40代子持ちのクルマ好きが、愛車のBMW 320dツーリングを評価するとともに、ちょっとだけ日々を楽しくするクルマのある生活の話題をお届けします。

ALPINA B3試乗してしまいました!

BMW

前回記事でお伝えしましたが、B5を見てうっとりするだけでなく、憧れのB3に試乗してまいりました!それは今までの体験したことのない世界観を私に見せてくれた、感激の体験となりました。

アルピナ・ブルーのB3が目の前に!

場面は私がショールームでB5を矯めつ眇めつ眺めていたところから始まります。

ダンディなセールス氏が戻ってきて、私にこう告げました。

「ご試乗の準備ができました。」

この言葉に、私は電気に打たれたように反応してしまいました。いよいよ、憧れのB3に試乗する時がやってきたのです。ふとショールームの外に目をやると、それは既に私の視界に入るところにありました。

どれだけ私が舞い上がっていたか、後で私も気づいたのですが、自宅に戻って写真をチェックした時です。必ず撮影している、試乗車の全体写真が一枚もない!(笑)パーツの写真はあるのでおいおいご紹介しますが、全体写真がないのはそういう事情でご容赦ください。

さて、左側のドアを開けて恐る恐る乗り込みます。そう、今回の試乗車は左ハンドル。以前Toto BMWさんのイベントでB5に試乗した時も左ハンドルでした。ALPINAの試乗車は左ハンドル比率が高いのでしょうか?慣れない左ハンドルということも私の緊張を高めます。

私の320dツーリングとステアリングの形は同じですが、真ん中にはALPINAのエンブレム。そしてセオリー通りブルーのメーターパネルが嫌が応にも違うクルマであることを主張しています。

インテリアに目をやると、APLINA独特の赤みが強いウッドパネル「ミルテ」がゴージャスな雰囲気を醸し出しています。気分が高まりますね。

そしてこちらにもharman kardonが付いていました。

ですがこれを堪能している余裕はないでしょう。

さらに試乗車にはダッシュボードとグロブボックス周りもレザー張りとなるオプションが装着されていたので、豪華極まりない室内です。

そして、こちらも写真はないのですが、リアシートのヘッドレストは、日本仕様の固定式ではなく、可倒式のヘッドレストになっていました。おかげでバックミラーに移る視界も遮られることなくすっきりとしています。

すでにエンジンはかかっていましたが、Mのようにそこら中に高性能さをアピールするようなサウンドを撒き散らすようなことはありません。もちろん、野太い排気音はしているのですがあくまで控えめ。Akrapovicのマフラーがいい仕事をしているということですね。

では、早速ニコルさんのショールームを後にして出発します。

凄まじいフラット感と、快適な乗り心地

ニコルさんのソールームは環状8号線沿いにありますが、第三京浜の玉川ICを少し通り過ぎたところにあります。試乗コースは第三京浜で一つ先の都築ICまで行って折り返してくるとうコース。ショールームを出てすぐ側道に入ってUターンし、第三京浜に入ることになります。

このUターンする側道なんですが、目黒通りと環八通りの交差点になります。ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、この側道の車線、狭いんですよね。慣れない左ハンドルの私をいきなり試練が襲います。

ですがALPINA B3はそんな私の気持ちを落ち着かせてくれるように、ショールームから出るときの段差を優しくいなしました。ここまでで既に、「これが本当に最高出力400psオーバーの高性能車なのか?」と思うくらいの快適性を見せつけます。段差でもショックは皆無。しかもその先、ちょうど工事中だったのですが、荒れた路面であることを感じさせない、サスペンションの微小ストローク域のスムーズさ。

この時点で「これはF30のカタチをしたクルマの中で群を抜いて快適性の高い乗り心地だ!」とわかってしまいました。

さて、いよいよ第三京浜に入ります。天気のいい土曜日とあってか、下り線はクルマも多く、B3の性能の3割も出せない状態です。しかし、比較的荒れた部分もある第三京浜を極上のスムーズさで加速していきます。これは先に申し上げた乗り心地の面もありますが、エンジンを含めたパワートレイン全体として加速がスムーズです。エンジンに暴力的な面は一切見られず、シフトアップのショックも感じられません。

ですが、走行車線で遅い車に詰まり、追い越し車線に移動しようとしたときでした。当ブログをお読みの方々はご存知のことと思いますが、追い越し車線への車線変更って、加速しながら行いますよね。しかもこの時は前を行く車がかなり遅いスピードで走っていたので、私もアクセルを軽く踏み増して、加速しつつ追い越し車線に出たつもりでした。

その瞬間。

「ワンッ!」とエンジンが咆哮してシフトダウンし、猛烈な加速を開始したのです。思わず「うわっ!」と声が出ましたね。先ほどまではジェントルに振舞っていたエンジンが突然野生に目覚めました。この二面性がALPINAならではなのでしょう。Mですと、この状況では「いつになったら加速するんだ!」と待ち構えていて、アクセルを踏みました瞬間に暴力的な加速を開始するところです。

まあともかく、追い越し車線の流れに乗りますが、一旦巡航に入ってしまうと相変わらずジェントルな振る舞いに終始します。排気音も、いい音質の音は聞こえるのですが控えめ。総じてゴージャスな室内の雰囲気は損なわれることはありません。

そして、第三京浜って結構アップダウンもあります。非力なクルマですと、この「アップ」の部分で速度がみるみる落ちて行くのですが、隣に同乗しているセールス氏に、今自分がいかに感動しているかを伝えようとしている私はアクセルを踏み増すのを忘れていました。坂の途中で気づきましたが、特にスピードは落ちておらず、巡航スピードを保ったままです。ジェントルに振舞っていても余裕のエンジンパワーとトルクでことも無げに坂を登っていたんですね。

さて、あっという間に都築ICまで2km地点に差し掛かりました。第一走行車線へ戻ると、大型トラックが多く走っているせいか、めちゃくちゃ路面がひび割れて荒れているのが見て取れます。そんな中、B3はそうした路面の荒れをキャビンに一切伝えることなく通り過ぎていきます。いえ、正確ではないですね。ステアリングからは路面の荒れは伝わってきます。ですが一切の振動はキャビンに伝わってきません。そして、車体が揺すられることもありません。

これは一体どうしたことなんでしょう?どうやったらこんな乗り心地のクルマが作れるのでしょうか?もう、驚くほかありません。

都築ICの出口へと向かうカーブで、今度はサスペンションのファームさを示してくれました。先ほどあんなに滑らかに路面の荒れをいなしていたサスペンションと同じとは到底信じられません。ですが、Mとはちょっとフィーリングが異なります。

Mでは、こうしたコーナーではロールすら見せずにくるっと回り込んで行くような挙動でした。ですがALPINAは、軽いロールは見せますし、そこまでくるっと回り込む挙動は見せません。でも、ノーズはきちんとコーナーの内側を向いて、オンザレールでラインをトレースしていきます。

ここで二度目の「どうやったらこんなクルマが作れるんだ?」です。確かに20インチのホイールにミシュラン・パイロッットスーパースポーツという、運動性能を重視したタイヤを履いています。というか、Mと同じ銘柄です。コーナーで踏ん張りがきくのはわかりますが、先ほどの快適性との両立に思いを致すと、ため息しか出ません。感心を通り越して呆れて笑いが出てきます。一体どの程度のコストを注ぎ込んだのでしょうね。

この感想を正直にセールス氏にぶつけてみると、こうおっしゃいました。

「ALPINAはエンジンに相当なコストをかけています。ですがおっしゃる通り、足回りも快適性を損なわず、最大限の運動性能を持たせるために、コストをかけたエンジンに見合ったコストのかけ方をしているでしょうね。」

なるほど、トータルでベース車の性能を引き上げるということですね。

スイッチトロニックは使いやすかった!

さて、都築ICでUターンして再び第三京浜に乗ります。

今度は上り線になりますが、下り線と打って変わってクルマが少なくて、好きに走行できる状況。これはチャンスとばかりに、エンジンを高回転まで回してみることにしました。

周囲にクルマがいなくなったタイミングで速度を落として、左手でステアリング裏のボタンをチョンチョンと押してシフトダウン。このALPINA独自のスイッチトロニック、BMWがシフトパドルを採用する前から装備されていますが、個人的にはシフトパドルの方がいいのではないか?と疑問を持っていました。だって、スイッチトロニックは自分が押すボタンは見えないですからね。

ですがこれは大きな見当違いだと知りました。スイッチトロニックのボタンは、ステアリングを3時15分で握った時に、自然と指を伸ばすとそこにありました。クリック感も軽すぎず硬すぎず、ちょうどいい感じで、しかもボタンを押したということがはっきりとわかるフィードバックです。要するに「ちょうどいい位置にあって押しやすい」ということですね。

それはそうと、シフトダウンしたのでアクセルを踏み込みます。思い切って2速まで落としていたので、レッドゾーンまで吹け切りました。ここで、高性能車というものはかくあるべきとでもいうような、模範的なレスポンスとパワーフィール、そして快音を伴ってB3は加速していきました。この時の加速感は、先ほどと同じく野生を感じつつもジェントルな振る舞いで暴力的ではありません。

ある意味、暴力的な加速感があってこそハイパフォーマンスカーという見方もあることは承知していますが、ALPINAの「さりげなく早い」というのは、かなり病みつきになります。そうは言っても街中を流している時のジェントルさとは全く違いますからね。

そして一番お伝えしたいのは、この時の直列6気筒エンジンの粒の揃った快音です。これまた、Mのような野太い音を周辺に撒き散らしているわけではありませんが、Akrapovicのマフラーが奏でる排気音と、エンジンルームからの咆哮は、我々クルマ好きが直列6気筒に求める音というものを模範的に表現していると言っていいでしょう。野太すぎず、大きすぎず。個人的にはもっと高音でもいいかと思いますが、それでも量産車としては出色のエンジンサウンドだと思います。

鳥肌たちますよ、本当に。

ショールームに戻って観察

すっかり加速に病みつきになった私は、スイッチトロニックでシフトダウン→加速→鳥肌ゾワーというのを繰り返してショールームに戻ってきました。この感、平均速度としては第三京浜の追い越し車線の流れに沿っていたかと思いますが、ステアリングセンターはビシッと決まって座りがよくて直進性は文句なし、そして相変わらず上屋が揺れない乗り心地にも酔いしれていたのはもちろんです。

さて、興奮冷めやらぬ中、ショールームでクルマを降りて観察してみました。

このホイールの奥に見えるブレーキ、一見するとドリルド・ベンチレーテッド・ディスクでもないですし、カーボンコンポジットでもないので大したことはないように見えます。ですが、私もそれは知ってはいましたが、改めて目の当たりにすると、信じられません。だって、第三京浜では剛性感溢れるペダルタッチに、コントローラブルな面が際立っていましたから。むしろ、カーボンコンポジットブレーキであった方が、やっぱり、と納得できます。ここもとんでもないコストがかかっているのでしょうね。

それにしてもフロントエアダムが低い!これは結構気を使うかな?と思い、セールス氏に伺ってみたところ、

「それがそうでもないんですよ。コンビニの駐車場にアタマから入ったりすると確実に車止めに当たりますが、それ以外は大丈夫なんです。」

そういえば、私もショールームから出る時も帰ってきて入るときも、歩道の段差を乗り越えるのですが、全く気にしていなかったのに大丈夫でした。

3シリーズを極限まで高めたクルマ

今回は高速道路のみの試乗で、山道などは走っていません。ですが、この短くも夢のようだった試乗の範囲内では、無敵の高速クルーザーです。

B3よりもハイパワーなクルマなんていくらでもあります。というか、M3の方がパワーで20psほど、コンペティションでは40psほどパワーは勝ります。

ですが、そのパワーと、これほどの安定性と快適性とを両立しているクルマってあるのでしょうか?私は、このクルマであれば、燃料が尽きるまでどこまででも走っていけます。

と、そこで気になるのが燃費ですね。試乗車のオンボードコンピューターに表示されていた平均燃費は9.6km/L。結構いいな、と思ってセールス氏に伺ったところ、苦笑しつつ、

「いえ、この試乗車はやはり高速走行が主体ですので燃費がよくなっています。街中ではよくて7km/Lと言ったところですよ。」

とおっしゃっていました。それでも、3L直列6気筒ツインターボ、410psのエンジンとしては望外の好燃費だと思いませんか?では、D3ならもっといいのか?と思って伺ってみますと、

「D3は燃費いいですよ。高速でしたら20km/L行くこともあります。」

あ、やっぱり。ということは長距離クルーザーとしてはD3の方が向いているかもしれませんね。

ですが、B3のエンジンのこのなんともいえない二面性すら感じるフィーリングは、それだけで相当に価値があるでしょう。ALPINAの3シリーズを購入する際には、B3かD3か、答えの見えない迷いで悩むかたが多いのではないでしょうか?そう思って、B3とD3の販売比率を伺ってみたところ、

「ざっと半々です。」

とのこと。半々・・・え?半々って、D3の売れ行き、結構すごくないですか?ALPINAユーザーも燃費に気を使うんですね(笑)。

今度はいつ乗れることやら。

もしかしたらこれが私の生涯で最後のALPINA試乗体験となってしまうかもしれませんが(大げさ)、その高性能のほんの一端に触れることはできました。

今回試乗して思ったのは、ALPINAって、乗れば乗るほど味が出てくるクルマなのではないか、ということです。つまり、今回のような試乗コースですと、私のように意識してシフトダウンして高回転まで回さなければ、エンジンのもう一つの顔を引き出すことはできません。もしそんなことをしなかったら、ジェントルで、パワーに余裕があるエンジンということで終わってしまうでしょう。

そして乗り心地もそうです。ステアリングインフォメーションを感じ取っていなければ、この徹頭徹尾上屋を揺すらない乗り心地というのは、路面が綺麗に舗装されているとでも勘違いしてしまいそうなレベルです。

つまり、派手な外観に似合わず、意外とアンダーステートメントで、性能を引き出して走って行くうちに魅力がさらに高まるタイプのクルマなのではないか、と思うんです。

ここのところはぜひ、所有してらっしゃる方のご感想を伺ってみたいものですね。

興奮して長くなってしまいました。ここまで読んでいただきありがとうございます。

では、今回はこの辺で失礼します。ありがとうございました。