BMWに乗って家族みんなでドライブ行こう!

ランフラットタイヤのススメ

BMWはランフラットタイヤという、パンクしても一定程度走れるタイヤが全車標準装備です。「乗り心地が悪い」と敬遠されがちですが・・・

ランフラットタイヤって?

ランフラットタイヤでよくある誤解が「パンクしないタイヤ」という誤解です。
いえいえ、タイヤだからパンクはしますよ、やっぱり。でも、普通だったらパンクすると走れませんよね?ランフラットタイヤは「パンクしても一定の制限速度化で、ある程度の距離を走れる」タイヤです。
BMWでは空気圧0の状態で、時速80km/hで、80km走れるタイヤとしております。

でもパンクしてどうやって走るの?ぺちゃんこにならないの?とお思いのあなた。普通そうですよね。答えは、「ランフラットタイヤはぺちゃんこにならないので走れます。」

このためにランフラットタイヤはちょっと普通のタイヤよりもサイドウォールの部分(タイヤの横の部分ですね)が厚く作ってあります。パンクして空気圧が0になっても、このサイドウォールが支えることでぺちゃんこにならず、走ることができるのです。

ランフラットタイヤのメリット・デメリット

ランフラットタイヤは上述の通り、パンクしても走れるというのがメリットです。これは案外いろんな場面で威力を発揮します。

例えば高速道路でパンクした場合。通常ならば走り続けられないので路肩に寄せて止まり、スペアタイヤに交換するか、パンク修理キットで修理しなければいけませんよね。
でもこれって非常に危険です。高速道路でパンクして、対処中に突っ込まれるリスクがあります。実際、そうした報道も散見されるのはご存知でしょう。

また、私がドイツで遭遇したような、高速道路で一気にバーストしスピンに陥るという事態も防げます。空気圧0で走り続けた場合にタイヤのトレッド(接地面のことです)が剥がれ落ちることはありますが、構造上バーストはしません。

ただし、その構造が仇になり、重いです。大体、非ランフラットタイヤがホイールを含めて8-10kgくらいのところ、約2割増しです。

ちょっとクルマに詳しい方はご存知でしょうが、「バネ下重量の軽減」というキーワードを聞いたことがありますよね?つまり、タイヤとホイールが軽量になれば、燃費や乗り心地の面で多大な恩恵を受けられるのですが、ランフラットタイヤ装着で重くなることから、こうした面ではむしろ悪化の要因となります。

また、タイヤ自体が高価です。これは非ランフラットタイヤに比べて2割増しどころではありません。モノによっては同銘柄で3-4割増しです(驚)。
ランフラットタイヤはパンクしたら基本は交換ですが、どこでも売っているわけではないので、何かあったときに即交換ができない上にいいお値段します。

そしてこれが一番のデメリットですが、乗り心地の面で不利です。最近のランフラットタイヤは技術革新が進み乗り心地が改善されてきており、BSのPOTENZA S001などは非ランフラットと同等の乗り心地を確保してますが、やはりバネ下重量の増加がいかんともしがたいですね。

こうしたデメリットを敬遠し、BMW乗りで非ランフラットタイヤに変更される方が多くいらっしゃいますが、それでも私はランフラットタイヤをお勧めします。

なぜでしょうか?それは私の経験に基づいてます。

旅行先でタイヤがパンク!

1.パンクまで

私は2014年の夏に320iで四国を旅行しました。目的は四万十川。「日本最後の清流」と言われるその光景を見に行ったのです。

旅行自体は始終台風に悩まされ、しかも高知県では高知市内全域に避難勧告が出されている日に高知市入りすることになってしまったのですが、四万十川を周遊した日はいい天気になりました。

上流の方から四万十川を下っていこうとしたのですが、まさか四万十川があんなにうねっていると思わなかったので道に迷い、なんとか川沿いにたどり着いて下流方向に向かって走り出しましたが・・・

これホントに国道?!道狭くない?路肩崩れてるし。ガードレールないし。見通し悪すぎ!

・・・そう、私は「酷道」に迷い込んでいたのです。そしてそこはかの有名な「ヨサク」国道439号線

後に気づいたのですが、私が四万十川だと思っていたのは檮原川だったんですね。そんなことに気づいても後の祭り。もう、離合すら困難な酷道をひたすら走るしかありません。

かなり長い時間ヨサクに苦しまされながら、下流域にきてようやく道も広がり快調に走り出しました。
佐田の沈下橋近辺だったでしょうか、右カーブを走った時にクルマの挙動に不自然さを感じました。なんか、クルマのお尻が必要以上に外に張り出すような。微細な差でしたが、違和感があります。

「ん?パンクしたか?」

その割に警告灯が付きません。
ちなみに、ランフラットタイヤ装着車は、パンクしても走れることからパンクに気づきにくいということで、空気圧センサーなどパンクを感知できるシステムの装着が義務付けられています。で、BMWの警告装置は、左右の車輪の回転差や触れ具合などからパンクを感知して警告をするというもの。

「ずっとぐねぐね道だったから感覚がおかしくなっちゃったのかな?」

とさして気にせず走っていましたが、その数分後、警告音が鳴り響きました。

「ポーン。」

やっぱりパンクじゃん!

2.東京に帰れる・・・のか?

とはいえ、ここはまだまだ人家もまばらなところ。周囲に何もありません。しかも数日前の台風の影響で遊覧船も休みで、とにかくたまにあるお店もすべて閉まってます。

まあ、ランフラットタイヤだからとりあえず走れるから、と暢気に構えて、旧中村市(現在は四万十市)の市街地にあるGSで空気圧を測ってもらいました。

異常あり。左リアです。空気圧が1.5barしかありません。標準空気圧は2.2bar。しかも高速走行をするので2.3barにしていたはず。

ここからランフラットタイヤのデメリット炸裂です。
私:「あのー、修理とか無理ですよね?」
GS:「ランフラットタイヤはできませんねー。」
私:「(道路を挟んで向かいのタイヤショップを指さし)あそこにありますかね?」
GS:「いやーないですよ。以前もBMWのお客さんが帰省で来てた時にパンクして、オーダーしたら届くまで2週間くらいかかったらしいですよ。」

参りました。かといって、1輪だけ非ランフラットにするのもバランスが崩れて危険そうです。とはいえスローパンクチャー、つまり一気に空気が抜けるようなパンクではなく、徐々に空気が抜けるものと考えられたので、まずはず空気圧を2.5barくらいまで入れて、宿に戻ることにしました。

宿の近くで計測した空気圧は2.2bar。まあなんとかなりましたけど、これでは東京に帰れませんorz。で、宿から怒涛の電話です。

まずはBMWディーラー。・・・休みです。あたり前です。お盆ですから。OTZ

そこでひらめきました。私の320iが履いているのは最初からついてたBS POTENZA S001。ブリジストンのことはブリジストンに聞け!そうです。高知市内にありました、「タイヤ館」!

3.さすがです!タイヤ館さん!

タイヤ館は営業しておりました。
電話に出られた方にかくかくしかじかと状況をお話しすると、

タ:「残念ながら現在は当店にもランフラットタイヤの在庫はございません。ですがお話しをうかがっているとタイヤへのダメージはさほど大きくなさそうですね。当店でしたら修理できるかもしれません。でも、できない場合は非ランフラットタイヤをご装着なさることになりますが・・・」
私:「ホントですか?!修理できそうですか?!(半泣)」
タ:「見てみないと何とも言えませんが、当店はランフラットタイヤの修理技術はありますよ。ブリジストンのお店ですから(笑)。ただ、タイヤへのダメージが少ない場合に限ります。ところで、今どちらにいらっしゃるんですか?」

そう、それが問題なんです。私達家族の宿は、土佐久礼という高知市から50kmほどの場所です。そして空気圧0の状態ではないですが、すでに旧中村市の市街地から宿まで70kmほど走ってしまっているんですね。

タ:「なんとも言えませんけど、くれぐれもお気をつけてきてくださいとしか言いようがありません。近くにGSがあるのであればとにかく空気圧を高めに入れて、高速道路は80km/h以上は絶対に出さないでください。」

今日は70km走っちゃったけど、スピードは80km/hなんて出してないし、ずっと空気圧が0だったわけじゃない。明日も同じ手で、なるべく空気圧0の状態にならないようにしながら行くしかありません。

翌朝。駐車場に行くと・・・一見して左リアタイヤ、もう空気がないのがわかります。とにかくそろそろと動き、GSで空気圧を3.0barまで入れて!と頼んだら怪訝な顔をされました。そしていざ入れようとした時に空気圧が0だったのでさらに驚愕されました(笑)。
さて、そこから高知市内のタイヤ館目指して出発です。

高速道路の制限速度が基本的に70km/hだったのが幸いしました。ようやく高知ICに着いたと思った瞬間、

「ポーン」

警告です。抜けるスピードが早まってる!でも目指すタイヤ館はすぐです。なんとか無事にたどり着きました。

昨日の電話の方はいませんでした。ですが完璧に引き継いでくださったようで、お出迎えの方に名乗っただけで「話は聞いてますよ」といわれ、すぐに見ていただけました。

しばらく店内で(ああ、タイヤ買わなきゃいけないとしたらこれかな・・・でも帰ったらどっちにしろタイヤの交換時期だからランフラットタイヤにまた変えるとすると、できるだけ安いのが・・・でも在庫あるのか・・・)などと考えてみていると、ニコニコしながら先ほど出迎えてくださった方がやってきました。

「大丈夫でしたよ。やはり修理可能です。空気圧0の状態をなるべく作らなかったのが幸いでしたね。すでに修理に取り掛かっていてもうすぐ終わります。」

さすがです!タイヤ館さん!

後ほど話をうかがってみると、1cmほどのとがった石が刺さっていてスローパンクチャーを起こしていたと。修理の結果、問題なく走れますよ、ということでしたが・・・

とがった石?・・・ヨサクか!あそこで踏んだのか!

ヨサクには岩肌むき出しの壁が迫っている箇所が多々あり、その表面が剥がれ落ちて道路に散乱している箇所がいくつもあったんですね。

ともあれ、こうして東京まで無事に帰ってくることができました。

この時のことを振り返れば振り返るほど、この時ランフラットタイヤでよかったと思います。もし非ランフラットタイヤだったとすると、旧中村の市街地までたどり着けばパンク修理でなんとかなったかもしれません。ですがたどり着ける保証はなく、そうなると最初の警告の時点でロードサービスに頼らざるを得なかったでしょう。そうすると楽しいはずの旅行の思い出が最悪なものになってしまいます。

また、パンク修理材を積んでいた場合でも、見通しの悪い道でいったん下車して対処するわけですから危険にさらされますし、相応に時間もかかります。これまた、楽しい旅行の思い出を最悪なものにしてしまします。
なにせこの時の私たち、午後3時だったにもかかわらず、昼ごはん食べてなかったんですよ(汗)。

それはいいとして、どっちにしろ交換時期に来ていたので東京に戻ってすぐ、4輪とも交換しました。
もちろんランフラットタイヤで、購入も交換もお願いしたはタイヤ館だったのはいうまでもありません。

ランフラットタイヤは「安全装備」の一つ

いかがでしたでしょうか?疲労するには若干お恥ずかしいお話なのですが、ランフラットタイヤのメリットってこういう「いざ」という時でないと身に染みてわからないので、あえて掲載させていただきました。

私のように出先で身動き取れなくなることが防げたというのはまだ軽い話で、これが高速道路でパンクして制御不能になるのを防ぎ、かつその場でクルマを降りる必要がないことを考えると、ランフラットタイヤは広義の安全装備ともいえると思います。

もちろん、非ランフラットタイヤとパンク修理材・コンプレッサー搭載という代替手段に変えることを否定するわけでもありませんが、あなたがBMWのタイヤを変えようとしているときに、ちょっとでもこの話を思い出して判断の材料にしていただくだけでも幸いです。

長々とした文ですが、ここまで読んでいただきありがとうございました。
ではまた次回の記事でお会いしましょう。

※2016/10/01追記:スタッドレスタイヤこそランフラットタイヤがオススメです。以下の記事を是非ご一読ください。

BMWの雪道対策。スタッドレスならランフラット+インチダウンが吉!

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