前回の記事で、高速道路の制限速度の引き上げに伴って、私たちドライバーがより強く意識すべきことのヒントはアウトバーンにあるところまでお話ししましたので、今日はその続きです。
制限速度の表記は この先に潜む危険を教えてくれている
もう、表題そのままですね。
ドイツの例でお分かりかと思いますが、アウトバーンでもJCTやICといった、低速で流入してくるクルマが多い個所では80km/hまで落とさせるわけです。
つまり、今まで速度無制限区間を走っていて、速度制限の標識が出てきたら「お、JCTかICがあって右から(右側通行ですから)合流してくるな。」と予測できるんですね。しかも「速度を落とさせるくらいだからたくさんのクルマが合流してくるんじゃないか」とちょっと悪いケースのことも頭において運転できます。
こういうメリハリをつけた速度制限は我々ドライバーにすごく重要な情報を与えて事前に準備させてくれますよね。ですので、今回の120km/h引き上げもこういう効果を狙っている一面もあるのではないかと思います。
ですが気になるのは今回速度制限引き上げの対象区間にJCTやIC、さらにSAやPAがいくつかあるんですよね。そういった箇所はもちろん120km/hではなくて120km/h→100km/h→80km/hと段階的に速度制限をかけてスピードを落とさせる・・・ようにするんですよね?たぶん。
速度差がある状態では安全距離を長めに見積もる
これはドイツの事例でトラックが追い越し車線に出てくるようなケースの話を思い出してください。ドイツの場合は速度差が100km/hとなるので、100m程度の車間距離なんて役に立ちません。
さすがに120km/hでそこまでのことはないでしょうが、それでもやはり最高で40km/hというかつて経験したことのない速度差になりますので、目安がわかりませんよね。
大体、私は目でぱっと見ても何mかなんてわかりません。目で見ただけで「大体何mくらい」って言える方いますけど素直に尊敬します。ですので、道がわからなくて誰かに聞いた時に「この先300mくらい行って左に曲がると・・・」などと案内されるともうわかりません。そんな私が目安にしているのは、「時間」です。
最近はこの方法は一般的になってきたようですが、「前車がある1点を通り過ぎてからゆっくり2秒か3秒数えた時に自分がそこを通り過ぎるくらいの車間距離を保つ」というものです。
私は追い越し車線に出る時に後方から迫るクルマに対しても使います。
その場合は、もちろんジッとバックミラーを見るんじゃなくて、かなりゆっくり3まで数えたときにミラーを見て、まだその地点を後方から迫ってくる車両が通過していないことを確認したら、強めに加速しながら追い越し車線に出ています。
「かなりゆっくり」「3」「強めに加速」もうお気づきですよね。そうです。後ろから自分より速い速度で迫ってくるので、そうしないと出たときに後ろでまたフルブレーキング大会が始まっちゃうからです。
これは「時間」で距離を判断するので、速度が高くなるほど距離も長くなります。この距離の測り方は使えますよ。
追い越し車線を走り続けない
反論はあるでしょうが、先に言ってしまうと、「都市部のナンバーを付けたクルマであるほど追い越し車線を走り続ける傾向があるので、意識して必ず走行車線に戻るようにしましょう」ということです。自戒の意味も込めて。
ホント、多いです。ひどいときは走行車線に追い越すべきクルマもいなくて一人旅状態なのに追い越し車線を延々と走り続ける方もよく見ます。これ、ドイツでやったらあっという間にバックミラーに後続車が大写しになる距離まで迫られて、退くまですごいパッシングされますよ。あの人たち、まったく容赦してくれません(笑)。
「左から抜けばいいじゃん、空いてるんだから」と思うかもしれませんが、私は怖くてできません。中央車線に近い側から追い越すのが(国際的にも)ルールなので、その逆から追い越されることは追い越される側が予想していないわけです。ということは左後方確認がおろそかになり、様々な危険が生じるんですよね。
教習所で左側からの「追い抜き」はよいと教わりましたが、私はこれも滅多にやりません。要するに右側に車を抜いてもそのまま左車線を走り続ければ「追い抜き」となって違反じゃないといわれたのですが、違反じゃない云々以前に、抜かれる方は予測してますか?後ろもみないでいきなり左に入ってくる可能性が高くないですか?と思ったので。
最近はだいぶ良くなったとは思いますが、東京近郊で東名や第3京浜、横浜新道といった自動車専用道路を走っていると、左側から抜いていくクルマ、結構います。いや、手際よく抜いていくので運転は慣れている方だと思うんですが、みんながあなたのように周囲の状況をきちんと把握できているドライバーではないんです。
賛否両論あると思いますが、私は追い越し車線で詰まった場合はしばらく後ろについて様子を見て、走行車線に戻っていただけないようだったらパッシングをします。というのは、パッシングライトは「私はあなたを追い抜きたい」という合図だからです。
よくパッシングをされると腹が立つという方がいらっしゃいますが、「パッシング」ですよ?「バッシング」ではないですからね。誰もあなたをバカにしたり非難したりしていません。
私は「右に曲がります」と右ウィンカーを出すのと同様以上の意味では使用してないつもりです。ただ、嫌がらせでパッシングライトを使用する人が現実として存在していることは認識しているので、車間距離は2-3秒あけたまま1回光らせ、それで気づいてもらえなかったら2回光らせとやって、「おい退け!」って言っている印象を与えないように注意はしています。
終わりに
この記事を読んで「ありきたりだな」と思われる方が多いでしょう。ですが私はドイツでの経験(目の前で前の車がバースト・スピン!その時160km/hで後ろは連なっていて迫られている状態、という出来事にも遭遇しました)から結局は基本動作・危険予測が大事だと思っており、特に危険予測は自分がするだけでなく、相手が注意してなさそうなことの予測も必要だと思ってます。
ただやっぱり、いつもそんなことばっかり考えて運転していてもつまらないですよね。ですから完璧にやる必要はないですし、私だってできないと思います。でも最悪の結果にだけはなりたくないですから、できる範囲でできるだけやるようにしたいですよね。
このように高速道路の制限速度引き上げは、ドライバーにとって利益だけではなく、より大きな責任を課すものだと私は思ってます。
実現する日を、気を引き締めつつ楽しみにしたいものですね。