40代子持ちのクルマ好きが、愛車のBMW 320dツーリングを評価するとともに、ちょっとだけ日々を楽しくするクルマのある生活の話題をお届けします。

BMWはなぜ運転して楽しいのか?

BMW

BMWというと、MやM Sportなどのホットモデルに目がいきがちですが、そうでない標準モデルでも運転して十分楽しいのはオーナー様であればご存知のことと思います。でも、なぜでしょう?4輪があるクルマで、アクセルを踏めば加速し、ステアリングをきれば曲がり、ブレーキを踏めば止まる。そんなクルマはゴマンとあるのになぜBMWだけが?少し考えて見ました。

近所のコンビニに行くにも楽しい。

私の自宅には歩いて行ける範囲にもコンビニがありますが、雨が降っていたるするとどうしても歩いて行くのが億劫になります(笑)。そんな時は少しの距離ですがクルマで行くのですが、今日が正にそれでした。

交差点を曲がり、信号で止まって加速し、目当ての店の前で止まり、駐車場に入れる。たったそれだけでも、束の間ながら運転する楽しみを味わえます。これは一体なんなのでしょう?

よく言われるのが、「思い通りに加速し、曲がり、止まる」、つまり車の基本である3つの動作がドライバーの意思に反しないで、自然だからだと言われますが、では他の車は思い通りに動かない、ということでしょうか?そんなはずはないですよね。

そう考えると、一人で考え込んでしまいました。

それはきっと「人間の感覚」に逆らっていないから。

私も当ブログ内で何度も申し上げてきましたが、BMWのステアリングの正確さは群を抜いています。

それは何も山道をしゃかりきになって攻めなくてもわかるレベルです。本当に交差点一つ曲がるだけでも、思い通りに自然な奇跡を描いて曲がっていき、それこそワインディングロードを走れば、まるで自分の運転が上手くなったかと錯覚するほど安定してスムーズに走り抜けられます。

この違い、決して思い込みではないとまざまざと思い知らされたのが、アウディA4の試乗の時でした。

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アウディも素晴らしい車でしたが、いつも通り、つまり私の320dツーリングを運転しているいつも通りのポイントでブレーキを踏み、交差点を曲がり出しても必ずオーバーランして大回りになってしまいました。それ以前にA6に試乗した時にも山道でカーブを曲がらないでオーバーランするような感触があったので、アウディの癖というよりもBMWのステアリングに慣れているせいだということが私の中ではっきりしたんです。

ただ、これだけではBMWのステアリングの正確性が優れている証明にはなりません。何が違うのでしょう?

いきなり結論を言ってしまいますが、私は正確性もさることながら、「人の感性に逆らわない」運転感覚が根本なのではないかと思います。交差点で曲がる時って、無意識のうちに「この辺からノーズを内側に入れて行って、こういう軌跡で曲がろう」って思いますよね?そしてあまり意識の表面ではないところでブレーキとステアリングを連動させて操作します。

この一つ一つの操作を重ねて操作した時の「繋がり」具合が人の感性に逆らっていないのではないか?と思うんです。もちろん、これにはステアリングの正確さも含まれますが、それだけならメルセデスだって非常に高水準なところにあります。実際、メルセデスCクラスを試乗した時に、初めて運転するクルマであるにも関わらず、アウディのように外に膨らむこともありませんし、思う通りのラインを描いていけました。そして、ブレーキも剛性感に溢れておりよく効きました。

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ですが、これでワインディングを駆け回りたいか、というとそうは思わないんですよね。いや、きっと正確に操れますし、狙ったラインを辿れることではBMWに引けを取らないと思います。そして、きっとそのことで楽しくなるだろうとも。

ですがBMWとはやはり違うんですよね。なんというか、もっともっと走っていたい!と思わせる予感がないというか。快適性はメルセデスの方が上なのは間違い無いのに、です。

思うに、メルセデスは優等生なんですよね。どこをとっても文句ありません。そして、きっと乗ったら万人が素晴らしいと絶賛するでしょう。そして、購入しても1ミリも後悔しないはずです。

ではBMWはどうなのか?

BMWは決して優等生ではありません。内装は好き嫌いがありますし、高水準の快適性も誇るものの、メルセデスにははっきり言って一歩譲ります。でもなぜ人はBMWを選ぶのか?それこそが「人の感覚に即した運転感覚」だと思うんです。

こんな人、昔学校で一人はいませんでしたか?確かにアイツは勉強は完璧にできる。いつもきちっとしていて遅刻もしなければ忘れ物もしない。話をしても話題豊富とすごいやつで尊敬できるけど・・・一緒に馬鹿騒ぎはできないかな・・・っていう優等生。

一方で、アイツは勉強もかなりできて優等生なくせにくだけたところもあって、みんなには言えないような恥ずかしい悩みも相談できる。時々意見がぶつかったりするけど、一緒に泣いて笑って、心の底から打ち解けられる「いいヤツ」・・・。

対照的な二人の人物ではありますが、私の中では前者がメルセデス、後者がBMWです。

つまり、BMWって決して百点満点じゃ無いんですよ。もちろんハンドリングは高性能ですが、その代わり排気量の割にオーバーサイズ気味なタイヤを履いていて、見た目はいいものの快適性の観点からはもうちょっとサイズが小さくても良かったり、どこかにちょっとした隙もあるんですよね。

この、満点では無いところが正に人の感覚にあうのでは無いでしょうか?そして、そうは言ってもいつでも正確性の高いステアリングと、タッチの良いブレーキで安心感をもたらしてくれて、満点でないが故に融通も利く、そんな人間臭さがBMWにはあると思います。

実際、CGでBMW特集を過去にやったことがあって、現場の職人さんの親玉にインタビューしていたりしたんですが、そう言った作り手の顔が、運転していて時々頭の中に浮かんでくるんですよね。「どうだい、オレが作ったクルマは?楽しいだろう?」なんて話かけられているような気がします。

機械の中に血が通う。

そうはいっても、クルマなんて所詮機械でしかありません。しかも、ドライバーが操るものですから、ドライバーの良し悪しによって挙動も変わります。

メルセデスは、昔から啓蒙的なクルマづくりを信条としていました。クルマたるものかくあるべし、と言った感じで、運転しているといつでも教えてくれるような感じがします。ブレーキを強く踏みながら曲がると危ないよ、と行った感じで。そこはさすがに自動車を発明したメーカー、確固たる信念を持ってユーザーに信を問う姿勢は尊敬に値します。

一方でBMWは、ドライバーさんがそうしたいのであれば、忠実に操作された通りに動きましょう、というクルマづくりが信条です。つまり、そこから読み取れるものは、都会的なリベラルな考え方であり、個人の嗜好を尊重する文化です。ですので、BMWを運転するのは、人が潜在的に欲している「自由」を手に入れられる感覚があるのではないでしょうか?

ドライバーを自由に解放するBMW。それは今にして思い返せば、本庄サーキットで現役レーシングドライバーの運転する320iツーリングの挙動がいい例です。これが?!と思うような素早さでショートサーキットのツイスティなコースをヒラリヒラリと駆け抜けて行ったあの動き。ドライバーが「自由」に操るとここまで違う顔を見せてくれるのだ、と。

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なんだか、クルマなのに、まるで意志がある忠実な名馬のようです。当ブログの読者様がご自身の愛車に歴史的英雄の名馬の名を付けてらっしゃる方がいらっしゃるのですが、今更ながらその言い得て妙さ加減に唸ってしまいました。

なんとなんと、ちょっと近所のコンビニに行くだけでここまで大げさなことを考えてしまいました(笑)。

あなたのBMWは名馬ですか?いえ、名馬でないBMWは存在しないでしょう。きっと、あなたの意志一つで、今まで駄馬と思っていた愛車が名馬に生まれ変わりますよ。

では、今回はこの辺で失礼します。ありがとうございました。