BMWに乗って家族みんなでドライブ行こう!

ディーゼル乗りの方はご注意!寒冷地では軽油が凍ります。

「軽油が凍る」・・・この事実、普段雪が降らないようなところに暮らしていると意外と知らない事実だったりします。しかも、最近になってディーゼルの乗用車が普及してきたので、トラブルを未然に防ぐためにも詳しくお話ししますね。

学生の時の体験

スキーに行こう!

遠い昔、私がまだ学生だった頃の話です。

ヒマな学生というのは、長期の休みには遊ぶことしか考えていません(笑)。そしてそのためにバイトに精を出す、と(笑)。

それはいいとして、私も例に漏れず、仲のいいグループでスキーに行くこととなりました。普段からよく飲みに行ったりカラオケに行っているメンバーで気心知れた仲間でしたが、その中には私と同じく「クルマおたく」と呼ばれていたメンツもいました。

当然のことながら「クルマおたく」の我々はクルマ(もちろん家のクルマ)を出す係なのですが、私の仲間は当時としても珍しい、いすゞジェミニのディーゼルを出してきました。彼の家は他にもスバル1000を持っていまして、趣味としてはかなりマニアックな方向だったので私は驚きませんでしたが、他のメンバーはびっくりしていましたね。

そしてお金のない学生のことですから、できるだけ夜中に一般道を走って行こう、でも途中のGSがしまっているだろうから都内で満タンにして行こうということで、まずは満タンに給油したのでした。

これが間違いの元でしたが、その時はそんなことは知る由もありません。

そして意気揚々と出発し、かなりの時間をかけて蓼科に到着、散々スキーを楽しんだのでした。

・・・エンジンがかからない?!どうして?

夜はおきまりの飲み会、ということで、食事前に買い出しに行くことになり、4人ほどの少人数で1台の車で行くことにしました。

もちろん、クルマはもっとも低燃費のいすゞジェミニです。私も彼と一緒に乗り込み、エンジンがかかるのを待ちました。

ですが。

ウンともスンとも言いません。何回試しても同じ。その時は何が起こったかわからないので、これは大変と買い出しどころではなくなってしまいました。買い出しは他の人間にバトンタッチし、JAFの救援を仰いで、我々クルマおたくどもは残ります。

1時間ほど寒空の下待って、ようやくJAFが到着しました。おりてくるお兄さんのなんと頼もしかったこと!我々はJAFの方に症状を伝えました。すると事も無げにお兄さんが一言。

「あー、もしかして東京で軽油入れてきました?それ、軽油が凍ってますよ。」

その時の我々のリアクションですが、みんなで一斉に「え?軽油?凍るんですか?」とポカーンとしていました。

JAFのお兄さんは乗ってきた救援車の排気をエンジンルームにホースで引き込み、燃料のパイプラインを温めます。しばらくそのまま待っていると、お兄さんがおもむろに「ふんっ!ふんっ!」と何かを押し始めました。

我々クルマおたくは何をやっているのか興味津々。それに気づいたJAFのお兄さんは、

「あ、これ、ハンドポンプなんですよ。ディーゼルエンジンはガス欠とかの燃料系のトラブルがあると、こうして燃料を強制的に送り込まないとエンジンがかからないんですよね。」

と解説してくださいました。

何度かハンドポンプを押してエンジンをかけてみるもかからず、またハンドポンプを押して・・・を何回か繰り返し、どのくらい経ったでしょうか、恐らく20-30分くらいたった頃、ようやくエンジンがかかったのでした。

「できればこのままエンジンを切らないで燃料を半分ほど減らしてから、この辺の近隣のガソリンスタンドで給油してください。この辺の軽油は寒冷地用ですので凍りませんから。」

と行ってJAFのお兄さんは去って行きました。

燃料を減らすと言っても・・・

そう、彼、というか我々は、「念のため」都内で軽油を満タンに入れてきたばっかりです。燃費のいいディーゼルエンジンは、燃料系の4分割された目盛りのうち1つ分しか減っていません。

じゃあ・・・減らしに行こうか!という事でドライブに出発・・・したのですが、夜ですので路面が凍結している心配があります。

という事で市街地に出て走り回りますが、これが中々減らないんですよ。ディーゼルの燃費の良さが仇となりました。無駄に低いギアで高回転域まで引っ張ったり(もちろん、滑りやすい路面ではセオリーは逆。なるべくトルクをかけないように走るのが正解です。)と、燃費に悪いことを必死でやったのですが、それでも半分にはまだ遠いです。

ここで諦めて、地元のGSで給油して宿に戻りましたが、その日はもう飲んで騒ぐ気分でもなく、昼間のスキーの疲れもありすぐに眠ってしまいました。

幸い、次の日の朝は、一発でエンジンはかかりました。

「凍る」って何?凍らない軽油はないの?

俗に「凍る」と言われていますが、正確にいうと違います。低温のために軽油の中のパラフィンが析出してフィルターが目詰まりし、パイプラインをふさいでしまうんです。

現在の軽油でも同じでして、冬になると寒冷地用とそうでない地域用とでは軽油が違います。もちろん、寒冷地用の軽油は、低温でもこうしたパラフィンの析出が起きないように対策がされているので、いわゆる「凍らない」軽油となっています。

こちらのページに軽油のJIS規格が記載されていますが、軽油にはこれだけの種類があります。

軽油のJIS規格

つまり、寒冷地用の軽油というのは、「流動点℃」と「目詰まり点℃」が十分に低い、3号軽油または特3号軽油になります。

そして、どの辺りに行けばこの寒冷地用の軽油が手に入るのかと言うことなのですが、高速道路のSAでは何を用意しているか、というのは一つの目安になりますよね。昨年のものなのですが、ご紹介します。

寒冷地仕様軽油 取り扱い状況

これをみると、特3号軽油というのは、ほとんど北海道スペシャルですね。そのほかの地域では、要するに豪雪地帯ですとか山の上で気温が低くなる場所で3号軽油が供給されるということのようです。

燃料の全量が寒冷地用でなければ絶対ダメということではないので、ご安心を。

こういう話をすると、ディーゼル車でウィンタースポーツを楽しみに行くのを躊躇してしまいますよね。でも大丈夫です。上でJAFのお兄さんも言ってましたよね。「半分くらいは寒冷地用の軽油を入れてください」と。

ですので、目的地までの距離にもよりますが、都内ではガス欠にならない程度に入れておけばいいんです。そして、目的地近くでなくても、寒冷地と言っていい地域に入って、燃料が半分程度だったらすかさず給油します。その際に、

「こちらの軽油は3号軽油ですか?」

と一声かけて確認してから入れれば良いでしょう。違ったら、もう少し寒冷地に奥深く入ってから給油するんです。

大丈夫、走っている限りはエンジンルームは高温に保たれますので、凍りませんから。

まとめ

軽油が凍るという事実、普段ガソリン車ばかりに乗っているから知らないのであって、ディーゼルエンジンで走っているトラックドライバーや寒冷地の方には常識だったりします。

ですので、特に難しく考えることはないんですね。大体の燃費と距離を計算して、寒冷地近くで半分を切るように運転していって軽油を入れる、それだけです。

そして給油の際には、「こちらの軽油は寒冷地用ですか?」と確認を忘れないことが大事ですね。「3号軽油ですか?」と聞くとちょっと「おっ!この人知ってるな」と思われるかもしれません(笑)。

ディーゼル乗りにとって、冬支度はスタッドレスとチェーンの準備だけではないんです、というお話でした。

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では、今回はこの辺で失礼します。ありがとうございました。

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