40代子持ちのクルマ好きが、愛車のBMW 320dツーリングを評価するとともに、ちょっとだけ日々を楽しくするクルマのある生活の話題をお届けします。

BMW X3に試乗!〜走行性能だけでなく快適性も高まった、BMWらしいコンパクトSUV

BMW

X3に試乗してまいりました!実は年末から決まっておりましたので、京都いう日が楽しみで仕方がありませんでしたが、その期待にたがわず凄まじい完成度の高さを見せつけてくれ、私はうなるしかありませんでした。

大注目のコンパクトSUV

2017年、メルセデスは矢継ぎ早にSUVを発表してきました。名称もセダンのラインに揃えて、GLA/ GLC/ GLE/ GLSとフルラインが揃ったのは記憶に新しいところです。

今やヨーロッパの自動車メーカーの屋台骨を支えているのはSUVです。ポルシェですら、最近の躍進の始まりはカイエンからでして、2017年の好調の原因はマカンの大ヒットでした。

そして、当ブログでもご紹介しましたが、あのマセラティですらレヴァンテでラグジュアリーSUV戦線に打って出て、しかも今やベビーレヴァンテとでもいうべきコンパクトSUVの計画もあるといいます。

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他にもアルファロメオのステルヴィオ、ベントレー・ベンテイガ、ジャガーFペースにランボルギーニ・ウルス、さらにはロールスロイスまでがSUVを開発中なんですね。

そうしたSUV全盛の中でも、特に注目されているのがコンパクトSUVと呼ばれるクラスです。先ほど例に挙げたポルシェ・マカン、メルセデスGLC、アルファロメオ・ステルヴィオの他にも、アウディQ3/ Q5、VWティグアンなどなど、例を挙げれば枚挙にいとまがありませんが、我がBMW X3はそうした激戦区における一大注目モデルな訳です。

都会派かと思いきや。

東京モーターショーでも散々眺め回しましたが、乗るのは初めてということでワクワクします。Toto BMWさんに到着して駐車場に入れる時に、すでに試乗車スペースに止まっているのを見て、顔がにやけてしましました。

やはり意外とおとなしい顔つきですね。この後、担当セールスのWさんと話していて、Wさんも「1シリーズに似ていますよね。」と感想をおっしゃっていましたが、確かにその通りです。私個人としては1シリーズの顔はハンサム顔なので好きですが、こちらはグリルが大きいので、1シリーズのクール系ハンサム顔とはまた違って、なんとなく柔和な感じを受けます。そういう意味では、第一印象ではワイルドさはあまり感じません。

これはバックショットですが、また第一印象で申し上げますと、先代のX3とはかなり印象が違っています。テールライト周りが全然違うので当たり前なのですが、先代はフロントから見るとワイドさが強調されたのに対して、リアから見ると縦長感が強調されていたように感じていました。これが一点、現行型ではフロントから見るとその大きなグリルで縦長感が強調されていて、リアから見るとワイド感というか、横長感が強調されていますね。

そして、テールライト周りにはX1との共通性もなんとなく感じられます。Xシリーズのデザインはフロント・リアとも今までイマイチ統一性がないと感じていましたが、なんとなくここに至ってXシリーズならではのアイデンティティを確率しつつある感じですね。

そして本当にオシャレです。ワイルドさはないものの、この試乗車のボディカラー、新色のファイトニック・ブルーという色と相まって、BMWらしい都会派な雰囲気を持っています。内装も、私の愛車の320dツーリングの「素っ気なさすぎるかもしれないレベルでのシンプル」から一転、加飾が入りまくっていて豪華な雰囲気を出しています。

5シリーズに共通する雰囲気でまとめられています。それを一番感じたのが・・・

ルームライトとセンターパネル。いい感じですね。この雰囲気、私は好きです。

ところで、今回の試乗車はxDrive 20d M Sport。今日本にあるのはこのM Sportだけだそうです、xLineなどは12月に生産が始まって、これから入って来るとのことで、M Sport以外をご希望の方はもう少しお待ちにならないといけないとのことでした。

さて、乗り込んで見ましょう。ドアを開けると、いきなりXのロゴがお迎えです。

まあ、ここはドアを閉めると隠れてしまうところなのですが、他にもこのさらに上の写真の下の方にもX3のロゴがあり、ドアを開いた時に見えるBピラーの上の方にもX3のロゴがあり、後席ドアにも・・・という感じで非常に強く自己主張しています。都会派はスマートでクールかと思っていたら、意外と熱く主張するタイプだった、見たいなギャップですね。

ギャップといえば、先ほど外装を写した写真の、フロントバンパーの造形をご覧ください。両サイドの部分の処理がかなり立体的な造形になっているの、お分かりになりますでしょうか?これからはこのくらい鋭い造形がスタンダードになるようですね。これも技術の進展に伴ってできるようになったものとWさんがおっしゃっていました。

実はその進展を示している箇所がもう一箇所あります。これももう一度外装写真をよくご覧ください。前後ドアの下部、鋭く峰が横に一線入っているんですね。これも意外とギョッとするくらい鋭くなっていまして、上半身のマイルドな(に見える)外観に比べて下半身のムキムキさにアスリートっぷりを感じるというギャップがあります。

意外とこの新型X3、ワイルド系に見えなくても細部がワイルドです。

走行性能だけでなく、快適性も高い!

乗り込んで見ると、上品な外観からは感じなかったのですが、ボンネットに走る峰も鋭くそびえ立っています。

写真の右のほうに特にご注目ください。我が愛車からは見えない光景です、この峰の鋭さ。実は隠れマッチョだったみたいな感じで、都会派の印象をまたも打ち破られます。

この時既に走行しているのですが、まず驚くのがエンジンの静かさ。ごく控えめに表現してすっごく滑らかです。ディーゼルですよ?下手をすると、F30の前期型のガソリンモデルよりもはるかに静かに滑らかです。

そして、メーターパネルは当然・・・

はい、マルチディスプレイです。まあ、これはCOMFORTなので特に目新しいことはないのですが、ECO PROにすると・・・

タコメーターがこの謎表示に変わるんですね。5シリーズ試乗の時もなんだかわからなかったのですが、今日になってようやく気付きました。これ、瞬間燃費計になっていますね。右側の方に、平均燃費(生涯平均の方です)がマークされています。8.5と書いてあるところですね。

そしてこれはもちろん停止中に撮影したのですが、km/L表示ですので、アクセルを踏むといきなり針が一番右まで動きます。これは現在の我が愛車と同じでして、不自然なんですよね。ですので、私は慣れたL/100km表示にして起きました。すると、アクセルを踏むと同時に針がジワーっと右に回って行くという自然な動きになります。もちろん、試乗を終えてお返しするときは元に戻しておきましたが。

あともう一つ、「AUTO H」の表示とともにパーキングブレーキのマークが緑で点灯しています。これがウワサの、ブレーキのオートホールドなんですね。ブレーキを踏んで足を話しても動きません。最初は意識していなかったので驚きましたね、「クリープしない?!」って(笑)。まあ、すぐ気づきましたが、人間の慣れとは恐ろしいものです。もちろん、ちょんとアクセルを踏んで話せばクリープします。そういえば、戻ってきて車庫入れするときはオートホールドは働かなかったですね。まあ、車庫入れの時って完全停止はしないからかもしれませんが、バックでは動作しないのでしょうか?

それよりも、走り出してからの感触ですが、エンジンに関しては先にも述べたとおり、滑らかに回転を上げ、力強く車体を押し出します。普段からディーゼルに乗っている私にとっては、驚くような力強さではないのですが、それでもやはり絶対的には相当ダッシュが効く方でしょうね。

そしてM Sportということでサスペンションのセッティングが気になる方が多いと思います。私は何度か当ブログで告白しておりますが、M Sportの乗り心地は苦手です。その私が今回乗って感じた第一印象が「だいぶこなれてきたな」という非常に上から目線の感想でした(笑)。よくF30系が出たばかりの時、クルマ雑誌等の試乗記で、「M Sportなのに乗り心地がいい!」なんて絶賛されていたので、すっかり信じていた私は、試乗した時に衝撃を受けたものです。

硬い。硬すぎる。

いえ、硬い分にはいいのですが、要するに突き上げがきつかったんですよね。これはとてもではないけど私には無理かな、と思って敬遠していました。

今回のX3では、その突き上げの角が見事に丸くなりました。これは、M Sport苦手な私がいうので、もしかしたら今までもM Sportに乗っていたからすると、だいぶマイルドになった、あるいは軟弱になった、というレベルかもしれません。ですが、きちんと芯は残っていまして、安定性を支えるサスペンションの「硬さ」というのは残っています。逆にいうと、路面の凹凸を包み込んでいなして走行するタイプではありません。路面にベターっと張り付くような感じですので、舗装の良い路面ではかなり安定していますが、荒れた路面ですと体がそれなりに揺さぶられます。ですが角が丸いのでそんなには気になりませんでしたし、普段非M Sportに乗っている私が違和感を感じませんでした。

ステアリングは軽く、乗り心地は適度にマイルドで・・・というと安楽なクルマかと思われそうですが、そこはそれBMWらしい走行性能というのはきちんとあります。というか、これぞBMWそのものです。

X3は全幅が1,890mmと、私の320dと比べて90mmも幅広です。そしてToto BMWさんの前を走る幹線道路は新青梅街道といいますが、ご存知の方いらっしゃると思いますが、片側2車線の道路です。なのですが、1車線の幅が狭いんですよ。大型車は2台横に並べないレベルです。乗用車も当然ながら2台並ぶとキツキツなので、非常に気を使うのですが、そんな狭い車線でも寸分違わず自分の意思通りに細かい修正に対応してくれます。本当に、「あと数cm左」のような修正を強いられる場面が多いのですが、間髪を入れず応答する安心感、これこそBMWですよね。

車内の実用性も高まっている!

試乗して落ち着いたところで、少し車内を観察してみましょう。

試乗している時からなんだか視界の左下の端で時々何かが光っているような感じがしていましたが、これでした。

7シリーズから導入されたディスプレイキーですね。これはイノベーションパッケージに付属しているオプションだそうですので、全てに装備されているわけではありません。持つとなんだかほんわか暖かかったのですが、それはこのキーが置いてあった位置に関係があります。

電池マークが書いてあるのでお分かりだと思いますが、いわゆる非接触充電ですね。ここで充電しているので暖かかったんですね。Wさんから伺ったのですが、このディズプレイキー、電池持ちが悪いのが欠点だそうで、意外とまだ選ぶお客様は少ないとのこと。ですが、非接触充電は今やほとんどのスマホが対応しているので、かなり便利そうですね。

これ以外にも、USBのジャックがあります。置くだけ充電の横にもありますし、このように・・・

ちょっと見えにくいですかね?センターアームレストを開いたところの後端にもあります。

ところで、上の方の写真で運転席側から撮影した写真がありますが、もう一度掲載しましょう。

これは身長175cm(公称値)の私が、普通に立っている視点で撮影しています。これだけだとわかりにくいかもしれませんが、運転席に乗り込む時に、一切の「よっこらしょ」的な努力は必要ありません。ちょっと背伸びしてお尻をシートに乗せるだけでなんの苦もなく乗り込めます。これは今現在、運動で膝を痛めている私には非常にありがたかったです。

言うまでもなく、乗り込んでしまえばBMWワールドそのもので、ドライビングポジションは私の3シリーズと全く同じ様にできます。ただ、右ハンドル輸入車の宿命である、ペダルのセンター寄りのオフセットが3シリーズよりも大きい気がしました。実際、私は最初に自然と足を伸ばしたらアクセルペダルのさらに外側に足が行ってしまいました。まあ、慣れの問題ですけどね。

ちなみに後席はというと・・・

めちゃめちゃ広いわけではありませんが、3シリーズとほぼ同じか、ちょっと広いくらいの足元です。もちろんこちらも私くらいの身長であれば全くなんの苦もなく乗り込めます。

では、荷室を見てみましょうか。

特に広大とは感じないのですが、これで550Lの容量を確保しています。床の広さとしては、特に横幅があまりないのでゴルフバッグ横積みは無理でしょうけど、ゴルフをしない私にとってはあまり関係ありません(笑)。それよりも、床が成形されており、さらに開口部に段差がないので非常に使いやすそうです。キャンプ道具を満載するとわかるのですが、ここに段差があると、重量物は取り出しにくいんですよね。

床下収納もあります。

ちゃんとダンパーで支えられるようになっているのが羨ましいです。3シリーズのツーリングですと手で支えていないと置けないですからね。こういう所が細かいですが使い勝手に効いてきます。しかも、結構容量ありますよね。これでしたら細々としたものは全部床下にしまって、荷室自体はスッキリさせておけるでしょう。

ちなみに、試乗車には付いていませんでしたが、オプションで後席シートを9度リクラインする機能もあるそうです。よく見るとトノカバーと後席の上端にわずかに隙間があり、そのオプションが用意されていることをうかがい知ることができます。たった9度ですが、座ると相当違ってくるでしょう。なんで標準装備にしてくれなかったのでしょうか?

今日の試乗車はいわゆる「デビューパッケージ」と呼ばれる仕様でオプションてんこ盛りでHUDなども装備されていましたが、こんなのもありました。

雨ですので見栄えしませんが・・・パノラマガラスサンルーフです。これは後席に座って室内側だけオープンして見上げて撮影しました。こんな天気でも、開けると車内が明るくなっていいです。運転している分にはあまり恩恵はないと思いますが(笑)。

おっと、そういえば興奮しすぎて恒例のタイヤチェックがまだでしたね。

M Sport標準の19インチホイールに、前後共245/50R19のタイヤが付いていました。もちろんランフラットで、銘柄はブリジストンのALENZAというタイヤです。

Bridgestone ALENZA

全然知らない銘柄だったのですが、プレミアムSUV用のタイヤの様ですね。乗り比べていないのではっきりとは申し上げられないのですが、特にノイズ等も大きくないですし、柔らかい感触でX3によく似合っているタイヤの様に思いました。

ですが、この19インチタイヤですと、正直申し上げてあんまり見栄えがしません。というのは、ボディが大きいから、と言ってしまえば簡単なのですが、どうもそうではないんですね。個人的には、タイヤが横に丸く広がっているのが今ひとつなんです。BMWオーナーの方は、一度ご自身の愛車をご覧になってみてください。BMWは伝統的にオーバーサイズのタイヤを履いてまで、足元の見栄えにこだわりますので、きっと横に丸く膨らんで広がっているタイヤは装着されていないと思います。本格的に荒地を走行するクルマはむしろ扁平率が高いタイヤを履くことは承知していますが、X3はそこまでクロスカントリー的な用途のクルマではありません。もし自分で購入するなら、ここはオプションの20インチを装着したい所です。ここだけが唯一BMWらしくなく感じた点でした。

結論:買って後悔しない、相当上質なSUV

結論としては、これはすごいクルマです。当初乗り込んだ時は、「目線が高い」と感じましたが、数cm単位の修正にも応答することを確認したりしているうちに、普通のセダンやワゴンを運転している様な錯覚に陥りました。SUVと言うと、どうしても車両重量がかさむ上に、あえて穏やかなステアリングの味付けにされたりしますが、そう言う点ではX3はBMWたることに一切妥協がないと思います。

そして、ディーゼルの経済性もさることながら、上質感まで演出しているこのエンジンは本当に恐れ入りました。523dに搭載されているエンジンと同じもののはずなのですが、正直に申し上げると、以前試乗した523dの上質さをはっきりと上回っていると個人的には感じます。掛値なしに一切の振動がありませんし、音質も極めて穏やかです。それでしてもちろんスポーツ性があるのはご存知の通りでして、ECO PROモードでもアクセルを軽くひと踏みするだけで幹線道路の流れをリードできます。

そしてきわめつけは、M Sport嫌いの私が、「あ、このM Sport欲しいな。」と思ったことです。要するに私はスポーツ性のために快適性を犠牲にしたくはないわけですが、その私でも許容できる、と言うか長距離高速走行を考えるとむしろこのくらいの安定感は欲しいと考えるいいところを突いて来ています。

SUVに興味がなかった私でも欲しいと思えたSUV。ただBMWでいつも問題なのはお値段です。X3 xDrive 20d M Sport、お値段は710万円から。この価格の価値は十分にあると思いますが、いかんせん絶対値として高すぎて手が出ません(笑)。間違いなく、数年後に程度のいい中古が出て来たら買いでしょうね。

いや、本当に素晴らしいクルマでした。試乗を終えてショールームに戻って来てからもしばらく矯めつ眇めつ眺め回していましたが、ショールームにも魅力的なクルマがありまして・・・と言う話は、長くなってしまいましたので次回に譲らせてください。

では、今回はこの辺で失礼します。ありがとうございました。