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BMW i3を利用した災害対策?!電気自動車の寿命は長い。

電気自動車というと、どうしてもバッテリーの劣化が気になりますよね。スマホやタブレットの例を考えると早くて2年、遅くとも3年でだいぶ劣化してしまうことが考えられます。なので、電気自動車はバッテリー交換することを考えると経済性もさほど高くないし、環境にも実はそれほど優しくないのでは?という疑問を、BMWはこんな形で解決してくれました。

劣化したバッテリーの再就職先

まずは以下の記事をご覧ください。

BMW、i3のバッテリーを再利用する家庭用蓄電池システム構想発表。中古電池でも家庭の電気をまる1日供給可能

2016年06月22日 18時00分

BMWが、バッテリーパックとEV充電ステーションを組み合わせた新しい「家庭用蓄電池システム」のコンセプトを発表しました。BMW i3のバッテリーパックをそのまま採用し、日中に蓄えた太陽光発電の余剰電力を、家庭の使用電力料金が高くなる時間帯に自動的に切り替えて使うしくみを備えます。

BMWはさらに、使用済みとなったi3のバッテリーパックをこのホームエネルギーシステム用バッテリーとして再利用する構想も示しました。

テスラが今から1年と少し前に発表したPowerwallシステムは、太陽光発電で発生した余剰電力をバッテリーに蓄え、発電できない夜間に家庭用電源として電力供給します。またバッテリーの容量は7kWhと10kWhをラインナップしています。

一方、BMWのシステムも、太陽光発電からの電力をバッテリーに蓄えるのは同じながら、家庭で使用する電力料金が最も高くなる時間帯になるとシームレスに電源をバッテリーへと切り替えます。また、テスラのPowerwallのバッテリーが専用品なのに対し、BMWは市販しているEV、BMW i3 や MINI E と同じバッテリーパックを採用しました。

i3などとのバッテリー共通化の利点としては、開発コストが抑えられるのは言うまでもなく、EVで使われて性能の低下したバッテリーをそのまま再利用できるところも挙げられます。なおこの家庭用蓄電池システム設置時には、新品と再利用いずれかのバッテリーを選択できるとのこと。

使用済みとはいっても、1トン以上もあるEVを走らせる車載バッテリーは非常に高性能です。米国の一般家庭で必要な1日の電力量はおよそ15~30kWhとされることから、ベースモデルで60Ah(21.8kWh)、今年夏から欧州で投入されるバージョンでは94Ah(33kWh)もあるi3の車載バッテリーなら、多少は劣化していてもまる1日は家庭の電力をまかなえます。

ちなみに日本の2人以上の家庭の1日平均電力使用量は、総務省の「家計調査」平成27年12月分速報の数値で計算すると15kWh前後です。

BMWは2013年から今までに、4万5000台以上のi3を販売してきました。EVの販売台数が順調に伸びていけば、繰り返し使用で容量低下した使用済みバッテリーもどんどん出てきます。BMWはこれをふたたび家庭用バッテリーとして再利用することで、さらに持続可能性が高まるとアピールしています。

(引用元:engadget 日本版)

ここでもキーワードは「サステナビリティ(持続可能性)」

これはもう、純粋に脱帽するしかないですね。

テスラにしろBMWにしろ、電気自動車を作るメーカーの責任をしっかりと果たしています。テスラのシステムは知っていましたが、私はこの記事のような視点ではなく、あくまでテスラを充電するのが主で、その充電を効率良くかつより安く行うためのシステムだと理解していました。つまり、こうした蓄電池としての家庭にも電源供給するのは余技である、と。

その点、i3も発想の元は同じなのかも知れませんが、劣化したバッテリーを再利用するというところが、BMWが最近盛んに唱えている「サステナビリティ」を実現していますよね。

それにしてもクルマを動かすのって膨大なエネルギーを使うんですね。i3って、決して航続距離が飛び抜けて長いクルマではないのに、通常の家庭の1日の電力をまかなうことができるなんて。

そういえば三菱のアウトランダーも、こう言ったことをアピールポイントにしていますね。通常の家庭の丸10日分の電力を供給できるそうです。

キャンプをする私としては、あの、大きなテントを張って電気を煌々とつけている宣伝にグッときました。

意外に思われる方、「軟弱な!」と思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、今時のキャンプは電源ありは珍しくないんですよ。話に聞いただけですが、炊飯器を持ってきてご飯を炊く方もいらっしゃるようです。

また話が横道に逸れてしまいました。元に戻りましょう。

BMWが提案するこのシステム、以前BMWマガジンに載っていた、太陽光で発電する屋根を持つガレージの発想をもう一歩進めています。これなら、天気が悪くても充電はできますもんね。

そして何より環境に優しいと思うのは、処分には環境負荷が高いバッテリーを再利用して極力寿命を延ばすと言うところです。

クルマ好きの方なら聞いたことがあるかもしれませんが、実はトータルのクルマの寿命を考えると、HVやPHVといったクルマは必ずしも環境負荷が低いとは言えません。

そう、バッテリーの生産と処分の過程が環境負荷が高いんです。

ですがBMWが提案するこのソリューションは、ある程度までは環境負荷を低減するものですよね。

ですが、これが出てきたのには背景があると考えています。

一時的な橋渡しのシステム

私も詳しくはありませんが、実はリチウムイオンバッテリーってよく使われているので再生利用されているのかと思いきや、そうでもないらしいです。しかも、処分するバッテリーから再利用可能な部品を取り出す技術って確立されていないらしんですよ。

これは驚きですよね。だって、あれだけスマホにも使われていて普及しているのに、その後処理のことは考えられていないに等しいというか、技術が追いついていないという・・・。

もちろん、いずれは極限まで劣化を抑えるバッテリーが発明され、かつ廃品から再利用資源を回収する技術が開発されるのでしょうが、とりあえず現状はできていないんです。

しかもこの劣化しづらいバッテリーがリチウムイオンなのかどうかわかりませんが、少なくとも今まで売った分は再利用するなり処分するなりする必要が極めて近い将来発生するのが目に見えているわけです。

そうしたバッテリー処分に関する新技術が確立されるまでの繋ぎの提案なのではないかと思っています。

BMW、ビジネスがうまいですねー。

こういうと嫌味っぽく聞こえてしまうかもしれませんが、さすが環境先進国ドイツの企業らしく、BMWも環境ビジネスがうまいですね。

もちろん嫌味ではありません。こうした提案を通じた啓蒙というのは昔からBMWやメルセデスは得意としてきたところでした。

そう、私は今「環境ビジネス」と言い切ってしましまいましたが、これってもう純粋にビジネスですよね。決して地球環境のみを純粋に考えるだけでなく、こうした環境への貢献が高い企業であるという評価を得ることが、自分たち自身が今後も高収益企業として生き残っていくこと、つまり、「BMW」という企業自身のサステナビリティにつながっていくわけです。

これは私たちクルマ好きに取っても悪いことではありません。つまり、クルマという環境負荷の高いものが、今後も社会に受け入れられながら生き延びていくためには絶対に必要なことだと思います。

ですがBMWだけがやっていても意味がないんですよね。他にもHV・PHVを生産しているメーカーは多々あります。クルマという括りを外して、バッテリーという観点でみれば、バッテリーを生産しているメーカーはいうに及ばず、スマホやノートPCを生産しているようなメーカーだって視野に入ってきます。まあ、この場合は一つ一つの電池のサイズが小さいので大規模な横の連携が必要になりそうですが。

それに何より、私たち個人消費者だって、バッテリーの回収などへの協力が必要ですよね。今は劣化したバッテリーを例えばケータイのキャリアショップへ回収に出すようになっていますが、それでは回収率なんか上がりませんよね。例えば、スマホの機種変更時に、今まで廃棄し損ねていた廃棄バッテリーを持ってきたら、1つにつき1,000円を機種代金から割引!とかどうでしょう?私なら探してでも持って行きますよ(笑)。

まとめ

なんだかこのニュースを見て、使えるものは何でも使うという「もったいない」の精神ってどこでも同じなんだなーと思いつつ、ちょっと寂しくもなりました。

だって、「もったいない」の本家は日本じゃないですか?ノーベル平和賞受賞者でケニアの環境活動家、ワンガリ・マータイさんがせっかく広めてくれているんですから、国産メーカーにもこういう取り組みをもっとやっていただきたいですし、アピールしてほしいです。

そしてその活動は、ボランタリーなものではなくて、やっぱりビジネスとしてやった方がいいと思うんですよね。だって、企業である以上、利潤を追求しないといけないですし、費用をかけているだけで利益にならないものは続きませんから。

自動車社会全体のサステナビリティのためにも、ぜひ頑張っていただきたいと思います。

では、今回はこの辺で失礼します。ありがとうございました。

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