私の愛車、MY2015の320dツーリングのiDriveのコントローラーには「タッチパッド」が付いています。手書き入力などができて一見便利そうなのですが・・・。
時代はタッチパネル全盛
まず申し上げておきたいのですが、タッチパネル自体は、そこまで新しい技術ではありません。
スマホしか知らない世代には意外かも知れませんが、ガラケーの時からタッチパネルで操作するモデルというのはありました。
ただ、タッチパネルがスマホの普及に最も貢献した技術であるというのが私の持論でして、iPhoneを作り上げたアップルの偉大さは、タッチパネルの利点を余すところなく引き出して、直感的な操作を可能にした点にあると思っています。
本題とはずれるのでかなり端折りましたが、タッチパネルが現代のスマホを中心とした、インターフェースの王道として君臨しているのは、この「直感的な操作」ができるというのが一番大きい、という前提で以下お話しさせて頂きます。
カーナビもタッチパネル。
となると、当然目をつけるのはカーナビを作っているメーカーです。カーナビで何が一番面倒かというと、カーナビの根本に関わることですが、目的地の入力が一番面倒ですよね。
BMWのiDriveも文字入力の仕方を工夫していますが、iDriveのコントローラーをクリクリと回して一文字一文字入れていくのは、正直面倒です。
iDriveの登場当初はこれでも画期的な入力の仕方だったと思います。ですが、タッチパネルで入力できるスマホに慣れてくると、途端に面倒に感じるようになるんですよね。ここまで技術が進展するというのは、BMWも予想していなかったのでしょう。
そこでタッチパッド。
タッチパッドは、スマホの入力に慣れた世代にもマッチした文字入力の方法となり、カーナビの目的地設定の労力を劇的に改善するはずでした。
ですが。
手書きで文字を入力する方法って、実はスマホでもあまり普及していません。私自身も、フリック入力の方が遥かに早く入力できますし、簡単だと思っています。
これはフリック入力という方法を考えた天才に拍手を送るしかないのですが、この入力方法の普及によってBMWが折角導入したタッチパッドも、一気に陳腐化した感が否めません。
では、使い道はないのか?
これがそうでもないんです。
iDriveって、全ての操作をあの丸いコントローラーで行うようになっています。
また、iDriveのメニュー構成は、アップルの思想と同じく、「必要のないメニューは極力落とす」という思想で構成されています。この方法は、慣れるのには多少時間がかかるかも知れませんが、慣れればこれほど使いやすいものもなく、運転に集中すべきクルマのインフォテインメントのシステムとしては理想的ですよね。
ただ一つ、日本仕様では左手で文字を書く羽目になるタッチパッドによる文字入力を除いては、ですが。
では、タッチパッドが無用の長物であるかというと、少なくとも私にとってはそうでもありません。
よーくお考えになってみてください。あれだけ直感的な操作を考えられたiDriveで、一つだけ直感的でない、または直感的にはわかるけれどもうまく操作できないものは何か?
私は、「地図のスクロール」だと思っています。
あれ?カーナビタイム使ってるんじゃないの?
ご指摘の通りです。
ただ、これはBMWに限らず車載カーナビを使用している時にあるのですが、道案内の表示は大きくして欲しい一方で、より「引き」で見て自分がどの辺りをどっちに向いて走行しているのか知りたいと思った事はございませんでしょうか?
私はかなりの頻度であります。これは私が超絶方向音痴であるからというのもありますが、例えばiPad mini 4には道案内としてのカーナビを大きめの縮尺で表示しておいて、コントロールディスプレイに小さめの縮尺で地図を表示させて、日本のどの辺にいてどの方角に向かっているのか、知っておきたい時というのがたまにあるんですよね。
なんのために、と言われると難しいのですが、あえていうなら、大きく見て、今自分が選択しているルートが効率の良いルートなのか、自宅に帰るなら自宅に帰るでちゃんと向かっていて、カーナビが選択する以外に混雑していないルートがあったりしないのか、ということを確認するためです。
そして、この範囲の広い地図は、iPadではなく、クルマのコントロールディスプレイに表示しています。縮尺は簡単にiDriveのコントローラーで切り替えられるので便利なのですが、一つ不便なのは、iDriveでは地図のスクロールがしにくいということです。
iDriveで地図のスクロールをするには、画面左端に表示されているメニューの一番下を選択し、その後にコントローラーをスクロールしたい方向に倒すのですが、これが中々思う方向に進んでくれません。
真横や真上ならいいのですが、斜め上などになると、自分が辿るルートを正確にトレースできません。
ここでタッチパッドの出番になるんですね。
タッチパッドは何も文字入力のためだけではなく、iDriveの操作を簡単にする意図で追加されています。地図のスクロールがタッチパッドでできるという事は、図らずも開発チームがiDriveコントローラーのみでの地図スクロールをやりにくいと認めたという事を示唆していると考えていますが、それはこの際どうでもいいです。
地図のスクロールをタッチパッドでやると、意図した通りにスクロールする上にすごくやりやすいんですよ。
これをやるに当たって、コントローラーでスクロールするのと同様に、画面左端のメニューの一番下を選ぶ必要はあります。
ただそこからのスクロールは自由自在。コントローラーでやると、じわーっとしかスクロールしなくてじれったかったのが、タッチパッドでやると指でなぞったスピードも反映してスクロールします。
ですので大きくスクロールしたい時は、大きく早く指をなぞり、微妙なスクロールをしたい時はゆっくり小さめに動かすと微調整が可能なんです。
ただ、右ハンドル仕様の日本仕様だと左手で入力するのが・・・。
私は右利きで、さらに不器用です。
今までご説明した通りだと、地図のスクロールはタッチパッドを使うとものすごく簡単にできそうな気がしますでしょ?でも、私にとっては違うんです。
私の不器用さというのは、恐らくあなたの想像を絶していまして、走行しながら左手で安定して継続的に操作するのが多大な困難を伴うくらいのレベルなんです。
すると、どういうことになるか。
結局信号待ちなどの間にiPad mini 4のカーナビタイムの方を素早くピンチしてスクロールする方が早い上に安全なんですよね。
すると当然ながら、折角のタッチパッドも威力を見せ付けられません。むしろ、私にとっては宝の持ち腐れもいいところで、活用できておりません。
じゃあ使わなければいいでしょ?
いや、おっしゃる通りなんですけど、折角付いている機能はできれば活用したいと思うのが人情というものではありませんか?(笑)
特に私はその傾向が強いのですが、不器用な私がかろうじて使用できそうな地図スクロールですら、私の側の原因が大きいのですが(笑)この有様なので、先進的なタッチパッドを活用できるのは無理なのかもしれません(泣)。
なぜそこまでタッチパッドにこだわるのか?とお思いでしょうがこれには私の見通しが甘かったというか、あの・・・要するに、初期型のF30では装備されていなかったこのタッチパッドが、今のMY2015の320dツーリングに買い替える際の動機の一つとして、私の中で過大に評価していたからなんです(笑)。
今ではハッキリと自覚しています。これはタッチパッドを左手で操作する日本仕様ではハッキリといらなかったかも、と。
左ハンドルなら右手で操作できるので、もう少し使い道があったでしょう。ですが、文字の手書き入力はそれなりにストレスが溜まると思います。
手書き認識の精度が際立って高いわけでもないですからね。
可能性はある。いえ、なくもない・・・いや、やっぱり・・・。
要するに、手書き入力では文字が間違って認識されるからいけないんです。人は、自分の意図した通りにいかないと少なからぬストレスを感じる生き物なので、これはなんとかしなければ、永遠に使い物になりません。
ではどうすればいいか。
タッチパッドで文字入力をフリック入力する様にすればいいんです。そして、指を早く動かした時にもう少し早く大きく地図がスクロールする様にすればよりいいですね。
これからクルマを購入する世代というのは、スマホ世代です。そうした世代に選んでもらうためには、クルマのインターフェースをスマホと親和的なものにするのが最もいいと思います。
テスラがあの価格にも関わらず販売が好調に推移しているのは、ただ単に「EVだから」「自動運転だから」だけではなく、インターフェースがスマホと似ていて直感的に操作しやすいから、という理由もあるのではないでしょうか?
BMWとて、iDriveで車内インターフェースの革新に先鞭をつけた会社です。近いうちに、iDriveのタッチパッドではなく、タッチパネルで操作するインターフェースに移行すると個人的には予想していますが、その時にはユーザー目線での操作性というのを是非とも優先して頂いて、ステアリング位置の左右に関わらず操作しやすいインターフェースを考えて欲しいものですね。
そして、その思想を生かして、タッチパッド付きiDriveにも反映できるようにして、プログラムアップデートしてくれれば文句なしなのですが・・・。
まあ、実現するとしてもだいぶ先の事になりそうですが(笑)。
iDriveのタッチパッド、こんな場面で使っています!という方、是非とも教えて頂ければ嬉しいです。どんな簡単なことでも、ふるってコメント欄にご記入ください!
では、今回はこの辺で失礼します。ありがとうございました。