40代子持ちのクルマ好きが、愛車のBMW 320dツーリングを評価するとともに、ちょっとだけ日々を楽しくするクルマのある生活の話題をお届けします。

VWパサートヴァリアントとゴルフに試乗してきました!〜パサート・ヴァリアント編

時期外れではありますが、休暇をいただいています。子供は普通に学校ですので特にどこにいくでもないのですが、以前から見に行こう見に行こうと思いつつも果たせていなかったVWパサート・ヴァリアントに試乗してきました。そして、VWに行ったらCセグメントのベンチマーク、ゴルフに試乗しないわけにはいきませんよね。というわけでこちらも試乗してまいりましたので、感じたことをご報告したいと思います。

オートキャンプ好きとしては気になるクルマ、それが「パサート・ヴァリアント」

実は今の愛車320dツーリングを購入する前に、オートキャンプにいくときに便利なクルマとして現実的に考えていたクルマが、BMW以外で3台あります。その3台とは、スバル・レガシィ・アウトバック、VWゴルフ・ヴァリアント、VWパサート・ヴァリアントです。

VWは当ブログでも何回かご紹介している通り、極めてスペース効率に優れており、同じサイズのクルマで1クラス上のクルマに匹敵する後席の余裕とトランクスペースを実現しています。アウトバックは、普通にスバルが好きということと、SUVまではいかなくともあの若干高くなった車高がきっとフリーサイトなどで役に立つと思った、というのが理由です。

オートキャンプって、本当に「小さな引っ越し」です。もちろん、アウトドア用品というのは持ち運ぶことを考えて作ってありますが、それでも膨大な荷物の量です。以前、当ブログでも荷物の量をお見せしましたね。

こんな状態です(笑)。しかもいつもパズル状態でできるだけ隙間なく積んでいくので結構大変です。要するに、荷室の余裕があればあるほど楽ができるんですよね。

ですがもちろん、荷室だけ大きくてもダメですよね。走りが良くて、快適に移動できるクルマじゃないと。だって、オートキャンプの時だけクルマを使うわけではないですから。

パサート・ヴァリアント試乗!

で、VWのHPでパサート・ヴァリアントの試乗車があるディーラーを探して行って見ました。

ドアをくぐって

「すみませーん、パサートのステーションワゴンに試乗させていただきたいんですがー」

と言ってしまいました・・・言ってしまってから強烈な自己嫌悪。なんでちゃんと「ヴァリアント」って出てこなかったんでしょう?

ですがそこは先方さんも客商売、にこやかに案内してくださいます。そしてしばらくするとセールスさん登場。無駄話もソコソコに早速試乗させてくださいました。

試乗車はTSI Highline、テクノロジーパッケージ付き

試乗車はシルバーのTSI Highline。

1.4L直列4気筒ターボを積んだクルマです。実は試乗車を探している時、あえてGTEなどではなく、この1.4Lモデルに試乗したいと思っていました。

パサートに1.4Lターボが搭載された時は驚いたものです。当時は「ダウンサイジング」と言っても、例えばBMWでは320iで2Lターボを搭載し、低速トルクを太くして低回転域を常用することで燃費を良くする、と言った程度のものでした。

それがあの大きなボディに1.4L。今でこそ、メルセデスのCクラスで1.6L、3シリーズでは1.5Lの直噴ターボを搭載して、不満のない動力性能を獲得しています。

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実は私、パサートが出た当初は「満足に走らないだろう」とタカをくくっていました(汗)。ところが上記の試乗で、それがとんでもない心得違いだということに気付き、今回意を決して試乗した、というわけです。

さて、乗り込む前に外周を見て回りましたが、クリーンなプレスラインが清潔感を漂わせます。そしてタイヤチェック!

なんと、235/45R18!というビッグサイズ。ホイールのデザインもシャープで見た目はかっこいいですが、これはさすがにオーバーサイズではないでしょうか?Trendlineの215/60R16くらいでいいと思うのですが・・・。燃費な乗り心地の点では大きくマイナスでしょう。

銘柄はまたもコンチネンタルのSportsContact5。ドイツ車は本当にコンチが多いですね。まあ、ドイツの誇るタイヤメーカーですので当たり前ですが。

乗り込む前にラゲッジルームチェック!

これはもう、「広大」の一言です。

驚いたことに、ラゲッジルームの床の高さが2段階で調整できるんですよね。これはラゲッジルームの床を1段下に入れた状態です。入り口と段差がありますよね。もちろん、1段上に変えれば段差は無くなります。

さらっと言っていますが、こう言ったところはさすがVWですね。下の段にすることで、ラゲッジルームの高さが稼げます。あ、ですがその場合はもちろん床下収納が少なくなるんですけどね。床下収納は、スペアタイヤを収納できるサイズがあって、エアコンコンプレッサーとパンク修理剤を選べばそのスペースが床下収納に使えます、これはかなり大きいですよ。

容量はトノカバー下までで650Lという大容量。3シリーズツーリングの495Lも検討していますが、これは比べるべくもありませんね。もっとも、パサート・ヴァリアントはボディサイズも3シリーズよりもひと回り大きいですが。

内装は一見豪華・・・だけど、それなりに揃っている、という感じしかしませんでした。

運転席に乗り込む前にパチリ。

本革シート仕様です。そして、ステアリングのチルト・テレスコ以外は電動でポジションを調整できます。ここで一通りラフにポジションを調整した後、後席を見て見ました。

足元にかなり余裕があります。これは新型5シリーズよりもはるかに広いですね。さすがVW、FFの利点を最大限生かしています。

そしてようやく運転席に座ってポジションを微調整し、エンジンスタート!ボンネットが短いのにすごく違和感を感じますが、まずはメーターパネルに目を奪われました。

こ、これはアウディのバーチャル・コクピット?!と驚いていると、「テクノロジー・パッケージをオプションで付けるとこの『Active Info Display』が付きます。」と教えてくださいました。もちろん、普通の表示にもできるようですが、面白いのでこのまま出発です。

インパネの眺めはこんな感じ。トップのアナログ時計がいいですね。BMW3シリーズでは時計の位置がメーターパネル内なので瞬間的に確認できませんから。

しかしさすがにVW、内装の「見た目の」クオリティは高いです。ですが・・・何か足りないんですよね。デザインはクールでシャープ、ウッドパネルもあり、本革シートも装備。余分なスイッチがゴテゴテとついていてこれ見よがしなアピールをしている日本者とは一線を画しています。

言葉で並べていくと超充実装備の豪華な内装のクルマに思えるのですが、私にはどうしてもそう見えませんでした。本革シートの質感は3シリーズのそれと比べるべくもありませんし、ウッドパネルなんか貼っていない私の「スポーツ」の内装の方がよほど豪華で落ち着きがあります。

十分な低速トルクで普通に走ります。

ディーラーの駐車場を出て、幹線道路に入ります。今日は空いていて普通に流れていたのですが、そこで気付いたのが、こうした幹線道路の流れについていくのにはなんの痛痒も感じないということ。実は運転している時は意識していなかったのですが、VWですので当然DSGが搭載されています。ですので、トルコンによるトルクの増強作用はないのですが、まるでそれを意識させない力強さ。もちろん、320dに比べたら線が細い印象は否めませんが、普通のファミリーカーとしてこの動力性能を不満を感じる方はいないでしょう。

アウディの試乗の時はどうしてもステアリングを切り遅れてしまい、読者様から、その原因は駆動方式によるのではないかと指摘されましたので今回も警戒していましたが、そうしたFFの変な癖というのを全く感じないのもすごいです。こればっかりは素直にすごいと思います。

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乗り心地は、ちょっとゴツゴツ感があるもののスムーズ。静粛性も十分です。このゴツゴツは先に申し上げたオーバーサイズのタイヤに起因するものと思われますが、距離を重ねていけばもっと滑らかになるのがドイツ車の常ですから、特段気にしなくても良いでしょう。

そして、特筆すべきは停止時のスムーズさ。というとアイドリングストップのことかと思われると思いますが、それだけではありません。もちろん、アイドリングストップと復帰もかなりスムーズな部類に入りますが、DSGであるが故のスムーズさです。

トルコンATで停止する時って、どうしても最後まで微妙にトルクがかかっているので、最後にかっくんとなりがちですよね。ですがDSGはトルコんではなくロボタイズドMT。つまり、クラッチ操作が自動でされるMTと言った感じですので、この最後のかっくんがないんです。

惜しむべきはステアリングの感触。

幹線道路のカーブに差し掛かった時に気づいたのですが、ステアリングのアシスト量が速度によって結構変わります。

この時、私は流れに沿って50km/h強で走っていたのですが、ステアリングを操作しようとするとずっしりとした感覚。思わずそれを隣に乗っていたセールスの方に指摘すると、

「本当にクルマが好きなんですねー。そこまで気付かれる方はいらっしゃいませんよ(笑)」

と言われてしまいました。

私の3シリーズは標準の電動パワステですので、速度によってアシスト量が激変するわけではありません。個人的にはもう少し低速域で軽く、速度が上がるにつれて重くなった方がいいと思っているのですが、パサートではそれがきちんと実現されています。

ですが・・・ここでも気になった点が。ステアリングが重くなった時にゆるーく切っていくと、なんだか引っかかるようなフリクションを感じるんです。低速では軽々と回って特にフリクションは感じなかったのですが、アシストが少なくなってステアリング本来の素性が出てきたということでしょう。

この点ではメルセデスの電動パワステやBMWのサーボトロニックには遠く及びません。

全てにおいて「もう一つ」感が。

ACCやステアリングアシスト等の先進装備は標準装備、そして最近流行りの、後方を通過する交通を感知して知らせてくれる機能もオプションながら装備、とかなり先進的です。

ついでに、Apple CarPlayも装備されています。少しだけ自分のiPhoneをつなげて見せていただきましたが、これは使いこなせば便利そうです。SIriに対する反応も早いですしね。BMWではBluetoothでハンズフリー通話ができるように接続していればSiriは使えますが(ただし「Hey, Siri」はiPhoneに向かっていう必要があります)、マイクが接続されてコマンドを発生するまでしばらく待たなければいけないんですよね。その点ではこちらの方が数段優っています。

世間一般ではそうおもわえていないかもしれませんが、VWってかなり先進的なクルマです。安全装備の充実ぶりはもちろん、そしてその装備を標準装備化したのも早いですし、エクステリアライトをLED化したのも早い時期からでした。DSGはいうに及ばずですし、生産品質は今や世界一とも言われていますよね。

ですが、今回試乗して、私は全てにおいて「もう一つ足りない」感を感じました。VWが誇る先進の運転者支援機能は試していませんが、車の運転ってあくまで人がするものですので、それは二の次です。そう考えると、優れたスペースユーティリティとクールでシャープな外観を持ちながらも、乗ってみると意外と普通、そしてBMWに慣れ切った私には、内装の高級感ですとか、走りの質において全てにおいてもう少しなんですよね。

例えば乗り心地は「スムーズ」と書きましたが、「極めてスムーズ」ではありません。こうしたところがいちいち惜しいんですよね。ただ、その「もうちょっと」のところが費用対効果で見るとペイしないところなのかもしれません。限界効用が低くなっているところなんでしょうね。

まとめ

クルマにはそこまで興味はないのだけれど、ちょっとオシャレにドイツ車に乗りたい!という方にはかなりお勧めできます。購入して後悔することはないでしょう。

ただ、当ブログをお読みの、BMWオーナーもしくは元オーナーで、BMW以外のクルマ遍歴もお持ちで目の肥えた読者様に対して諸手を挙げて次期乗り換え候補としてお勧めするかといえば・・・答えはNOです。

いえ、どこに不満があるわけでもないんです。充実装備と親しみやすいお値段。これ以上のクルマがあろうかと思うほどですが、一言で言うと特徴がないんです。飛び抜けていいところがないんですね。実用上の合格ラインを全てにおいてそつなく超えていますが、いまひとつ響きません。なんと言うか、得意科目がない優等生みたいな感じです。

さて、この後ゴルフも試乗したのですが、長くなりましたので次回に譲ることにします。

では、今回はこの辺で失礼します。ありがとうございました。