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320iの存在意義とは?BMW3シリーズの車種選びに迷ったらお読みください。

クルマを選択する時、許される予算の中でできる限り「いいクルマ」を選びたいと思うのは人の常ですよね。特に3シリーズを選ばれる方にとっては値段が抑えられた318iにするのか、ある程度充実装備の320iにするのか悩ましいところだと思います。そこで318iにエントリーモデルの座を譲った320iがラインアップでどんな役割を果たしているのか、考えてみました。

相変わらず人気の320i

3シリーズがBMWの屋台骨であることに異議がおありの方はいないと思いますが、その最量販モデルたる3シリーズの中でもさらに最量販車種としての地位を欲しいままにして来たのが320iです。

エントリーモデルということもありますが、 値段が比較的抑えられているわりにオミットされている装備がさほど「気にならないもの(TVチューナーなど)」であったことにより、消費者の購入意欲を刺激したものと思われます。

実際、私の前のクルマはF30の320iでした。私が購入したタイミングは320iが日本に導入されて間もなかったこともあり、当時のToto BMWさんの担当セールス氏が、ディーラー間の激烈な争奪戦を制して一番売れ筋であるアルピン・ホワイトの320iを引っ張って来てくださいました。

その当時は、先行して導入された328iの価格が高かったこともあり、320iの導入が諸手を挙げて歓迎されていた時期でした。 メディアによっては「328iの存在意義は何?」とまで言っていた程です。今では考えられませんが、320iのデザインラインが500万円くらいで購入出来たんですよ。まあ、ACCなどはついていませんでしたが。

318iが導入されても「320iはいらない!」とはなっていませんね。

ところが、昨年9月に318iが導入されても、同様に「320iの存在意義は?」という議論にはなっていません。これは単純に考えると、320iの導入時と大分違う状況と言えるでしょう。

これは320iと328iが「『同じ』エンジンなのにパワーが違うだけでこんなに価格差があるなんて!」という誤った認識が蔓延していたことも原因です。確かに一つ一つのパーツは同じかもしれませんが、圧縮比からして違っているエンジンですし、第一、装備されていた内容が全然違います。例えば、私が絶賛しているサーボトロニックが328iでは標準であったりとか。ただ、さすがにドイツ車的ヒエラルヒーを適用して50万円もの価格差はやり過ぎだったとは私も思います。以前当ブログでもご紹介した通り、二酸化炭素排出量がより少ない=燃費が良いクルマを売っていくための、「環境対応プライシング(勝手に命名)」が充分浸透していなかったせいもあるでしょう。

そういう意味では、318iの日本導入のタイミングは良かったと言えます。そもそも3シリーズの価格がどんどん高くなっていく中、かつBMWとしては満を持しての投入となった3気筒エンジンが受け入れられやすい状況だったと言えます。

私が以前当ブログでご紹介した通り、318iは3シリーズの美点を素直に味わえる、エントリーモデルにふさわしいクルマです。

ですが、正にこの「3気筒エンジン」がネックになっているのも事実の様で、やはり拒否反応を示す方も多い様です。また、昨今のBMWの売りであるACCなどの運転支援デバイスも装備されていません。

正にここが、3シリーズを選ぶ際に堂々巡りを繰り返してしまう点ではないでしょうか?

320iの魅力とは?

現在の3シリーズのラインアップを見ていくと、ざっくりとですが318i/ 320i/ 320d/ 330e/ 340iですね。

この中で、330eは言わずと知れたPHVであるという魅力があります。当ブログにもオーナー様からその奥深い魅了を感じさせてくださるコメントをたくさんいただいておりまして、そのうちまとめ記事をご紹介しようと思っています。

そして340iは「どうしてもBMWは6気筒じゃなきゃ!」という人か、あるいは「クルマに過剰を求める方」向けです。はっきり申し上げて、3シリーズのボディこのパワーはtoo muchです。ですが過剰品質のクルマというものでしか味わえない魅力があるのも確かで、実は私もその魅力は好きだったりします。でも、如何せんお値段がかなりお高いです。

では、318iはどうかと言いますと、320SEよりも「素」の3シリーズだと思います。その「素」の魅力は当ブログでも以前お伝えした通りですね。

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3気筒でしかも136psなんてアンダーパワーにすぎると思いますか?本国ではさらにアンダーパワー、100ps強の316iもあるんですよ。つまり、運転の上手なドイツの人にはそのパワーを思いっきり引き出して走れるわけで、十分なわけです。ですが、日本では装備が簡素化されていて商品的に見劣りするのも事実です。

では320dはどうか。これはまさに当ブログのテーマですので詳細は省略しますが、かなり燃費が良く、個人的には3シリーズのラインアップ中ではベストと考えています。何よりランニングコスト(つまりは燃料費)が安く上がりますし、図太いトルクを生かした常用域での加速感は、まるで大排気量ガソリンエンジン者に乗っているかと錯覚するほどです。一方で、静かになり振動もガソリンエンジンと遜色なくなったとはいえ、「ディーゼルアレルギー」の方にはどうしても許せないものがあるでしょう。

すると、ディーゼルを肯ぜない方にとっては320iは実に魅力的なモデルとなります。過剰に過ぎず充実した装備に、アンダーパワーを感じさせないエンジン。実際、アンダーパワなんかではありません、184psもあるんですから。E90の323iの前期型のマイナーチェンジ版に私は乗っていましたが、その馬力は190psでした。マイナーチェンジ前はというと177ps。つまり「320i」という名前に惑わされていますが、E90でいう323iくらいのパワーはあるわけですよ。しかもトルクの太さは段違いですので、323iよりもはるかに力強い加速をします。あの323iの線の細いながらも高回転まで周りたがるエンジンも私は好きでしたが。

今までは消去法で見て320iの魅力が光り輝きましたが、ラインアップを見て積極的に320iを選ぶ理由もあります。4気筒とは思えないほど洗練された回転フィールを持つエンジン、それでいてちゃんとパワーを絞り出すので素直な加速感が身上です。B型ユニットになってさらにこのスムーズさには磨きがかかっていて、まさに「モーターのような」BMWエンジンの感触を取り戻しています。

そして、手元にオプションの価格表がないのではっきりと数値でお示しすることはできませんが、320iが一番ラインアッップの中でお得です。318iとの価格差以上にパワーと装備が充実していますが、逆に340iを見てもそこまでの価格差が正当化されるほどのものは得られないと思います。

ちなみに、経済学では「限界効用」という言葉があります。限界効用というのは、まあざっくりいうとその時点での満足度を示すとここではお考えいただいて結構ですが、効用の曲線というのは2次関数の曲線の片側が寝たような形になっています。そして限界応用はその曲線の接線の傾きです。つまり、値段との関係で限界効用を考えると、値段が高くなればなるほど効用の上がり方が緩やかになります。これを「限界効用が逓減する」と言います。どういうことかというと、例え100万余分に出しても、200万円のクルマよりも300万円をクルマを購入した時の満足感の上がり方を期待して、さらに100万円出して400万円のクルマを購入しても、同じような満足度の上昇は望めないということです。

何が言いたいのかというと、320iはこの限界効用が高い部分の価格帯に属しているクルマだということです。もちろん、満足度というのは人それぞれですので限界効用は個々人で違いますが、少なくとも3シリーズを購入しようとする予算で考えると、という話で捉えてください。

逆に340iは限界効用がかなり低い価格帯のクルマといえます。そして318iは限界効用が高いです。そりゃあそうですね。3シリーズが欲しい方が3シリーズを買うか買わないか、ということで考えると、買ったほうが満足度は高いわけですから。

ですので、ディーゼルはどうも、という方には320iが一番満足度が高い選択肢となるわけです。いや、経済学的にはですよ。

そして、実際のところどうかというと、私は十分その期待に答えてくれるクルマだと思います。320iは日本に置ける戦略車という位置付けでしたし、今でもそうであると思いますので、本当に戦略的な価格付けがされていると思います。手軽に3シリーズの素の魅力を味わいたければ318iでもいいのですが、320iはそれに加えて、BMWの先進技術も味わえるクルマなんですね。それはACCなどが標準装備となってくることからもわかっていただけると思います。もちろん、エンジンからタイヤに至るまで、BMWの技術の粋を極めて作られていることはいうまでもありません。

320i、いいですよ。

私も以前乗っておりましたが、本当に魅力的なクルマでした。私は途中でどうしてもディーゼルのしかもツーリングが欲しくて乗り換えてしまいましたが、キャンプにいくという趣味ができなかったら今でも320iに乗っていたことは確実です。東京から高知まで旅行に行ったこともありますが、高速道路のロングツーリングも楽々こなしましたし、燃費も良好でした。

これから3シリーズを購入してみようかなぁという方、まずは318iと320iで迷うという方もいらっしゃると思います。そんな方の参考になれば幸いですが、最後はあくまで「自分の感覚」を大事にしていただくのがクルマ選びで失敗しないコツです。

どうしても表面的なパワーなどのスペックに目を奪われて決めきれなくなった時にこの記事を思い出してみてください。ご自身の限界効用をお考えになって理論的に選ぶのもよし、ご自身の感情に任せるのもよしです。

ただ、エモーショナルなBMWのクルマですので、もう1度だけ言わせていただきますと、最後はご自身の肌感覚でお決めください。

この記事を読んでいただいた方が幸せな選択ができることを心の底から祈っています。あ、オプションに関しては、ちょっと今となっては古いかもしれませんが過去にこのような記事を書いていますので合わせてご参考までにお目通しください。

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では、今回はこの辺で失礼します。ありがとうございました。

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