40代子持ちのクルマ好きが、愛車のBMW 320dツーリングを評価するとともに、ちょっとだけ日々を楽しくするクルマのある生活の話題をお届けします。

BMW3シリーズはなぜパーキングブレーキはハンドブレーキなのか?

突然ですが、3シリーズって、パーキングブレーキはハンドブレーキですよね。高価なお金を出してBMWを買ったのに、旧態依然としたハンドブレーキがついていてがっかりする方も多いと聞きます。ですがこれにも一応理由があるんですよ。

今やハンドブレーキは少数派。

日本車でも今時ハンドブレーキの車って見ません。パーキングブレーキは大抵足踏み式か、電動のボタン式のブレーキとなっています。

そして実は、BMWでもパーキングブレーキが旧態依然としたハンドブレーキなのは、なんと1/3/4シリーズと、2シリーズのクーぺだけなんですよね。

それだけで安っぽいと見られてしまうハンドブレーキ。BMWはなぜこれを採用し続けるのでしょう?

手動式の方がいいところもある。

実は私は、クルマの操作系って、なんでもかんでも電動にするよりも、手動の方がいいシーンもあると思っています。

もちろん、それだけでコストが上がるですとか、故障する可能性が大きくなるとかありますが、妄想力逞しい私の考えることはそんなものではありません(笑)。

例えば、パワーウィンドウ。

今時のクルマでは、よほどのことがない限り、自家用車として購入しようと思ったらパワーウィンドウではない車を探す方が難しいくらいですね。もしかすると、お若い方は一体何を言っているのかわからないかもしれませんが、昔はレギュレーターと言って、ハンドルをクルクル回して窓を開けていたんですよ。

今のパワーウィンドウは単純にこのクルクル回す動作をモーターで代替したものです。ワンタッチで全開になったり全閉になったりして、パワーウィンドウは確かに便利です。

さて、ここからが私の妄想ですが、例えば深夜、街灯もなく暗い道を走っていたとします。橋にさしかかりましたが、運転を誤って川の中に落ちたとしましょう。この時点で電気系統はアウトですよね?水圧でドアは開きません。そうすると、窓から脱出しなければいけなくなりますが、パワーウィンドウですともう開きませんよね。ですが手動でレギュレーターをクルクル回せば開きます。

極端ですが、こういうことを考えると、手動も捨てたものではありませんよね。したがって、現代のクルマではこのような状況に備えて、緊急用ハンマーを積んでおくといいかもしれません。

私もずっと買おう買おうと思っていながらまだ入手していません。いい機会ですので購入しておきます。

これがなくても、窓を割る場合には、例えば靴下(女性ならストッキング)などに小銭をありったけ詰めて即席ハンマーを作って窓を割る、というてもありますので、頭の片隅に入れておくといいですよ。ついでに申し上げておくと、クルマの窓ガラスを割ろうと思ったら、フロントガラスではなくサイド・リアウィンドウを割ること。フロントガラスは割れません。そして、窓ガラスの角のところを強く叩くと、割れます。真ん中を叩いても割れません。

ところがこれが極端でもないんです。それがハンドブレーキである理由。

実はBMWの主張するところによれば、パーキングブレーキがハンドブレーキであるのは、仮に運転者が運転中に意識を失ったとしても、同乗者がハンドブレーキを引くことで車を停止されることができるから、というのが理由なんです。

ですが・・・それであればボタン式でもいいのでは?という疑問が湧きます。運転席足元の足踏み式パーキングブレーキでなければ可能ですよね。

私は正直に申し上げて、これはもっともらしい後付けの理由だと思っています。その証拠に、ではなぜ他のシリーズではボタン式パーキングブレーキなのか?といいうことです。

これは単純にコストをケチったとしか思えないのですが・・・いかがでしょう?

他にもハンドブレーキが手動の方が良いところ。

1/3/4シリーズ及び2シリーズクーぺというのは、BMWのラインの中でも、比較的スポーティに、振り回して遊べるクルマです。実際にやるかどうかは別ですが。

ハンドブレーキが手動であれば、昔ながらのハンドルをぐっと切り込むと同時にハンドブレーキのリリースボタンを押したままぐっと引いて後輪にだけブレーキをかけてくるんと回る、スピンターンができます。

このスピンターン、私は若い頃にスキー場の広大な駐車場がガラガラだったので一度ためしてみたことがありますが、雪の上ですと簡単に回りますね。もちろん、普段の運転でこのようなテクニックを使うことはありませんが、万が一の時、例えばどうしても追突を防げない時に、後ろからぶつかった方がシートのバックレストがあるからマシだ!と言ったような場合の、緊急回避テクニックの一つとして、覚えておくことは有用でしょう。

また、街中で暴漢に追われた時には、「ミッションインポシブル ローグネーション」のように、ハンドブレーキを引いて後輪を滑らせ、暴漢の乗るバイクを蹴散らすこともできるかもしれません。ご職業がスパイの方は、ご検討ください。

決してふざけているわけではないんです。

本当に極端かつ非日常的な例ばかりで申し訳ありませんが、私はこれ、ふざけているわけではないんです。

何でもかんでも自動化されてしまう事って、日常では大変便利なことではあるのですが、非日常の極限状態ではマイナスになることもありうるということを申し上げたいんです。

クルマに乗っている限り、事故に巻き込まれるリスクも完全にゼロではないですし、いつ何時想定もできないような事態に陥るかわかりません。その時に、すべてが電動・自動ですと、電源がなくなった瞬間に身動き取れなくなるようでは困るんですよね。

そういう意味で、メーカーにはせめて代替手段を用意していてほしいものです。最近のBMWですと、衝撃を受けたら全ドアロックが解除され、ハザードランプが点滅するようになっていたり、さらにはコネクテッドドライブの機能の一つ、「SOSコール」もありますので、そういった意味での対策はされているとは思いますが・・・。

私は、今のままの手動のハンドブレーキでもなんら不便を感じませんし、安っぽいとも感じておりません。むしろドライバーによる操作をあくまで主とするBMWらしいと思って歓迎していますし、むしろ今時貴重なものと思っております。

ですが、次期型では流石にボタン式に変わりそうですね。今現在ハンドブレーキのクルマは、ここ2−3年のうちにモデルチェンジを控えていますから。

中年のノスタルジーと笑われるかもしれませんが、それはそれで少し寂しい気もします。

では、今回はこの辺で失礼します。ありがとうございました。