M3の高速試乗で底知れぬ奥深さに酔いしれて試乗のスタート地点、所沢ボディショップに戻ってまいりました。今度はM6試乗です。
コンペティション・パッケージ!
さて、今回用意されていたM6ですが、これまたど派手です。
M6コンペティション・パッケージ、サン・マリノ・ブルー、シルバーストーンのインテリア。お値段2000万円超。
色の組み合わせ的に夏には涼しい感じがしていいですよね。とか呑気なことを言っている場合じゃありません。
屋根はカーボン、足元はゴールドのキャリパーが輝く、カーボン・セラミック・ブレーキ!
これは血が滾ります。というか、こんなの私が運転しちゃっていいいんでしょうか?自分で申し込んでおいて今更言うのもアレですが。
実は私、試乗を含めても6気筒より気筒数の多いクルマを運転したことがありません。初めてのV8♪なんて思っている場合でもありません。相手は最高出力600psのモンスターマシンですよ。
とか言いつつ、嬉しくて嬉しくて、顔はニヤニヤが止まりません(笑)。お値段にビビる家内と息子は後席に乗ってもらい、助手席にはUさんに変わって別の営業の方が乗り込みます。
早速、エンジンオン。
フォン!っと一声吼えてエンジンがかかります。もう、何の振動もないのはお約束ですが、エグゾーストノートもM3に比べて抑え気味です。しかもV8なのでストレート6のM3より若干音質も低め。
メーターパネルはこんな感じです。
M3よりも情報が多く、しかも大きな文字で表示されていて見やすいです。
さすがは6シリーズ、ステアリングのチルト・テレスコピックはもちろんの事、サイ・サポート(3シリーズでもスポーツシートにはありますね。シートの座面の前が伸びるアレです。)まで電動で調整可能でして、思い通りのドライビングポジションが取れます。
スポーツクーペなのに視界も良好。かつては運転環境の良さはメルセデスの十八番でしたが、CLSにショールームで乗り込んだ時の圧迫感と違い、6シリーズは広々としています。後席の息子と家内からも特に文句は出ません。
今度もMボタンにはM3同様のセッティングがしてありましたので、まずはM1ボタンでエンジンレスポンス/ ダンパーセッティング/ ステアリングの重さはSport/ Comfort/ Comfortを選んで早速出発です。
どうやら今日は私の試乗が初めてという不人気具合(?)だったらしいので、各所のウォーミングアップを兼ねてゆっくりと、慎重に走ります。
一般道での乗り心地は極上。
「スポーツモデルにしては」「600psを誇るマシンとは思えないほど」の枕詞は必要ありません。一般道では掛け値なしに極上の乗り心地です。
タイヤノイズはM3からは劇的に静かになり、街中の低回転域では遠くから微かにV8の息吹が聞こえてくるのみ。乗り心地は徹頭徹尾フラットで、M3同様にダンパーの減衰力が制限されていて固められているのはわかるのですが、路面の粗さや凸凹を全く感じさせません。この時点でもう驚愕するしかありません。
高速でも無敵。
先ほどと同じように所沢ICから新潟方面に向かい、川越ICを目指します。今度は余裕があるので自分でM2ボタンを押してSport Plus/ Sport/Sportに設定を変更しました。
本線への合流に向かう途中の、IC特有のカーブでも全くロールしません。相当な重量級であるにも関わらず軽々と旋回する様子は新鮮な感覚でしたが、タイヤにはすごい負担がかかっていそうです。ちなみにタイヤサイズはフロント265/35R20、リアは295/30R20。改めて、この極太タイヤであの乗り心地とは、もう、感心を通り越して呆れてしまいます。一体どうやればこんな風になるんでしょう?
まあ、それはいいとして、本線への合流の加速路でまたもフルスロットルを試みますが・・・もう一瞬しか踏めません(笑)。その一瞬で100kn/h到達ですから。
そして高速では・・・ビターっと直進します。誰ですか?BMWは直進安定性が悪いって言ったのは?そんな巷で言われていることはすべて吹き飛ばす直進安定性です。
ご存知の方も多いと思いますが、首都圏近郊の高速道路の路面って、結構荒れています。交通量が多いのでしょうがないのですが、轍が比較的残っていたりしますし、集中工事後の東名くらいしかキレイな路面はない、と言っていいくらいです。
先ほどのM3もそうですが、その比較的荒れた路面を、何事もなくスーッと直進していくさまは不思議な感覚です。先ほどあれほどカーブでロールしなかったのが嘘のように思えるほど乗り心地は不快な揺れや突き上げが一切なく良好そのもの。M3とはさらに次元が違う領域です。
ここでも上り線でパーシャルスロットルからの中間加速を試してみましたが、M3の試乗でだいぶ慣れていたにも関わらず、相変わらず頭が追いつきません(笑)。あっという間に法定速度に達してしまいますが、クルマは何事もなかったかのように安定した姿勢を崩しません。
そんな時にはエンジン音とエグゾーストノートは高まり、正にスポーツカー!という音を響かせますが、最近ありがちなバリバリいう音ではなく、連続音を基調としたウットリするようないい音です。
そんな加速を楽しむと、あまりの加速感に恐怖感から思わずブレーキを踏んでしまうのですが、このカーボンセラミックブレーキ、微力で踏むブレーキから強めに踏むブレーキまで、コントロール性は抜群。冷間時は効きが悪いこともあるそうですが、私は特に感じませんでした。さすがライン装着で130万円、レトロフィットで300万円もするオプションです(笑)。
どこまででも走っていきたい!
この乗り心地の良さと安定性、適度に抑えられたノイズ、豪華な室内と、M6はどちらかというとあくまでもラグジュアリーさを損なわない、GTカー的な感じがしました。もしこんなクルマを所有していたら、私はあっという間に日本を一周してしまいそうです。それくらい、ドライビングの楽しさと快適さと、そして凄まじいまでの高性能を同居させたクルマでした。
あえて難点をいうなら、相反する要素が同居しているので現実感がなさすぎることです(笑)。
ちなみにこんなに燃費の悪い運転をしたにも関わらず、オンボードコンピュータは6.6km/Lを表示していまいた。まあ、大食いですが性能を考えると許容できるのではないでしょうか?
試乗を終えて。
所沢のボディショップに戻ってきたところで、ディーラーの方と試乗の感想を話し合っていました。まずはボンネットを開けていただいてエンジンルームを拝見。
先ほど私をうっとりさせてくれた4.4LV8エンジンとご対面です。特徴的なのは、通常バンクの外側に配置されるタービンがバンクの内側に設置されていること。バンクの内側から黒い配管が左右に分かれて伸びているのがわかりますよね。
さらに、ちょうど別の方が試乗されて戻ってきたM5(こちらはコンペティション・パッケージなし)と並べて、エンジン音というか、エグゾーストノートの違いを聞かせてくださいました。
空ぶかししてみると・・・コンペティション・パッケージ付きのM6の方が若干甲高いエグゾースノートです。こんなところにも違いがあるんですね。
そしてさらに、このコンペティション・パッケージ付きのM6、あのGT3選手権に参戦しているSTUDIEのM6GT3、私たちがお台場で見たあのレース車両そのものは、これをベースにエアロパーツをつけたりしているそうなんです。そしてこれを聞いた息子のテンションは今更ながら上がりまくり。
「すごい!これ、あのレーシングカーなの?キャーって煙出してた?」
・・・さっきまで乗ってたんだよ?テンション上がるの遅くないか?
M6、先ほど私はGTカー的性格と申し上げましたが、むしろ公道を走るレーシングカーだったんですね。
まとめると・・・
Mシリーズのとんでもない高性能っぷりにひたすら驚かされた試乗でした。その中でも仔細に観察すると、M3とM6の共通点も相違点も浮かび上がってきました。
ハンドリングに関してはどちらも切った瞬間からノーズの入りが良く、ロールも最小限に抑えられているのでゴーカート的フィーリングが味わえます。でも直進安定性は優秀、というのも共通しています。
ですが、加速感はM3が荒々しく感じるのに対し、M6は、速さ的には同等かむしろM3よりも速いのかもしれませんが、ある意味上品にも思える感触。
エンジン音とエグゾースト・ノートという点ではM6が野太い感じなのに対し、M3はやはりストレート6らしく抜けの良い音で、私の好みに合います。
記念品
さて、興奮冷めやらぬ中でしたが、予約分の試乗は終えましたので帰るとしますが、ここでこんな記念品をいただきました。
・・・自宅の幼児用のマットの上で広げて撮影したので後ろがカラフルなのはご勘弁ください(汗)。
これ、何かと言いますと100周年記念ロゴ入りのサンシェードです。これからの季節、クルマに乗り込んだ時に殺人的に暑いのでちょうど購入しようかと思っていたんですよ。タイムリーに頂けて大変助かりました。
でもこれ、黒なので熱を吸収してしまいそうな・・・クルマの中は保護してくれても、このサンシェード自体がチンチンに熱くなったりはしないんでしょうか?まあ、ツルツルした素材ですので光を反射しそうですから大丈夫かと思いますけど。
この試乗会のMシリーズ、中古として販売するそうです!
そして聞いてしまったのがこの試乗会のMシリーズ、全て中古車として売り出すそうです!
M3にはharman kardonのオーディオも付いていますし、色はちょっと派手ですがいい出物だと思います。経済的な余裕があったら私が買いたいくらいです。
帰りに自分の320dツーリングに乗り込んで。
もう、笑っちゃうくらい静かですし、サスペンションも柔らかくて乗り心地が優しい!ディーゼルにもかかわらず、ですよ?真面目に耳が遠くなったかと思いました(笑)。一般道では乗り心地も差が歴然です。
ですが高速に乗ってみると・・・もうさっきのM3とM6の感触が恋しくなっちゃいました(笑)。
今回の試乗は非常に贅沢で、貴重な体験でした。超高性能車を1日に2台も高速道路で試乗するなんて、これからも中々機会がないでしょう。
この余韻に浸りながらお腹を空かせた子供を抱えた我が家が向かったのは・・・ちょっと長くなりましたので次の記事に譲ります(笑)。偶然にもクルマつながりになったのですが、BMWではないので。
では、今回はこの辺で失礼します。長々とお付合いいただきありがとうございました。