BMWに乗って家族みんなでドライブ行こう!

BMWのどのクルマを運転しても怖くないのはなぜ?

BMWって、どのシリーズに乗っても運転して怖いと感じません。普通、自分の運転しているクルマの一クラス上の車とかに乗ったら怖いですよね?なぜかというと・・・

例えば、普段プリウスに乗っている方がクラウンを運転すると・・・

結構怖いですよね?この怖さの原因って、色々あると思います。遮音のレベルが違う、ハンドルが軽い、ボディが大きい・・・人によって違いますよね。

ですが、この原因の共通点を強いて1つ挙げるとすれば、「外界からの情報の遮断度合いが違うから」ということがあると思います。

車内の遮音が上がればスピード感も狂いますし、ハンドルが軽くなるに従って、路面がどのようになっているのかわからなくなり、かつ前輪が浮いているように感じてきます。

BMWは「ステアリングインフォメーション」が豊富!

それは私がE90の320iを購入して間もない頃、雨が降る中高速道路を運転していた時のことです。

フロントウィンドウはガラスコーティングをして視界はきちんと確保されていたので問題ないのですが、路面状況が悪くて所々水溜りができていたので、スピードを落とし気味にしていたつもりでした。

そんな中、追い越し車線を走っている時に、中央分離帯よりに大きな水溜りがあったんです。運転経験豊富な方はお分りいただけると思いますが、こういう時って、水溜りの抵抗でステアリングを取られますよね。

私もそれに備え、身構えて水溜りを通過しましたが・・・何も起こりません。ステアリングが取られるそぶりもなく、かといって水溜りを突っ切ったのはステアリングから伝わってくるという、今まで味わったことのない感触。

ステアリングが取られなかったのもすごいですが、何よりも「今水たまりに入っている!」「今出た!」とハッキリと伝わってきます。

これがクルマ雑誌の言う「ステアリングインフォメーション」か!と数秒考えて気づきました。

ステアリングインフォメーションって?

クルマのステアリングって、実はクルマの中では最も雄弁です。

人間の体の中でも比較的鋭敏な部類に入る、手で触れている部分ですし、ステアリングに伝わる振動や重さの変化で、路面状況がわかります。

例えば極端な話、雪を踏むと、直進を保っているにも関わらずすっと軽くなったのがわかります。なんと言いますか、ステアリングを切っていないのに左右方向からの抵抗が少なくなるのがわかるような感じです。

別の例を挙げると、首都高速で都心環状線方面からレインボーブリッジを渡る時に、車線に平行に鉄板が走っている箇所があるのですが、そこでも、右側タイヤだけが鉄板の上に乗っているのがわかります。

私が今まで乗った国産車で、ここまで路面状況を伝えてくるステアリングはありませんでした。それどころか、むしろアメ車の影響を受けたのか、雲をつかむようなステアリングフィールで、常に軽く、路面状況なんてわからないものが多いですよね。

E90の320iは、雨の中の高速道路でも、手のひらに伝わる前輪の接地感が磐石で、安心して速度を一定に保つことができました。

5シリーズでも、7シリーズでも、はたまたMシリーズでも

BMW各車を乗り比べてみると、どのクルマもステアリングインフォメーションが豊富です。従って情報も制限されませんし、今クルマがどういう状態で路面をグリップしているのかが、正に手に取るようにわかります。

このインフォメーションの豊富さがどのBMW車を運転しても怖く感じない最大の理由だと思います。

現代のBMWのラインアップにおいては、全て燃費の観点から、E90のような油圧アシスト付きのパワーステアリングではなく、電動パワーステアリングになっていますよね。

電動パワーステアリング自体はそれほど目新しいものではなく、結構昔、そうですね、10年くらい前にはボツボツ市販車にも搭載されていた技術です。

ところがその全てがクルマ雑誌で酷評されていました。要するに、それこそ雲を摑むような感触だったり、ステアリングを切っている途中でアシスト量が変わってしまうなど、不自然な感触だったという理由です。

3シリーズではF30系から初めて搭載された電動パワーステアリングは、私の中の耳学問による先入観を全て吹き飛ばしました。というか、試乗後に改めて「これ、電動パワステ・・・ですよね?」と確認してしまったほどです。

そして驚きなのは、ことステアリングインフォメーションに関していうと、どのBMW車に乗ってもほぼ同じ感触なこと。

Mシリーズがインフォメーション豊富なのはスポーツモデルですのですから当然として、320dでも523dでも740iでも、はたまたXシリーズに乗っても、淡々と同様のインフォメーションを伝えてきます。

ですので、遮音レベルが高くなろうがステアリングが軽くなろうが、どのクラスのクルマでも同じ情報を伝えてくれるので、試乗の時などに不安を感じることが一切ないんですね。

日本では誤解されがち。

ですがBMWの美点であるステアリングインフォメーションの豊富さは、日本では仇となる場合もあります。

日本では、むしろ外界との遮断レベルが上がれば上がるほど「高級」と捉えられる向きがあり、そうした価値観からいうと、BMWは安っぽいと誤解されがちです。

一番顕著なのは大型ミニバンですね。重い車体ですから強いパワーアシストでステアリングを軽くし、ついでに路面からの情報も遮断しています。一度私も運転してみて、納得しました。

「ああ、だから真ん中の肘掛けにだらっと肘と状態を持たれかけさせて、シートバックを思いっきり後ろに倒して、片手の掌だけで運転するんだ。ステアリングインフォメーションなんて関係ないんだな。」と。

ドイツ車は日本車に比べるとステアリングは重めで、きちっと座っていないとステアリングの正確な操作はできません。

ですので、輸入車乗りで上記のような姿勢で運転している方って、あまりいないですよね。おそらくみなさん、豊富なステアリングインフォメーションを手のひらに感じながら運転しているかと思われます。ただ、私の好みからいうと、アウディはちょっとステアリングが軽過ぎますが・・・それでもインフォメーション自体は十分伝わって来ます。

ステアリングに路面のザラザラが伝わってきたりすることが安っぽいとは、私は全く感じません。

ステアリングコラムなど、支持系の剛性感が非常に高く、段差を強行突破してもステアリング部分だけがよじれて他の内装とは別に動くということもありませんので、この辺りはコストをかけてがっちり作っていて、路面情報以外の余計な情報を加えないように考えられているなあと、むしろいつも大いに感心しています。

伝える情報量の絶妙さ加減

フロントウィンドウの記事でも申し上げましたが、運転している時にあまりに伝わってくる情報が多いと頭の処理が追いつかなくなって疲労も早くなりますよね。

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i8に試乗した時に感じたのですが、i8はBMWとしてはスポーツカーとして作っているので、ステアリングからのインフォメーションも、タイヤを通じて感じる路面のインフォメーションも、通常のBMWのラインのクルマに比べて格段に多いです。

もちろん、スポーツカーとしてはそうあるべきですので悪いという話ではないのですが・・・やはり長時間となると疲れます。

そうですね、例えば人と長時間話すのって結構疲れますよね?いくら共通の話題で盛り上がれるとしても、あまりにたくさんのことを伝えられるとだんだん頭の処理能力の限界を超えて、ぼーっとしてきてしまいます。

ですが、ある程度寡黙ながら必要なことは必要な時にちゃんと教えてくれる人と話していると・・・そんなに盛り上がらないかもしれませんが、長い時間一緒にいても疲れません。

で、あまりに話さない人ですと・・・色々と別のことに気を使ってしまってこれまた疲れますよね。

ステアリングインフォメーションもそれと同じです。って例えがざっくりし過ぎですね(笑)。

つまり、スポーツカーのインフォメーションに溢れるステアリングというのは、刹那的な楽しみを提供してくれて大いに盛り上がるのですが、長時間となると疲れます。

一方で、伝える情報があまりにも少ない、寡黙なステアリングだと視覚と聴覚に頼って、より沢山の情報を得なければいけないので、これまた疲れます。

BMWのステアリングインフォメーションの設定はこの塩梅がうまいと思うんですよね。不安にはならず、かといって情報が多過ぎて疲労を助長するものでもない、いいラインを保っていると思っています。

好みは人それぞれですので、もう少し情報を遮断して欲しい方もいれば、もっと情報が欲しい方もいらっしゃると思います。ですが、長距離走行を考えると、私にはちょうどいいです。まあ、慣れもありますけど、ね。

まとめ

BMWはドイツのクルマですので、基本的にはドイツの交通環境を念頭に開発されています。

それが高速での安定性であり、フラットな乗り心地であり、そして長距離連続高速走行に耐えうるボディ・サスペンションであり・・・というハード面だけではなく、ドライバーというソフト面も考慮しているんだと思います。

BMWはよく、ドライバーが主役のクルマである、と言われます。これって、運転の楽しさだけでなく、その楽しさを長く味わえるように、疲労感を与えない運転環境を提供するという考え方の下で、相当煮詰められた上での視界であり、ステアリングインフォメーションなのでしょう。

そう考えると、きっとM Sportのステアリングの握りの部分が太くかつ柔らかいのは、スポーツサスからもたらされる、他グレードと比べるとダイレクト過ぎるインフォメーションを少々カットする目的であえてそうしているんでしょうね。

では、今回はこの辺で失礼します。ありがとうございました。

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