうと、路面からのあたりを角なくまろやかにしていなしてくれるのはX5の方が長けています。レヴァンテはタイヤのせいもあるのでしょうが、若干X5に比べると路面のザラザラ感が伝わってくる感じ。あの21インチホイール、見た目は非常にかっこいいですが、あえて標準の19インチに乗ってみたいですね。ですがレヴァンテはSUV的な揺れがないのが好感度高いです。
そして運転した感じはというと、X5が非常に力強い加速を見せるのに対し、レヴァンテはなんというか、繊細な加速をします。先にも申し上げた通り、2,500rpmまでは特にそうです。ですがそこを超えてからの加速は結構暴力的かもしれません。私は今回ほんの少ししかその一端に触れられませんでしたが、レヴァンテでこうならレヴァンテSはどうなるんだろう?と興味があります。
さて、早速結論ですが・・・買える買えないは別にして、私はレヴァンテに1票です!実はX5試乗の後、元来クルマに酔いやすいたちの私は短い試乗時間で気持ち悪くなって若干めまいがしてしまいました。X5はあたりは柔らかくて心地よいのですが、ちょっと長い時間乗ると絶えず揺すられることによってだんだん体にダメージが蓄積されていきます。ですがレヴァンテは、誤解を恐れず言えば、全く普通の乗用車と変わりません。エアサスだけにちょっとゆったりとした振幅を感じる場面もありましたが、素直な操縦性で楽しさはX5に引けを取りません。
なんとも意外な結果に終わりましたね。一部の読者様の間では私がレヴァンテの虜になると予想されていたようですが・・・その方々は大当りです。レヴァンテ、本気で欲しいです。
ただ。
あの直進安定性の不足が気になります。どうもマセラーティはまだステアリングアシストはついていないようでして、これさえあればこの欠点を隠せるだろうに、非常に惜しい気がします。
エピローグ
帰りに自分の車に乗り込もうとした時に、思った位置に座席がなくてかなりどしん!と運転席に座ってしまいました(笑)。そして思わず出た言葉が
「低っ!低いなあ!」
でもなんだかすごく安心できます。さっきまであのくらいのミニバンの前も見えていたのにな、と思いますが、3シリーズの運転席からはもう見えません。そして後席の家内は
「クルマはやっぱりこのくらいの高さが落ち着くわ。」
とおっしゃっていました。
どうも我が家にはSUVはあわなさそうですね。ですがマセラーティ・レヴァンテ、罷り間違って宝くじなんぞ当たった日には即現金握りしめて、今はToto BMWのグループ会社のマセラーティ販売店にいらっしゃる前担当のUさんの元に走っていってしまいそうです(笑)。何より、あの悩ましいスタイリング、豪勢な室内、エンジンの快音と排気音の気持ち良さ、そして何よりSUVらしくないのが私の琴線に触れました。
じゃあ、早速明日宝くじ買ってきます(笑)。
では、今回はこの辺で失礼します。長い記事に最後までお付き合いいただきありがとうございました。