40代子持ちのクルマ好きが、愛車のBMW 320dツーリングを評価するとともに、ちょっとだけ日々を楽しくするクルマのある生活の話題をお届けします。

M2やM4を体験した後だからこそわかる、320dツーリングのドライブフィールの感じ方の変化

M2やM4といった高性能車、さらには530eや540iといった最新のBMWに乗った体験の後、我が愛車を運転した時の感覚が変わりました。うまく言葉にできないのですが、感じたままをご報告しようと思います。

がっかりするかと思いきや。

あれだけ高性能車や最新のクルマに一気に乗った1週間を過ごした後です。正直申し上げて、320dツーリングに戻ったらちょっとがっかりするだろうな、と思っていました。

Mより乗り心地はいいものの動力性能では及ぶべくもなく、とはいえその乗り心地も5シリーズとは比べるべくもないのも承知の上です。むしろ「がっかりして当たり前」とすら思っていました。

ですが実際に乗ってみると、がっかりより以前に、私自身も今まで意識していなかったことが表面化して、改めて「だからクルマは面白い!」と、再び我が愛車への愛情が日々増していっています。

具体的にどう感じるようになったのか、うまく言葉にできるか自信がありませんが、ご紹介したいと思います。

ステアリングインフォメーションの感じ方が鋭敏になった!

BMWは、以前当ブログで申し上げたようにステアリングインフォメーションが豊富です。
ですがMはその性格上もっと豊富でして、極端な例をあげると、荒れた路面で、どこが荒れているのか、そしてタイヤのどの辺りがよりグリップしているのかまでわかるような感触でした。俗に言う「限界が掴みやすい」とはこのことなのか、と思わず感心するくらいです。

私は、この感触はMサーボトロニックと、ソリッドな電子制御サスのなせる技だと思っていましたから。

ですが帰路に320dツーリングに乗ってみると・・・今までと違うんです。程度の差こそあれ、我が愛車もMと同様の感触を伝えていることに気付きました。

なんといいますか、例えるなら「間違い探しの答えを教えてもらってから改めて問題を見ると、さっきまでは『間違いなんかない!』と思っていたのに、簡単に間違いが見つかるようになる」、と言うと伝わるでしょうか?要するに、320dでは他に埋もれて見逃していたインフォメーションですが、それがよりわかりやすいMに乗ることによって『それ』と教えてもらったことで、感じ取れるようになった、と言うことです。

これは嬉しかったですね。思わず、シャアの名ゼリフをもじって、

「わかるぞ・・・・私にも路面がわかる!」

と叫びそうになりました。と言うか、あの時のシャアの気持ちはこれだったんですね。この歳になってまさか体感するとは思いませんでした。

・・・脱線しましたが、逆に言うと、Mでもノーマルのラインでも、程度の差こそあれステアリングインフォメーションの伝え方が同じと言うことですね。これはノーマルラインの方のオーナーとしてはかなり嬉しい発見でした。

コーナリングの楽しみが変わった

M2やM4の試乗記でもご報告しました通り、Mというのはとにかくコーナリングフォースも強いので、旋回軸を中心にクルンと周り込んでいくような小気味好いコーナリングをします。

ここも320dでがっかりするだろうと思っていたポイントでした。

確かに、私の320dでは、M Sportでないこともあって、Mと比べると遥かに大きくロールしますので、あのゴーカートフィーリングは味わえません。ですが、旋回軸を中心に回り込んでいくあの感覚は、しっかり残されているんですね。

というか、むしろ前後輪への荷重のかけ方によってノーズが内側を向いたり、外に膨らんでいったりするので楽しいです。特にブレーキングを残しつつステアリングを切り込んでいった際のノーズの巻き込み方は似ています。

これはむしろ、Mでは公道で試せる速度域ではアクセルONOFFの影響が全くないので、そうした荷重移動による恩恵を感じ取りにくかったですから、ステアリングインフォメーションの例とは逆に、320dに乗っていたからこそMでも感じ取れたインフォメーションですね。

でもやっぱりブレーキとエンジンパワーは段違いで若干物足りなさも。

これはしょうがないですね。320dは184psなのに対して、M2は340ps、M4はCompetitionでしたから450psもあるんです。ブレーキだって、その加速力に見合ったものが装着されているわけですし。

これは乗り心地とのトレードオフになりますが、もしかしたらM Sportを選択し、かつM Sportブレーキをオプションdね選んでいればよかったのかもしれません。

3シリーズは万人が楽しめる

Mだと、その瞬発力とコーナリング限界の高さ、それに減速力も加わって、結構無理がききます。ここでいう「無理がきく」というのは決して限界的な領域での話ではなく、あらゆる場面で320dよりもキビキビした挙動が可能だということです。

ここで320dを振り返ってみますと、決してエンジンに対してプアなブレーキというわけでもありません。が、Mとは決定的にターゲットとなる速度域が異なっているということを改めて思い知らされます。

正直、Mの限界域というのは、私のような一般ドライバーには計り知れないところにあります。320dもコーナリングに関しては相当に限界が高いですが、瞬発力は「そこそこ」、減速力「必要十分+α」くらいです。

ここですよね。ここの違いが、Mが真の高性能車である一番の理由です。加速力だけではなく、減速力とセットになってこそ両方が所与の性能を存分に発揮できるようになる、ということです。

これが一般道ではどうなるかというと、Mのように恐怖すら感じる様なスピードを発揮できないドライバーでも、320dならもっと低い速度で楽しめますし、公道ではそうあるべきだ、ということです。

320dの加速は息が長い。

もう一つ、我が愛車320dツーリングには長所がありまして、それがこの章のタイトルです。

低回転域から極太のトルクを生み出すディーゼルエンジンの特性を活かすべく、320dは排気量に比べてギア比が高いです。一方、Mは加速性能を重視するスポーツカーですので、むしろギアリングは低いです。するとどういう事になるか?

以前お話しした通りに、加速時にどんどんシフトアップが起きるんですね。もちろん、M DCT Drivelogicは振動も一切伝えないので不快なことは全くありませんが、同一ギアで長く加速していくのも気持ちいいですよね。これが320dではいとも簡単に味わえます。

もっとも、加速度などは全然違いますが。

乗り心地が絶妙のところ

Mのファームな乗り心地は、ドライバーは構わない、というか厭わないけど家族持ちにはキツイかも、かといって530eで感じた腰高感はちょっと、と思う私には、3シリーズの乗り心地が落とし所としてちょうどいいところにあります。

サスペンションはしなやかに動きつつ、いざという時にはしっかり踏ん張る、という二面性があるのが320dです。

これは、長距離ドライブや、キャンプに行く時の山道で常々考えていたことですが、これくらいの柔らかさ具合とファームさの程度が、私には絶妙に思えます。それを今回確認できたというのも、試乗した甲斐がありました。

これからも末永く付き合っていけそうです!

いかがでしょう?全て当たり前のことのようですが、これを完全に理解できるくらいには私の感覚は成長し(笑)、体感することでカラダが覚えこんだということになります。

試乗をきっかけに、自分の愛車の気づかなかった長所に気付き、愛情が増す。

実り多き試乗でした。これからも、きっと320dツーリングで走る度に、この時の経験を糧に新たな気付きがあることでしょう。これだからクルマって最高に面白いですよね。

では、今回はこの辺で失礼します。ありがとうございました。