最近、TimesやOrixが提供しているカーシェアリングが人気ですね。レンタカーと違い、会員であれば面倒な手続きが必要なく、手軽に運転できることが大きな原因のようです。
若者のクルマ離れ
最近よく聞きますよね、この言葉。
色々と原因は取り沙汰されていますが、どうも私には的外れな議論が多いようにしか思えません。
クルマの魅力がなくなった
確かに、かつてあんなに輝いていた日本車は、今となってはミニバンばかりで魅力的なクルマがなくなりました。
ミニバン以外はひたすらエコ。もうそれしかないのか、と言いたくなります。
この、「魅力的なクルマがあまりにも少ない」というのはクルマ離れの原因の一つですよね。現に、トヨタの86、スバルのBRZに始まり、マツダの一連のSkyactive車、ロードスターといった、安価で楽しいクルマって人気ですよね?
子育てにはミニバンが便利!という世の中の風潮には私は全く同意できないのですが、メーカーがユーザーのニーズに迎合するのではなく、啓発してみてはいかがでしょうか?
また脱線してしまいましたね。本題に戻りましょう。
本当の原因は彼らが体験してきた「世相」では?
私が10年くらい前に、学生さんと話をしたときのことが非常に印象に残っています。彼曰く、
「今が不景気だって言いますけど、僕らは生まれたときからこうだったんで景気がいいってどういうものなのかよくわからないんですよ。」
これはすごく端的に言い表していると思います。要するに、現在二十代の方達は、今までの人生の大半を「失われた20年」の中で過ごしているので、私のような40代とは感覚が違うんですね。
もっと言うと、クルマって、彼らの生活の中では優先順位が限りなく低いんです。一種の贅沢品扱いですよね。しかもちょっとはカッコいいクルマに乗れるならまだしも、子供が生まれたらミニバン。好きでミニバンに乗るのならいいのですが、あまりにも将来に希望が持ててないんですよね。
カーシェアリング、ヨーロッパの場合
若者のクルマ離れはなんとBMWの母国ドイツでも起こっていたそうです。
ですがカーシェアリングが普及し、メルセデスのAクラスやBMWの1シリーズといった魅力的なクルマが用意されるにつれ、「カーシェアリングにある魅力的なクルマに乗ってみたくなった」と言う理由で免許をとる若者が急増しているようです。
ヨーロッパのカーシェアリングは日本よりアバウトで、なんと路上の駐車スペースに止めてあるクルマに乗っていって、どこに置いていってもいいものまであるらしいです。もちろん予約は必要ですよ?でもこれって家の前まで乗り付けられて利便性が高いですね。
日本ほど駐車事情が悪くないからできるんでしょう。羨ましい限りです。
これからは世の中カーシェアリング?!
今日の会社の後輩君とランチを取り四方山話をしていたところ、最近彼が読んだ本に、これからはカーシェアリングの世の中だ、クルマを所有するのは趣味になる!といったことが書いてあったそうです。
あまりにもありふれた論調なので、なんという本だったかも忘れましたが、私は全く同意できません。
最近よくこうした論調の記事をネットで見るのですが、そういう方々は都市部にしか住んだことがないのではないでしょうか?生活にクルマが必須という場所に一度でも暮らしたことがあるんでしょうか?家族で免許を持っている人数分の台数クルマが必要な地方部で、一度でもまともに取材したことがあるのでしょうか?
今回の地震で大きな被害を被った熊本に住む私の親戚家族が正にそうです。そうは言っても、普通の家庭ですのでクルマを何台も持てるわけがなく、大体お父さんの普通車セダンかミニバン、お母さんの軽自動車、自分の軽自動車といったご家庭が非常に多いんです。
家族ですらカーシェアが成り立っていないですよね。しかも外出先には無料で駐車場が整備されていることが多い中、駐車場にわざわざお金を払う習慣がないが故にコインパーキングすら閑古鳥が鳴いているのに、本当に世の中すべてがカーシェアリングになると吹聴している方は三思三省の必要があります。
ですが、若者のクルマ離れを止める手段にはなり得る。
…と私は思っています。
東京近郊では、教習所で高速教習をBMWでできる所があります。こうした教習所の高速教習は大層人気だそうで、オプションにもかかわらずほぼ全員が申し込むそうですね。
これなんです。ヒントは。
今のカーシェアリングって、ベーシックカーが多いです。私のようなクルマ好きにとっては、ベーシックカーこそ非力なエンジンをぶん回して乗れる楽しいクルマなのですが、大抵の人にとってはそうではありません。
ですので、私はむしろカーシェアリングはちょっといいクルマと、いざと言うときに大人数乗れるミニバン、また冬の雪道ドライブに役立つ4WDをラインナップすべきと考えています。
既にスバルのフォレスターやアウトバックが借りれる所もありますが、まだまだ一部に留まっています。
冬のドライブを計画するときに、雪道を行くためにスタッドレスタイヤが必要というシーンってありますよね。ですが、私のように年に何度かしかない雪道走行の機会の為にスタッドレスタイヤを買い揃えるのは非常に不経済です。そういう時に、もしカーシェアリングにスタッドレスタイヤを履いたクルマがあれば、私は使用したいですね。
或いは大人数で乗れるミニバンもそうです。年に何回かしかない、大人数で乗る機会だけのためにミニバンを買うのって、これまた不経済ですよね。ミニバン、結構高いですもんね。3シリーズよりよっぽど高級車ですよ(笑)。
まとめ
ちょっと極論の部分もあるかも知れませんが、最近街中でよく見るようになったカーシェアのクルマについて、気になっていたことをお話ししました。
実際、私の元部下君がいまして、彼は海外に赴任していたときはZ4に乗っていた程のクルマ好きなのですが、日本ではまだクルマを所有しておりません。そんな彼は、昨年の冬、降雪の可能性がある場所に旅行に行くに当たって、執念で首都圏のレンタカーでスタッドレスタイヤを履いているクルマを探し出し、勇躍旅行に出かけていきました。。
つまり、カーシェアリングって、そういう所に本当のニーズがあると思うんです。もちろん、クルマを持たない方がクルマでないと行けないような場所、例えばIKEAとかに行く際に手軽に借りれるクルマとしてベーシックカーは必要です。私の知人の一人はそのような利用の仕方をしています。
今はそれでいいかも知れませんが、その後の展開ですよね。地域によって異なると思いますが、例えば雪の降らない大都市圏ではレガシィアウトバックに冬だけスタッドレスタイヤを履かせておくとか、帰省先でだけは大人数で乗る機会があるから、地方部ではミニバンを用意しておくとか。それこそ独身世代のデートカーとして、マツダのロードスターやBMW1シリーズを置いておくのもいいんじゃないでしょうか?
カーシェアリングで利用したことがきっかけでそのクルマを気に入ったら購入する人だっていると思うので、メーカーが「有料の試乗車」といった感覚で協力してくれると、簡単に実現できそうな気がします。BMWがi3とか提供したらかなり話題になりますし、人気も出ますよね。電気自動車の普及にも一役買いそうです。
ここまでお付き合い頂きありがとうございました。
今回はこの辺で失礼します。