40代子持ちのクルマ好きが、愛車のBMW 320dツーリングを評価するとともに、ちょっとだけ日々を楽しくするクルマのある生活の話題をお届けします。

直列6気筒復権の日はくるのか?

最近、新車で出るクルマは必ずエコ性能を前面に出していてせいぜい4気筒エンジンがいいところ、BMWなど3気筒エンジンを出していますが、クルマ好きの本音で言うと、ツマラナくなった、と言う方もいらっしゃるのではないでしょうか?そんな中、メルセデスは直列6気筒エンジンを復活させるようです。

直6エンジンは絶滅危惧種

エコの観点からダウンサイジングエンジンまたはハイブリッドが全盛となっている昨今、なんだか多気筒エンジン自体が何だか肩身狭いように感じますが、実は直6エンジンはエコの観点で廃れたのではありません。

高まる衝突安全性確保の観点から、全長の長い直6エンジンを縦置きする事が不利となったために市場から徐々に消えていってしまいまったんですね。十分なクラッシャブルゾーンを確保できないという理由で。

その証拠に、全長を短くできるV6エンジンはちゃんと残っています。最も、それですらダウンサイジングエンジンに押され気味ですが。もっと言えば、ほぼ直列4気筒分の全長で済むV8エンジンだってあります。

かつてはボルボが直6横置きという奇抜なレイアウトのクルマも出していましたが、やはり設計上無理があったのでしょう、短命に終わりましたね。

余談ですが、ボルボはかつて、頑なにFRを作っていた会社です。「スリッパリーな路面ではFRの方が修正しやすいので安全」と声高に主張していましたが・・・今ではすべてFFです。まったくもう。

ところでそんな中、あのメルセデスが直6の復活を目論んでいるということは、ほぼ確実です。何らかの技術上のブレイクスルーがあったんでしょうか?

公然の秘密?メルセデスの直6プロジェクト

まもなく発表されると思われる次期Eクラスに直6エンジンが搭載されるのが確実視されています。

ですが!

直6エンジンといえばやはり我らがBMW。現在も340iなどに搭載されている3リッターのユニットが直6で、いまや市場ではむしろ珍しい部類に入ります。

ここに対抗してきたのか?という見方もできるでしょうが、果たしてそうでしょうか?ちょっと考察してみたいと思います。

昔の直6、現代の直6

なぜ直6エンジンがもてはやされるのかというと、「完全バランス」をバランサーシャフトなどの付加物なしに達成できるからです。

わたしも一時期E90の323iに乗っていたことがありましたが、それはそれは気持ちのいいエンジンでした。

精度よく組まれた機械が整然と回っているあの感じ。なんというか、密度が高い回転感覚とでも言えばいいんでしょうか、とにかく官能的で意味もなく回したくなっていました。おかげで燃費はひどいもんでしたよ(笑)。

BMW以外でも、古くはポルシェを打ち破った箱スカの6気筒。さらに日本車史に燦然と輝くスカイラインGTR(R32)のRB26DETT。名車はみんな直6だったような気がします。私自身も、むかーし父が乗っていたマークⅡを運転した時に、感動した覚えがあります。直6とはかくも気持ちいものか、と。

ただ、現在のBMWの直6エンジンはこうした懐古的な流れとはちょっと事情が違うような気がしています。

エンジンというのは1気筒あたり500ccの排気量が最も効率がいいということは昔から言われていました。つまり、かつてのBMWの、「スモールシックス」と呼ばれていた直6エンジンは効率ではなく、ひとえに完全バランスからなる官能性を狙ったものだったと言えます。

しかし、私的には今更感があったのですが、BMWはこの「1気筒あたり500cc」を旗印に、最近モジュラーユニットへ移行しました。これは3気筒は6気筒の半分、4気筒は6気筒から2気筒削ったものといった具合に、構造や部品を共有しつつ、エンジンのバリエーションを増やすものです。当然、生産コストは安くなります。

必然的に、排気量によって気筒数も決まってきます。1.5リッターは3気筒、2リッターは4気筒、3リッターでやっと6気筒ですね。

つまり、いまや完全バランスを実現できて官能的な直6とはいえ、現代では単純な排気量の調整の結果として直6となっているに過ぎないんです。

官能性より効率的であることを求めている一つの証左が、現在の340iに積んでいる直6エンジンですが、ロングストロークになっています。ロングストロークというのは、シリンダーの直径(ボアと言います。)よりストロークの方が長いエンジン。一般に、ショートストロークのエンジンほど軽やかに高回転までふけあがると言われており、ロングストロークのエンジンではピストンスピードが速くなってしまうので高回転まであがらない、と言われています。その代わり、ロングストロークのエンジンは低回転でのトルクを確保しやすい、つまりドライバビリティに優れるという利点があり、昔からフォルクスワーゲンなどが積極的に採用していました。

ところでメルセデスって直6のイメージないけど?

ですよね。私もです(笑)。なんだか昔っからV6だったような気がしますが、ちゃんと過去にはありました。

BMWとメルセデス、よく比較されるライバル同士ですが、成り立ちは結構違うんです。一言で言ってしまうと、BMWは大ブレークのきっかけとなったのは3シリーズの前身である2002ターボの成功、メルセデスは反対に大きなモデル、Sクラスで大ブレークしました。450SE6.9なんかが有名ですね。

ですので、今は似たようなクルマを作ってしのぎを削っている2メーカーですが、明確に得意分野が違うんです。つまり、BMWは3シリーズをはじめとするスポーティな小型~中型車、メルセデスはSクラスに代表される大型車やSLなどのラグジュアリーなスポーツカーです。

ですので、なんとなく直6よりも高級なイメージのある(V6は直6と違い完全バランスではないので、バランサーシャフトなどの付加物が必要となるのでコストは高めです。)V6の導入は、かなり早かったと思います。

で、なんで今更直6なの?

私の予想はずばり、「メルセデスもBMWのようにモジュラーユニットに移行しようとしているのではないか」というものです。

コスト削減に挑み続けるのはメーカーの常です。メルセデスもV6、V8がありますが、これは最適なバンク角が違うためにモジュラー化するとどこかに無理が来ます。

そこでやっぱり直4と直6、さらにいえばAクラスやBクラス、GLA用に直3を作ろうとしているのではないでしょうか?

つまり、私がが上で言った「なんらかの技術上のブレイクスルー」というのは、官能性を保ちつつ効率を上げるとかそういう話ではなく、直6を積んでも、万が一の衝突時にV6同様の安全マージンを確保できるという、衝突安全に関する点で進歩があったのではないかと考えられます。

逆の見方をすれば、モジュラーユニットにできるという点を逆手にとって、クルマ好きの心を揺さぶる「チョクロク」を復活させるという、いかにもカーガイ的な発想もあったんじゃないでしょうか?むしろそのために衝突安全の技術を高めさせたとか(笑)。でもそんな考え方、私は大好きです。

メルセデスの中の人たちって、ブランドイメージと違って実はクルマ大好きな人が多いらしいですよ。もちろん、BMWもですけどね。

まとめ

勝手な想像を書き連ねてみました。ちょっとオジサンが入って「昔はよかった」風なところもありますが、ご容赦ください。とにかく、こうしてみるとなかなかすぐには直6復権!ともろ手を挙げて喜ぶというわけにはいかないようです。

ですが悲観することはないと思います。

今はクルマにとって大変革の時代です。パワーユニットがガソリンかディーゼルかだけでなく、電気自動車、ガソリンハイブリッド、ディーゼルハイブリッド(メルセデスのS300hですね)、また、BMW i3のレンジエクステンダーのようなエンジンが発電機の役目を果たすもの、燃料電池、さらに将来的には水素も視野に入ってきます。

クルマを運転する楽しさって、こうした時代や技術の進歩に合わせて変わっていくものだと私は思っています。ですのでメルセデスの直6を素直に歓迎し、その先の展開も楽しみにしたいですね。

ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
今回はこの辺で失礼いたします。