もうすぐ始まるジュネーブショーですとか、Z4の新型とか、完全自動運転のEVだとか、BMWにまつわる話題はたくさんあるのですが、今回は久々に我が愛車に付いて感じたことを書こうと思います。それは、ステアリングの重さについてです。
ドイツ車は全般的にステアリングが重め?
アルファのジュリアやルノーのメガーヌを立て続けに試乗していますが、いつも感じるのはステアリングの軽さです。
むしろあちらの方がスタンダードで、BMWの方が重めなのは明白なのですが、そこはそれやることにいちいち意味があるドイツ車のこと、何か理由があるはずというのは常々思っていました。
高速での安定性?それならステアリングを軽くしたって、サスペンションのキャスター角を寝かせ気味にして直進性を上げることで対処できます。BMWであれば、そのような設定でもハンドリングとの両立を成し遂げるでしょう。
ドイツ人が力持ちだから?えー、それはあるかもしれません(笑)。VWもそうですし、メルセデスもですが伝統的にドイツ車って操作系が思いです。ですが、グローバルに展開するBMWでドイツ人のみに焦点を当てているとも思えません。まあ、基準にはなっているでしょうが。
このような堂々巡りで、実は最近まで私は結論にたどり着けていませんでした。ですが、週末に運転していて、あることに気づいたんです。
BMWならではのハンドリングのためでは?
一見矛盾しているようですが、私はBMWならではのハンドリングの正確性のためではないか?と思ったんです。
これが矛盾しているというわけは、運転経験のある方であればどなたでも一度は感じたことがあると思いますが、長い間ほとんど直進を保つ高速道路などで、ステアリングの軽い車を運転していると、「高速域でもう少しステアリングが重めならラクなのになあ」と感じたこと、ありませんでしょうか?私は、免許を取ってすぐに運転した私はパワステすらついていない、国産セダンでしたので、そのあとパワステがついたクルマに乗った時にいつもそう思っていました。そのクルマというのは初代プリメーラで、ご存知の方も多いでしょうが、直進性は文句なくよかった、どころかひょっとすると現代のクルマと比べても直進安定性という点では第1級のクルマでしたが、それでもそう思っていました。
おかげでその後、インプレッサWRXに乗った時に、ステアリングの重さは高速域では満足の行くものだったのですが、よく言われる「4WDならではの高速安定性」なんてものを全く感じなかったくらいです。
そして、BMWはよく、メルセデスに比べると長身安定性がよくないと言われますが、初めて3シリーズに乗った時に、プリメーラの直進性と、インプレッサWRXの適度なステアリングの重さ(絶対的には重すぎますが(笑))を合わせ持ったクルマが存在することに驚きました。しかもさらに高次元を言っている!と痛く感激したものです。それでも、E90のあのステアリングの重さは不可解でした。ここまで重くする必要はあったのだろうか、と。
それがF30系になってからいい具合になってきたように感じます。最新のG系のステアリングはもっと軽く、同じF30系でも330eだけはステアリングが軽く感じ、こちらの方がいいと思いますが、それでも許容範囲です。
そんな風に感じていた私が、週末に所用で都内の道を走っていた時でした。結論から言うと、大したことはないのですが緊急回避をする羽目に見舞われたんです。車道の左端を走行していた自転車が、なんの前触れもなく、後ろを確認することもなく、私が今正に横に並んで追い越さんとした時にふらっと右に出てきました。
もう、声も出ません。今にして思えばよくあんなにとっさにステアリングを右左に切ったと思いますが、よく自動車雑誌でやるダブルレーンチェンジのテストのようでした。幸い接触は避けられましたが、バックミラーで見ると自転車の人は何事もなかったように片側一車線の道路を横断して右側を走行していました。ちなみに、厳密に言うとこの自転車の右側走行は違反ですよね。
ほっと胸をなでおろすと同時に、改めて3シリーズの運動性能がすごいことに対する感激がひしひしと湧いてきました。ダメですね、クルマ好きって。本来ならそうした自転車の動きを想定して回避の構えを取りつつ横を通り抜けなければいけない、とか反省しなければいけないのでしょうが、先にクルマの性能に感心するという・・・。
ですが、この時に無意識のうちに自転車を避けようとして右に切り、元に戻るべく左に切りという一連の動作の中で、揺れ戻しも含めて私の想定外の動作はなかったんです。もちろん、ステアリングの重さも気になりませんでした。
こういう緊急回避の時って、人って思わぬ力を発揮します。そう、「火事場の◯◯力」というやつです。クルマにおける緊急回避のダブルレーンチェンジでこれを発揮すると、ステアリングを切りすぎる可能性って、ないでしょうか?そして、今回私がこの事態に遭遇したのはかなり車線の広い片側一車線道路でしたので対向車線にはみ出ないですみましたが、狭い道だったり雨が降っていたりと悪条件が重なると、ステアリングの切り過ぎって正確なライントレースが不可能になります。
そう、この瞬間、正に気づいたんです。「この重めのステアリングは正確なライントレースのためだったのか!」と。
もちろん、そのためにはサスペンションが設計通りに動くようにボディ剛性を高め、サスペンション自体の設定も煮詰めたりとすることが大切なのはいうまでもありません。ですが、BMWの運転哲学は「操るのはあくまでも人」。この辺がメルセデスと一番違うところで、メルセデスは「人はミスするもの」という前提で機会が積極介入するのですが、BMWは運転者の意思に最後まで反応しようとします。このBMWの運転哲学の一環の中に、ライントレース性までも考慮したステアリングの重さがあるのではないか、と思えた出来事でした。
運転支援機能は反応なし
これもまたあとで気づいたのですが、カメラをも駆使して人も感知するという「衝突回避・被害軽減ブレーキ」はこの時は作動しませんでした。それはそうですね。正に並びかけた時にフラ〜っと横に移動し始めましたから。
ですが、最新のADAS搭載車ですと、サイドからくるトラフィックに対するアラート機能は結構充実しているようです。主に後方の横からのものが多いですが、前方の横からくるトラフィックを感知できるものもあるようですね。こういうモノが搭載されていたらどうだったのでしょうか?ちょっと興味がありますね。
それにしても、自転車はマナーを守ってほしい・・・
一つ疑問なのは、おそらくこの時に接触していたら私の前方不注意ということにされていたでしょう。さらに自転車の方が倒れて頭でも打っていたらもっと大変です。自転車の動きが遅かったのでそこまでには至りませんでしたが、改めてゾッとします。
実は私も以前ロードバイクに乗っていましたが、当然のごとくヘルメットを被って車道の左端を走行していました。路上駐車のクルマを避ける時も必ず左後ろを振り返って確認し、右手を横に出して手信号で合図してから進路変更をしていたものです。
最近、自転車の運転に対する啓発も進んでいますが、どうも「自転車は車道を走れ!」だけが一人歩きしています。片側三車線の幹線道路で、一番左の車線とはいえ車線の真ん中を走行するママチャリとか(もちろんヘルメットなんて被っていません)、耳にイヤホンを突っ込んで、かつ片手でスマホをいじりながら走っている人とか。
自転車でも違反をした上で人を傷つけたら赤切符です。つまり、道交法違反で略式起訴されて簡易裁判で罰金を納付します。もっとひどいと、自動車で軽く追突したりする以上の刑事罰を受け、民事でも高額な賠償金請求をされます。
こういうことがあまり徹底されていないんでしょうかね?あるいは、「自分はそんなヘマはしない」と思っているのでしょうか?とにかく、私の場合も自転車の方は間違いなく左後ろは確認していませんでした(だからこそ右に出てくる動きは全く予測できませんでした)が、こういう場合でもクルマの運転者が加害者になるんです。ひょっとすると、その方の人生を変えてしまうことになるんです。今は私は滅多に自転車には乗らず、せいぜい家内の電動自転車を時々借りるくらいですが、自分ももちろん気をつけていますが、自転車にも運転モラルが広がるのを願うばかりです。
自転車にも免許を導入しろ!なんて声もあるようですが、そこまですると、気軽な交通手段としての自転車の役割が変わってしまいます。そうならないようにするためにも、クルマ・自転車の双方がマナーを守って運転したいものですね。
怪我の功名
こういうのを怪我の功名というのでしょうね(笑)。何もなかったから呑気にこんなことも言ってられるのですが、それもこれもBMWのステアリングの正確さのおかげです。
つくづく、高性能というのは決して早く走るためではなく、安全性にも寄与するものだということがわかります。よく、「日本で制限速度を守って走っている限り、そんな高性能は必要ない!」という方がいらっしゃいますが、私はその考え方には断固反対です。
当ブログでは三度のご紹介となりますが、BMW Tokyo Bayで荒聖治選手がおっしゃっていた言葉をここでも声を大にして言わせていただきます。
「この(注:M4のことです)高いパフォーマンスは、余裕につながる。したがって、M4の高いパフォーマンスを理性を持って制御すれば、これ以上の安全性能はないんです。」
過去の記事でご紹介したBMW GROUP Tokyo Bayのグランドオープニングに合わせて行われていた「BMW 100th アニバーサリーツアー」に行ってまいりました!最近何かと用事が立て込んでいて今週末も暗雲立ち込めていたのですが、日曜[…]
走る・曲がる・止まるがしっかりしているクルマは、運転して楽しいだけでなく、安全性にも優れているということです。
では、今回はこの辺で失礼します。ありがとうございました。