40代子持ちのクルマ好きが、愛車のBMW 320dツーリングを評価するとともに、ちょっとだけ日々を楽しくするクルマのある生活の話題をお届けします。

BMWは完全自律運転でも「駆け抜ける喜び」は忘れない!

BMW

BMWのロードマップでは、2021年に完全自律運転車が発表されることになっています。これが遅れると言う事態は当然あるわけでして、その理由がもしかしたらいかにもBMWらしいものかもしれない!?というお話をご紹介したいと思います。

完全自律運転には結構慎重。

まずは以下の記事をご覧ください。

2017.10.1

BMWは2021年の自動運転車に「駆け抜ける喜びモード」スイッチを設定!?

今年のドイツ・フランクフルトモーターショーでは予想通り、電動化の話と自動運転のお話が主役。

その中でBMWは、すでに2016年の「BMW創業100周年」の時に100周年記念コンセプトカー「Vision NEXT100」のお披露目と共に2021年までに完全自動運転車「i NEXT」を発売すると発表しています。

そして今回のフランクフルトモーターショーでは2025年までにBMWは25の電動化モデルを導入し、そのうち12種類がEVということを発表し、コンセプトモデル「i Vision Dynamics」を公開しました。

プレスコンファレンス終了後、自動運転の担当者の方にお会いし、短い時間でしたがお話を伺いました。

まずは2016年にBMWはインテル、モービルアイと共に3社の自動運転の分野で提携することを発表していて、インテルの自動運転プラットフォーム「Intel GO」とモービルアイの画像処理プロセッサ「Eye Q」を組み合わせた40台の「BMW 7シリーズ」で公道テストを開始していますが、今年の年末までに第三のメーカーがこのプロジェクトに加わるとか。そうなると2021年の発売がさらに遅くなる可能性があるとのこと。

他の自動車メーカーが自動運転に関して前のめりなのにもかかわらず、意外にもBMWは自動運転に慎重なのかもしれません。

また自動運転のカギともいえる「ダイナミックマップ」についても聞いてみました。ちなみに「ダイナミックマップ」とは、リアルタイムに情報を入手することが可能な「高性度空間情報」のこと。

『2021年までに自動運転のレベル3~5になることを考えると、特に「レベル4」と「レベル5」ではAIは不可欠。クルマにはカメラ、レーダー、レーザーなどが搭載されますが、カメラ+地図だけでは誤差で10?以内の精度を保つのが難しいため、道路上にある物体などをリアルタイムにクルマに伝えるために「ダイナミックマップ」が自分たちは必要だと思っています』

そして私が一番気になっていたこと。『もし完全自動運転になった場合でも、自動運転中にBMWの有名過ぎるキャッチフレーズ「駆け抜ける喜び」はどう保つのですか?』という質問に対して、

『自動運転中は3つのモードが考えられます。ひとつは生産的(オフィス)業務。もうひとつはエンタテイメント。そしてリラックスです。もし自動運転中であってもBMWらしい「スポーティ」なモードスイッチを作り「駆け抜ける喜び」を提供したいと思っています』

スケジュールが遅れる可能性は、第3のメーカーの参加ではなく「駆け抜ける喜び」スイッチの設定にある、のかも!?

(吉田 由美)

(clicccar 吉田 由美)

いかがでしょうか?まあ、既にモービルアイはインテルに買収されて一体化していますが、この「BMW-インテル連合」にまだ他の企業が加わる可能性があるんですね。

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それはそうと、「駆け抜ける喜びスイッチ」を考えるなんて洒落てますよね。一体、どういうものになるのでしょうか?誰か、レーシングドライバーが運転しているようなモードが搭載されたりとか・・・いや、それだと「駆け抜ける喜び」を通り越して「阿鼻叫喚」モードですね(笑)。

完全自律運転まで政治的駆け引きの道具にしないで欲しいけど。

ドイツは、EUでは経済上は優等生です。特に自動車産業は他のEU諸国にとっては脅威でしかなく、このままだとドイツ車の技術力に市場を席巻されてしまうという危機感が、英仏における「内燃機関車販売禁止令」に繋がっているというのは衆目の一致するところです。

それに対してドイツ車が放つ矢がこの「完全自律運転」であることは想像に硬くありません。こればかりは流石に禁止するわけにもいかないでしょうから、英仏連合も悩ましいところでしょうね。そうはいっても、ドイツ車もすでにEVの技術は結構熟成させてるようですので、正直今から圧倒的優位に立つのは難しい気もするので、普通に健全な競争の元開発して欲しいと思うのですが・・・。そうでないと、消費者不在の妥協的産物の、面白くも何ともないEVが溢れかえってしまいますからね。

私がこういうのは、完全自律運転がこの政争の具にされるのは、自動車好きとしては看過しえないところだと思うからです。少しでも自動車リテラシーの高い方であればすぐにお分かりでしょう、完全自律運転に一番必要なものは何か?

そう、一言でいうなら「安全性」です。完全自律運転には、失敗やミス、あるいは「対応しきれていない」という言い訳は通用しないんです。これはかつてテスラの自動運転で死亡事故が起きたことで明らかになりました。個人的にはそうしたリスクを踏まえてドライバーがすぐに対応するようにしているべきだと思うのですが、「完全」とつくとそうは考えないのが消費者なんですよね。

その点、EVはそうでもありません。多少航続可能距離が短くても、電気だけでそこそこ走るクルマでありさえすれば、市場には受け入れてもらえると思うんです。あ、もちろんバッテリーが発火するとかは論外ですが(笑)。

まあ、だからこそ英仏連合はEVを選んだのかもしれません。EVと完全自律運転で高騰する開発費の負担に見合うような収益をあげるためにはEVへと家事を切る必要があったのでしょう。つまり、ドイツ製の内燃機関車を自国内では売らせないという、地球環境保護の美名の元での禁じ手です。

でも、環境対応という大義名分からするとしょうがない流れなのではないか?とお思いのあなた。よーく考えてみてください。自国内での「販売」は禁止するんですが、「製造」は禁止していないんですよ。そうです。作った内燃機関車は他国に売るんですよ。これが政争の具でなくて何なのでしょう?地球環境のことなんかちっとも考えてやしないのが丸わかりなんです。

これでEV=ドイツ車締め出し策、というのはお分りいただけたでしょうか?まあ、後はルノー・日産はリーフがあるのでいいとして、プジョーやイギリスのジャガーなどはどうするのでしょうね?MINIまで売れなくなったら困ると思うんですけど・・・。

完全自律運転車の売りは「メーカーの哲学」

堂々とした予想のように感じますが、実は完全自律運転dねはない今だってそうですよね。私がBMWファンであるのも、クルマを操る楽しさは何か、に対するBMWの回答が気に入っているからであって、何もあのBMWマークを誇らしげにかざしたいわけではありません。当ブログの読者様もそうだと思います。

完全自律運転というと、きっとどのクルマも同じ動作にならざるを得ないと私もかつては考えていました。ですが、今回読んだ記事で希望を持ったのは、記者の質問に対して当意即妙に答えたその部分にあると思うんです。

実はまだそんなスイッチを設ける構想もなかったのかもしれません。ただ単に聞かれたのでそう答えざるを得なかっただけかもしれません。ですが、この1件で、完全自律運転になっても「BMWらしさ」が求められるということをBMWの開発陣は改めて認識したと期待したいです。

個人的には、うまくすればBMWが設けるモードスイッチの切り替えは、私たちドライバーに、BMWの考える理想のドライビングを教えてくれるものであって欲しいと思っています。クルマの特性を生かした運転方法で、スポーティなモードではブレーキのタイミングでの荷重の掛け方など、基本を教えてくれる・・・そうですね、まるでBMWドライバーズトレーニングが目の前で展開される、みたいな(笑)。これはかなりワクワクしませんか?

そして、完全自律運転の機能があるのに、そのスイッチを切って自分の手でお手本通りに運転してみたくなる。そんなクルマであって欲しいと願っています。

「完全自律運転なんて眠気との戦いだ(笑)」なんて思っていたあなた!そんなことはなさそうですよ。もちろん、そういう時は「リラックス」モードを使えばいいのだと思いますが、スポーツモードにはきっとBMWの哲学がにじみ出ていることでしょう。これは当然、メルセデスやアウディも同様です。各社各様、いや、むしろそうでないと選ばれなくなるかもしれませんね。

あなたはいかがでしょう?完全自律運転車でも、自分で運転したいと思いませんか?

では、今回はこの辺で失礼します。ありがとうございました。