以前当ブログでご紹介しましたが・・・ついに今日、行ってまいりました!本庄サーキットでのBMWのサーキット走行イベントです。ミニサーキットとはいえ中々ない機会で、純粋な楽しみが大きくて走行後にしばらく放心状態になってしまいましたが、落ち着いて考えたら、日常の走行にもこれは大切なことを学べたのではないか?と思いましたのでご紹介します。
集合時間は朝9:00 at 本庄サーキット!
前日にToto BMWのご担当のUさんに念のため確認の電話をしました。すると希望通りの車種で、希望通りの時間で抑えられたとのこと。しかも、現役バリバリのレースドライバーの運転するBMWに同乗する「レーシングタクシー」にもエントリーできていました。
もう、これを聞いた時点で血が滾ります。実はこれを聞いた日は風邪をひいておりまして体調が悪かったのですが、電話していて興奮してクラクラしちゃいました(笑)。確実にかなり血圧が上がっていたと思います。
ですが、集合時間は9:00に本庄サーキット。この時間に開始する、事前講習を受けないと試乗ができません。まあ、これは最初に郵送されてきた案内にも書かれていましたし、サーキットは行ったことがなくても、私が耳学問で聞いていた限りでは、サーキットでは必ず座学を受けてそのサーキットの注意事項を了承しなければいけないことは知っていました。
ところがイマイチ本庄という土地の方の地理感がないので、危機感を持っていなかった私。これが当日の朝、私に試乗以上かもしれないドキドキをもたらします。
・・・遠いです、本庄。
本庄って結構遠いんですね(笑)。あんなに時間がかかるとは思いませんでした。というか、今までも何回も関越道で通過していたはずなのに、なんで気づかなかったんでしょう?
大体3連休の初日なんです。朝はどんよりしていたものの、段々晴れてきて快晴といってもいい天気になって・・・前に進みません。
はい、そうです。渋滞ですね。
そもそも、関越道に向かう際に、首都高速5号線を走っている時に表示された渋滞表示が・・・外環道内回りはほぼ全線真っ赤っか。これでは間に合いません。
というわけで、カーナビタイムに助けを求めたところ、GWと同じように上尾道路で圏央道の桶川北本ICを目指すルートを提案されました。
素直に指示に従いましたが、この時点でカーナビタイムが表示している到着予定時刻は9:12。まずいです。カーナビタイムは到着予想時刻が極めて正確ですので、大幅に短縮することは望めません。
どうしよう。
ですが、神は私のことを見捨てていませんでした。関越道で表示されていた渋滞は、いざその区間に行ってみると極めて順調に流れています!到着予定時間がぐんぐん早まり、ついには9:00を切った時にはホッとしました。カーナビタイムにして、ここまで到着予想時間が違ったのは初めてですね。かなり珍しいです。
ですが結局到着したのは8:57。ギリギリです。ご担当のUさんから、到着まで2分ほどのところで、
「今どちらですか?」
とお電話をいただいてしまいました。
まずは座学から。
Uさんがクルマを駐車場まで運転して行ってくださり、家内に受付に向かってもらい、という役割分担をしてチームワークを存分に活かし(周りに迷惑をかけただけとも言いますが)、私は座学の開始時間に間に合って滑り込みました。
と、予想外のことが。座学の講師は、なんと五味さんです!そう、あのBMWドライバーズトレーニングの、菰田さんの後をつぐマイスターです。
一人で驚いていると、早速五味さんの講義が始まりました。
驚いたことに大半が経験者!
五味さんが、「このイベント、初めてではないという方、サーキット走るのは初めてではないという方、どのくらいいらっしゃいますかー?」とお聞きしたところ・・・なんと50人くらいはいようかという座学参加者の大半の方が手をあげているではないですか!
これは驚きました。クルマなんてなんでもいいわ、みたいな雰囲気の奥様まで手をあげていらっしゃいます。
一気に不安が押し寄せました。「もしかして、皆さん全員むちゃくちゃ速かったりする?」
結果から言うと、これは杞憂でしたが。あ、こういうと語弊がありますね。皆さん、普通に運転が好き!という方が多かったですね。中にはドリフトしていた方もいらっしゃいましたが(笑)。
五味さんのポイントはいくつかありましたが、まずはやっぱりドライビングポジション!
乗ったらまずはシートベルト、ですとか無理をしない、無線の指示に従う、ライトは点灯、SPORT+は禁止!など色々ごもっともな話はありましたが、一番力を入れてご説明されていた点が、やはりドライビングポジションです。
よかったです、昨日この記事書いておいて。
これと、この記事の中でご紹介しているドライビングポジションの記事がなければ、いつまでも本題に入れなくなるところでした。
五味さんも、ドライビングポジションはほとんどの方ができていない、とおっしゃっていたので、ぜひお読みくださいね。
もう一つ、力説されていたのは「タイヤの摩擦円」のお話。
これは、スポーツドライビングをする方であればなんとなく頭に入っている、荷重移動ですとか、タイヤのグリップの話です。
これだけで1記事できそうですので、これは後ほどの話題に譲りたいと思います。本当に本題に入れなくなってしまいます。
ではいよいよ試乗!行きますよ〜!
大半が参加者ということですっかり弱気になっていた私は、1回くらい様子を見てから試乗したい気持ちも芽生えてました。
そして、座学が終わったのは9:25。私の試乗チケットに書かれていた試乗時間は・・・9:30。
これ、どこをどう考えても1発目ですよね?!
しょうがないというかラッキーというか、「え〜!」とか言いつつ顔が異常にニヤついているという状態で、私の希望した試乗車に向かいました。
試乗車は真っ赤な340i M Sport
これです。
ちなみに、前に止まっているのは、523i M Sport。先導車です。うーん、確かに現役レーサーと我々では、これでも勝負にならないでしょうけど・・・。
では早速乗り込み、ポジションを合わせます。M Sportですのでシートは私の320dツーリングスポーツと同じ。簡単に合わせられますが、この日は少し座面を高め、シートを前に出し、ステアリングを近くしました。
というのは、私は普段は多少リラックスして走れるようなポジションにしていますが、今回はサーキット。リラックスなんてできるわけがありません。むしろ、正確かつ素早いステアリング操作とペダルワークが最優先です。
そうこうしていると、無線から先導車に乗るインストラクターの声が聞こえてきます。いよいよ出発です。
コースインは同時に2組、8台でした。
私の組は、先導車523i M Sportを先頭に、340i M Sport、740i、i3(!)の3台でした。
なんと1度くらい様子を見るどころか、いきなり先導車の真後ろです。
実は座学で言われていたフォーメーションがありました。
「先導車の走行ラインをたどってください。ですが、後ろに行くに従って段々とラインがずれて行きますので(笑)、極力先導車の後ろの方は正確なラインをたどるようお願いします。」
「皆さんが正しいラインどりをできるよう、1周毎に順番を入れ替えます。先導車のすぐ後の車は、最終コーナーの立ち上がりでインについて減速し、後続車に道を譲ったのち、最後尾についてください。」
「先導車は、基本的には皆さんのペースを見ますが、すぐ後の方が気持ちよく走れるようなペースで走ります。」
というわけで、結構責任重大な「先導車のすぐ後ろ」ポジションをいきなり任され、コースインです!
お、結構ペース早いですね。
私はモードをSPORT、シフトレバーを左に倒してSモードにしました。マニュアルシフトも考えましたがやめました。理由は、ただ単純に慣れていない私がそんなことをしても楽しめないと思った、というだけです。
先導車は狭いピットロードを結構な勢いで加速して行きます。コースにはところどころパイロンが置いてありますが、
「黄色いパイロンを目安にブレーキングを開始してください」
とインストラクターの指示が無線が聞こえてきます。
コースを確認しながらその後は比較的ゆっくり走り、いよいよ最終コーナーです。私は無線の指示通りインについて減速し、後続に道を譲ります。
スムーズにできました。インストラクターにも「ありがとうございます。このようにお願いしますね」と一応お褒めいただきまして、いよいよ本格的なホットラップに入りました。と言っても、ハイペースではありますが、大抵の方が無理なくついていけるペースですので、そこまでべらぼうに早くはありません。正直、私はもっと攻め込んでみたかったくらいです。
ところでなんで340i M Sport?
他にもM2からM6まで揃っています。なんでMではないのか?という疑問、ありますよね。
理由は2つです。
- スペシャルではない通常のモデルで、どのくらいサーキット走行に耐えられるのか、どのくらい楽しめるのかを知りたかった。
- 本庄サーキットのようなショートサーキットではMモデルのパワーは持て余すと思った。むしろ340iくらいのパワーの方が踏んで楽しめるのでは?と思った。
特に1ですね。これは後ほどレーシングタクシーでも衝撃的な内容で確認できるのですが、申し込みの時はそんなことなど知りようもありませんでしたから・・・。
結果から言うと、これは大正解でした。ここで340i M Sportの特徴を云々するのは記事の趣旨ではないので控えますが、一言で言うと「非常に洗練された、紳士の皮を被った狼」です。
こうしたショートコースでは、私的に結構攻め込んで行っても全くびくともしません。限界は一体どこにあるのだろうかと思うくらい高いところにあり、エンジンはレスポンスが鋭くて、ショートサーキットでの忙しいアクセルワークにも即座に反応します。
もちろん、パワーは十分以上です。
これは楽しい・・・なんで今まで来なかったんだろう?
走っている最中からこんなことばっかり考えていました。
楽しくて楽しくてしょうがないです。座学の最中に五味さんが、「サーキットは怖いところではありません。ルールさえ守って走れば、他の交通がいない分、こんなに安全なところもないんです。」とおっしゃっていたのを思い出しました。
確かに私は、対向車や歩行者の飛び出し、ゆっくり走る原付などに煩わされることなくドライビングに集中しています。コーナーの手前でブレーキを蹴飛ばし、コーナーでは横Gに耐えながら行き先に視線を移して走行ラインを外さないことに専念できています。
どんなに見通しよく、空いた山道でもここまで没頭できることはありませんよね。
まずいです。ハマりそうです。
そんな私の勇姿?!がこちらです。あー恥ずかしい。
家内のナイスショット集です。ちょっとピントが合ってないけど、ありがとう。
楽しいことには終わりがある。
乗っていた時間は本当に短いです。全部で10分で終わらせるので、実質3周くらいですね。
無線から無情にもインストラクターの声が響きます。
「チェッカーが振られました。この周回でピットインします。ピットロードが狭いので十分減速して進入するよう注意してください。」
と言うわけで、最後はもう少し攻め込みました。DSCも効いているみたいです。ですがこれは私の操作がスムーズではなかったのが原因です。タイトコーナーでのコーナリングで、アクセルを踏むのがラフでかつ早すぎました(笑)。本来ならもっとうまくタイヤグリップを使わなければいけないって座学で習ったばっかりなのに・・・。
ピットロードに進入するために減速しますが、ブレーキは最後まで頼もしく、ペダルタッチは何も変わらないので感心して降りた後に確かめて見たら・・・。
あ、やっぱり。オプションのMスポブレーキですね。
サーキットを初めて走って思ったこと。
本格的にライセンスを取ってサーキットを走られている方からすれば、今回の私の体験はおままごと以下だと思いますが、今までとは違う世界を感じました。
それはスポーツドライビングの楽しさだけではなくって(だってそんなの前から知っていますから(笑))、なんと言いますか、安全マージンというものの取り方に対する具体的な感触が掴めたということですね。
これまで、よくクルマ雑誌でいう「安全マージンを十分見積もって」という言葉、言わんとしていることはわかるものの、自分の中で具体的に落とし込めていませんでした。
それが今回はっきりわかったのは、「クルマの限界>自分の限界」ということです。つまり、安全マージンというのは、自分の限界を把握し、それに対してマージンを取って走らなければいけない、ということですね。
これも言葉では知っていたのですが、「自分の頭よりも早く走らせてはいけない」という、よく知られる教訓が、非常に具体的な形を持って、かつリアルな実感を持って腹落ちしました。
レーシングタクシーがこれまた楽しかったんです。
すぐにでもお伝えしたいのですが、すでにこの記事でも長すぎるくらい長くなってしまっていますので、次回の記事に譲りたいと思います。
あ、悲劇的な話ではないですよ。むしろ喜劇的な話です。
では次回予告も済んだところで、今回はこの辺で失礼します。ありがとうございました。